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連載:第91回 組織作り その要諦

「お金の亡者」と言われたリーダーが大量退職で気づいた組織の本質。老舗企業に学ぶ自律型組織の勘所

BizHint 編集部 2025年1月27日(月)掲載
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言われたことだけを淡々とこなす社員。「こんなもんでいいだろう…」と、いつのまにか高い目標を掲げなくなった組織…。明治元年創業の株式会社鳥善・6代目の伊達善隆さんは、そんな家業の状況を目の当たりにして改革を決意します。その過程の中で得た「ある気づき」により、同社は自律型組織へ変化していくことに。現在は、企業理念のもとに社員それぞれが主体的に考え行動し、既存の枠にとらわれない事業が次々と生まれるようになったそう。伊達さんの10年に渡る改革の軌跡を伺います。

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会社のために奮闘するも、「お金の亡者」と呼ばれ…。どんどん人が辞めていく中で得た気づき

――伊達さんが家業である鳥善に戻ってきてから10年。社員が主体的に考え、行動する自律型組織ができあがってきたそうですね。現在は、主力であるブライダル・レストラン事業に留まることなく、幅広い事業を展開されています。

伊達善隆さん(以下、伊達): そうですね。 今やっと、組織がひとつの方向に向かって進みだしている気がしています。私が現場を離れ、会社を伸ばすための新規事業の創出や経営に注力できるようになったのも、メンバー一人ひとりが主体性を発揮できる組織に変わってきたからこそ。

10年という歳月の中で多くの経験をしてきたことで、私自身も変化しましたし、組織も変わってきたと考えています。

――かつてはどのような組織だったのでしょうか?

伊達: どちらかというと言われた仕事だけを淡々とこなす人が多く、「今よりよくしよう」という思いを感じられない組織だったと思います。

私が家業に戻ってきた2014年当時は、経営は好調とは言えず、少しでも売上が落ちると赤字に転じてしまうような厳しい状況が何年も続いていました。その理由は明確で「当たり前のこと」ができていなかったから。たとえば、いたる所が汚れていて、お客様を迎える店舗の様子ではありません。工夫すればお客様をお迎えできるような場面でも「もう予約でいっぱいだから」と断るようなことが常態化していたのです。

人と組織が停滞してしまう原因の多くは、自分たちで勝手に限界を決めてしまう。もしくはやらない理由を並べる、そういった「こんなもんだろう」の意識 だと思っています。当社も長い歴史の中で、そういった意識の癖が組織全体に染みついてしまっていたのでしょう。

本当は接客サービスもメニュー開発もウエディングプランニングも、もっといろんなことができるはずなのに…。自ら可能性を閉じてしまっていることが、残念で仕方がありませんでした。

だからこそ「お客様が来てくれる場所で自信をもてるようにしよう」と、私主導で改革を進めていきました。まずは施設のガラス拭きから、小さなことでも改善できることを見つけ、どんどん実行していきました。

メンバーの意識を変えるため、クリスマスシーズンのレストランで、例年の2.5倍の目標を掲げたこともありました。大半は「そんなの無理」「やったことがない」と思っていたでしょうが、私自身も営業に奔走し、目標を達成。お客様の笑顔であふれかえった現場を目の当たりにしたスタッフから「本当にできるんですね!」という声を聞いたときは、ようやく組織が前向きに変わるタイミングが来たように思いました。

改革の甲斐あってか、2014年以降、売上は右肩上がりに伸びていき、2018年には過去最高の売上を達成。業績もV字回復を遂げました。しかし、売上と反比例するようにどんどん人が辞めていったのです。この間に、入社当時にいた50人中49人が会社を去り、メンバーは大きく入れ替わりました。

会社をよくしたい、お客様のためにもっとサービスの質を上げたい、そんな気持ちで頑張ってきました。現場がお客様の笑顔であふれれば、メンバーも喜んでくれるはず。しかし、そんな私の想いは伝わらず、ときには「お金の亡者」と言われていたことも…。「どうして伝わらないんだろう…」そう考える日々が続き、ひとつの結論にたどり着きました。

――それは一体?

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