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連載:第92回 組織作り その要諦

「若手を理解していないのは自分だった」と目覚めた社長。社員の主体性あふれる組織に必要なリーダーの絶対条件

BizHint 編集部 2025年2月21日(金)掲載
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「最近の若者は“当たり前”のことができない」。創業100年を超える歴史を持つ大阪の物流企業で、古参社員からそんな声が漏れていました。2017年、阪南倉庫株式会社の社長に就任した堀畑浩重さんは、この状況に危機感を抱きます。社長就任時、あることをきっかけに「若手を理解していなかったのは自分だった」と気づいた堀畑さん。そこで、若手社員の意識改革に向けた新たな取り組みに着手。その結果、自発的なプロジェクト立案が相次ぐようになりました。堀畑さんはどのようにして組織を変革し、世代を超えた一体感を生み出したのか。自律型組織をつくるための絶対条件とは何か。詳しく伺います。

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阪南倉庫株式会社
代表取締役社長 堀畑 浩重 さん

大阪府堺市出身。大学時代に流通業界でアルバイトをした経験から、物流業界への興味を深める。家業である阪南倉庫株式会社に入社後、英国クランフィールド大学に留学し、物流分野で修士号を取得。帰国後、全事業所を回って現場経験を積み、その後役員に就任。2017年から4代目社長を務めている。


「若手を理解していないのは自分」と反省。ある出会いが気づかせてくれた組織変革の道筋

――2017年、社長に就任された当時、組織はどのような課題を抱えていたのでしょうか。

堀畑浩重さん(以下、堀畑): 社長就任前の出来事に遡るのですが、当社は2010年にISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)を取得しています。当時専務取締役だった私は、このISO認証取得を主導していました。それにより見えてきた課題があったんです。

それまで当社は品質管理に自信を持っていたのですが、ISOの導入によって全ての事故やトラブルを報告書に記録するようにしたところ、想定以上の件数が上がってきました。

報告書の内容を確認すると、 古参社員たちが、若手社員の起こしたトラブルが大きな事故にならないように、未然に防いでくれていたことがわかったんです。 そこで月1回、品質会議を開いて対策を練るようにしました。一時的にトラブルは減ったものの、なぜか2013年以降再び事故件数が増え始め、その減りも鈍化していったのです。

そして、品質会議の場で若手社員が絡む事故の報告があがると 「最近の若者は“当たり前”のことができない」「(若手社員の)〇〇さんが悪い」といった個人の責任を追及する発言が古参社員から出るようになっていました。

事故に対する対応報告においても「〇〇さんに注意しておきました」という共有のみ。何の解決にもならず、結果的に同じような事故が繰り返されている状態だったんです。

ここでいう“当たり前”とは、倉庫・作業・機械の基礎知識や、作業と作業のつながりを意識することです。私たちに必要だったのは、そういった“当たり前”を若手社員に伝え、ミスが起きにくい業務の仕組みをつくり、それを組織全体で実行していく体制です。

私は 「人のせいにばかりしては何も解決にはならない」とわかっていても、心のどこかで私も「若手社員だからしょうがない」と思うことで、現実から目を背けてしまっていました。 抜本的な改革の必要性を感じながらも、具体的な方向性が見えず、なかなか改革に着手できずにいたんです。

ちょうどそんな時期に社長就任を迎え、そこでの新たな出会いが組織を変えるきっかけを与えてくれました。

――詳しく教えてください。

堀畑: 社長就任と同時期にWebサイトのリニューアルを考えていたので、デザインコンサル会社に相談をしたんです。すると担当の方に 「社長の思いは従業員にきちんと伝わっていますか?」 という質問をされたんです。ハッとさせられました…。

社長就任時、40代だった私は年齢の近い古参社員と長年一緒に働いてきたので、会社の理念や方向性は共有できているという自負がありました。しかし、若手社員に対して、それがどこまで伝わっているのか、確認できていなかったんです。 「若手を理解していないのは自分だった」と気づき、目が覚めました。

――その後、どのように改革を進めていったのでしょうか?

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