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アルバイト採用

2018年1月11日(木)更新

若者の早期離職の理由と対策・防止策をご紹介

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社会のグローバル化や労働人口の減少において、一人当たりの業務量が増える昨今。新卒一括採用という日本独自のシステムを採用しているとあって、入社後、会社と新入社員とのミスマッチも絶えません。1995年以来、大卒新入社員の3年以内の離職率が30%を超えており、人事担当者としては早期離職の対策・防止策が急務といえます。

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早期離職とは?

早期離職とは、企業に就職・転職してから数年以内に退職することを指します。厚生労働省の「学歴別卒業後3年以内離職率の推移」によると、大卒者が3年以内で離職する若者は3割を超えており、社会問題化しています。早期離職は企業の採用・人材育成コストの増加だけでなく、早期離職した本人が不利益(再就職や転職先での労働条件の悪化など)を被りやすい傾向にあります。

平成28年10月より厚生年金保険及び健康保険の加入対象が広がっているとはいえ、契約社員や派遣社員といった雇用条件だとキャリアも積みにくく、結婚や出産などに踏み切れないといった若者の人生や生活面(収入やお金)にも深刻な影響を与えると指摘されています。

欧米のジョブ型社会(業務に必要なスキルを持ち合わせている人材を採用するシステム)とは異なり、新卒一括採用に代表されるメンバーシップ型を取り入れている日本の企業では、新入社員が希望する仕事内容と企業が求めるそれとミスマッチが起こりやすく、早期離職者を生みやすくしている現状があります。

早期離職の現状

入社から数年以内で退職する早期離職。転職市場が活況となり、定年まで一つの会社に勤めることが常識ではなくなり、早期離職も珍しくなくなりました。現在の日本社会の早期離職の現状はどのようなものなのでしょうか。

早期離職の多い属性

早期離職は、若年層が圧倒的に多いとされています。厚生労働省が発表している「学卒後同一企業に継続勤務する労働者の割合」でも示されているように、1989年、1999年に比べても2009年の若年層の同一企業への継続勤務の割合が急激に低下しています。

若年層の早期離職は企業の成長にも悪影響を与えるため、いかにして早期離職を防止するかが人事担当者の重要な課題といえます。

【出典】【厚生労働省】図表42 学卒後同一企業に継続勤務する労働者の割合

早期離職率の推移について

早期離職率の推移は、厚生労働省が発表している「学歴別卒業後3年以内離職率の推移」で確認することができます。中学卒、高校卒、短大等卒、大学卒ともに3年以内の早期離職は3割を越えています。一方で、「最近の若者は根性がない」などの意見を耳にする機会がありますが、バブル崩壊以前からどの学歴においても早期離職率の割合は3割近くを維持しています。

どの学歴においても似たような推移を辿っていることから、学歴や世代によって、早期離職率が激しく変動するということではありません。年代別で見てみると、1991~1993年のバブル崩壊時期や2008年のリーマン・ショックの翌年においては早期離職率が低下しています。これは稀にみる不景気に見舞われたことで、継続雇用を希望する若年層が増加したと読み取れます。

さらに、大学卒業者の1年目、2年目、3年目の各早期離職率を見てみると、いつの時代も1年目に離職する割合が高い傾向にあります。しかし、バブル崩壊以降では1年目の離職率が増加傾向にあります。これも不景気による労働環境や条件の悪化で、若者が希望する仕事内容とのミスマッチが顕著に現れた結果とも取れます。しかし、どの年代でも3年目での早期離職率は一定の水準を保っています。

【出典】【厚生労働省】学歴別卒業後3年以内離職率の推移

早期離職者のその後について

早期離職者は勤続年数が3年以内ということもあり、次の就職が困難になる傾向があります。労働政策研究・研修機構(JILPT)が発表している「図表6-22 初職離職経験者の現職正社員比率」を見てみると、25~29歳男性の初職離職経験者の現職正社員比率は60.9%、同じく30~34歳男性の初職離職経験者の現職正社員比率は70.0%となっています。

しかし、早期離職者にあたる15~24歳男性の初職離職経験者の現職正社員比率は37.1%と劇的に減少している結果となっています。この結果から早期離職者は次の就職において、不利益になる可能性が高いことがわかります。しかし、女性の初職離職経験者の現職正社員比率は15~24歳が22.1%、25~29歳が25.6%、30~34歳が29.1%となっており、男性に比べて、次の就職先の正社員比率が全体的に低い傾向にあります。

また、男女ともに25歳以上の初職離職経験者はポジティブな理由での離職や転職として受け取られると推定できる結果になっています。

【出典】【労働政策研究・研修機構(JILPT)】図表6-22 初職離職経験者の現職正社員比率

早期離職者のメリットとデメリットについて

先にご紹介したとおり、早期離職者は次の就職先では正社員比率が低くなるというデメリットがあります。その他、早期離職者のメリットとデメリットはどのようなものがあるかをご紹介いたします。

早期離職者のメリットとは?

早期離職者には若者が多いため、若者特有のメリットも存在します。

未経験の職種に挑戦できる

転職は今までの経験を活かし、新たな挑戦を行う機会でもあります。そのため、転職先では未経験の職種や仕事内容を担当することも珍しくありません。早期離職者は新たな挑戦に必要な知識や経験も足りていないことがほとんどですが、採用現場では現在の能力よりも潜在能力を重視する傾向にあります。そのため、未経験の転職であっても比較的転職しやすい傾向にあります。

第二新卒として求職活動が行える

早期離職者と同じ意味を持つ言葉として、「第二新卒」という言葉があります。第二新卒も学校を卒業・企業へ就職した経験を持ち、数年以内に離職した者を指します。以前は早期離職者のイメージは良くない風潮がありましたが、近年では「第二新卒」という新たな言葉が登場し、ネガティブな印象も薄れてきています。また、早期離職の原因の一つである企業と新入社員とのミスマッチは、新卒一括採用という日本独特の採用システムの副産物でもあるため、早期離職者に対して、一定の理解を示す企業も増えてきています。早期離職者は次の転職での正社員比率が低いですが、15~24歳男性の初職離職経験者の37%が正社員として再就職しているので、第二新卒の募集に応募することでよい労働条件での再就職の可能性が広がります。

いち早く再起することができる

早期離職者の退職理由はさまざまです。労働時間や休暇などの労働条件が悪い、職場での人間関係、賃金の条件が良くない、健康上の理由など必ずしも早期離職者特有の退職理由は見当たりません。上場企業においても長時間労働やパワハラなどの問題が表面化しており、新入社員の過労死や自殺などの悲しい結末に至ってしまったケースも見受けられます。「石の上にも三年」といいますが、劣悪な労働環境に身を置くことは心身ともに深刻な影響を与えてしまいます。そのような劣悪な職場からいち早く離脱することは、心身ともに健康な状態で再起を目指すことができるメリットがあります。

早期離職者のデメリットとは?

先にご紹介したように、早期離職者は次の職場での労働条件が悪化しやすい傾向にありますが、他にもデメリットが存在しています

雇用保険(失業保険)を受けられない可能性がある

企業に就職した際には必ず雇用保険に加入することとなります。雇用保険に加入していると退職時に国から失業給付金(失業手当)を受け取れ、再就職の資金や失業中の生活資金にあてることができます。しかし、この失業給付金(失業手当)は12ヶ月以上の雇用保険料の納付が条件であるため、1年未満に退職した場合は受給できません。

短期間での複数回の転職は再就職が困難になる

「早期離職者のメリット」でもご紹介しましたが、早期離職者は「第二新卒」という形で応募が可能となり、再就職しやすい環境になってきました。しかし、数年以内に複数回転職を繰り返すと、自分自身の市場評価が低くなる傾向にあります。

企業は採用活動に貴重な経営資源(ヒト、カネ)をかけているため、短期間で転職を繰り返している求職者は、「またすぐに辞める」と感じ、避ける傾向にあります。

新卒ならではの優遇を失う

早期離職者が再就職をする際は「中途採用」という形で求職活動を行います(近年では「第二新卒」という募集もあります)。しかし、中途採用者は新卒採用者のような手厚い研修や、大企業で多く見られる「新卒専用出世コース」などの優遇を受けることができません。

また、新卒採用者は企業の未来を担う貴重な人材でもあることから企業の規模に関わらず、重宝されることが珍しくありません。再就職した会社の新卒採用者と年齢が近くても、同様に優遇されないことを知っておく必要があります。

早期離職が生じる理由・原因

早期離職が生じる理由や原因は、早期離職者だけでなく、彼らを取り巻く労働環境や社会構造も影響しているといえます。

「メンバーシップ型」の採用システムによるミスマッチ

企業に必要な専門スキルを持つ人材を雇用する欧米の「ジョブ型」でなく、潜在能力を重視し、入社後に教育を施す「メンバーシップ型」を採用している日本では、企業と新卒入社とのミスマッチが起こりやすくなっています。

これは厚生労働省が発表している「第2節 世代別にみた意識と就業行動 若年者の意識と職業選択」に記載されているように、若年者の意識が「会社を選ぶ」から「職業を選ぶ」ことに変化していることも要因とされています。

1987年の会社の選択理由であった「自分の能力、個性を生かせるから」は1997年に一度は減少したものの、2007年には再度上昇に転じています。さらに2007年度の求職活動の際に重視した条件は、どの年代においても「仕事の内容」が最も多い結果となっています。

若年者をはじめ、個性や職業内容を重視する求職者が増加しているため、入社後、自分が想定していた仕事内容と実際のそれがミスマッチする現象が増えていると考えられます。

【出典】【厚生労働省】第2節 世代別にみた意識と就業行動 若年者の意識と職業選択

企業の労働環境の悪化

厚生労働省が発表した平成25年若年者雇用実態調査の概況では、初めて勤務した会社をやめた理由として、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」の22.2%がトップになっています。長時間労働やサービス残業が表面化していることからも、従業員の立場から見ても企業の労働環境が悪化していることがわかります。

その他にも「人間関係」、「仕事内容の不一致」、「賃金の条件」なども離職理由として多く挙げられており、長期間同じ企業に勤めることにメリットを感じない労働者が多いこともわかります。

【初めて勤務した会社をやめた主な理由】

  • 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(22.2%)
  • 人間関係がよくなかった(19.6%)
  • 仕事が自分に合わない(18.8%)
  • 賃金の条件がよくなかった(18.0%)

【出典】【厚生労働省】平成25年若年者雇用実態調査の概況 (4)初めて勤務した会社をやめた主な理由

早期離職を防止する方法・対策

「新卒社員の3割以上が3年以内に離職する」という結果にも関わらず、企業が新卒採用を実施するには「企業の将来を支える人材の確保」、「組織の活性化」、「若手労働力の確保」などの理由が挙げられます。そのため、人事担当者としては早期離職を防止することは大切な業務の一つです。

一般的な若年層労働者の定着の対策とは?

構成労働者が発表した「平成25年若年者雇用実態調査の概況 5 若年労働者の定着について (2)定着のための対策」では、若年正社員の定着対策を行っている事業所は70%にのぼり、非正社員の若年労働者の定着対策を行っている事業者も54.2%となっています。この調査結果からわかるように、日本企業のほとんどが若年層労働者の定着対策を実施しています。また、その対策方法として最も選ばれてる方法が「職場での意思疎通の向上」となっており、対策を実施している事業所の59%以上が実施しています。その他の方法は以下に記載いたしますので、若年層労働者への定着対策の実施を検討している場合は参考にしてみてください。

【若年労働者の定着のために実施している対策別事業所割合(複数回答)】

  • 職場での意思疎通の向上(若年正社員向け59.5%、若年非正社員向け59.2%)
  • 本人の能力・適性にあった配置(若年正社員向け54.0%、若年非正社員向け47.5%)
  • 教育訓練の実施・援助(若年正社員向け51.6%、若年非正社員向け37.6%)
  • 採用前の詳細な説明・情報提供(若年正社員向け51.2%、若年非正社員向け49.6%)
  • 仕事の成果に見合った賃金(若年正社員向け37.8%、若年非正社員向け34.6%)
  • 職場環境の充実・福利厚生の充実(若年正社員向け34.3%、若年非正社員向け27.9%)
  • 労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励(若年正社員向け25.9%、若年非正社員向け22.8%)
  • 昇格・昇任基準の明確化(若年正社員向け25.6%、若年非正社員向け17.2%)
  • 仕事と家庭の両立支援(若年正社員向け21.5%、若年非正社員向け17.2%)
  • 配転・勤務地等人事面での配慮(若年正社員向け19.8%、若年非正社員向け14.0%)
  • その他(若年正社員向け2.4%、若年非正社員向け2.1%)

「教育訓練の実施・援助」においては、正社員が優先されている傾向があります。政府が掲げる「同一労働同一賃金」で取り上げられているように、今後は正社員と非正規社員の待遇差をなくす企業努力が必要となるでしょう。逆に「仕事と家庭の両立支援」は非正規社員への割合が多い傾向にあります。これも正社員と非正社員との間で、明確に業務が分けられていることが起因していると考えられます。若年労働者の定着施策を行う際も正社員と非正社員との待遇差が出ないように実施することが大切です。

【出典】【厚生労働省】平成25年若年者雇用実態調査の概況 5 若年労働者の定着について (2)定着のための対策

モチベーション、メンタルヘルスからのアプローチ

早期離職を防止するには社員のモチベーションのアップとメンタルヘルスからのアプローチが大切です。

モチベーションアップからのアプローチ

モチベーションアップとは従業員の職務満足感をアップさせることを指します。その具体的な方法が「従業員のキャリアデザイン」、「プレッシャーなどの精神的圧力からの解放」、「公平公正なフィードバックと評価制度」が挙げられます。

若年従業員は社会人としての基礎を構築すると同時に、自身のキャリア形成を上司・先輩が一緒になってサポートしてあげる必要があります。また、定期的に人事部、直属の上司との面接制度を導入することで、プレッシャーなどの精神的ストレスから解放させてあげることも大切です。

人は誰かに評価されることでモチベーションをアップし、生産性を向上させることができます。公平公正な評価制度を浸透させることも若年労働者の早期離職防止策としても有効です。同時に職務満足感を下げる要素(仕事量が多い、休暇が取りにくい、やりたい仕事ができない、賃金が低いなど)を排除することも重要です。

メンタルヘルスからのアプローチ

会社に勤めると、職場での人間関係や業務上の悩みなどのさまざまな場面からストレスを受けます。そのため、メンタルヘルスからのアプローチとして、「ストレス耐性」を高めてあげることが大切です。このストレス耐性を高めるには「セルフケアを高める」ことが効果的です。

この「セルフケア」はセルフケアに関する知識・経験を培うことで高められます。そのため、知識・経験ともに豊富な上司がうまく指導してあげる必要があります。主に共感の姿勢で見守る、業務量をコントロールする、必要な情報を提供する、適切な評価をしてあげるといったサポートがおすすめです。

コミュニケーションの密度を上げる

若手従業員の早期離職を防ぐためには、密度の高いコミュニケーションが不可欠です。そのため、人事部主導で従業員ひとり一人の意見を吸い上げ、人事制度に反映させることが大切です。

個別、チームともにコミュニケーションを活性化させる

若手社員とコミュニケーションを行う際は、個人の悩みを吸い取りやすい環境を作り上げることが大切です。1対1での面談は若手社員の不満や意見を吸い上げるにはおすすめの場といえます。また、普段は関わりのない部署同士のコミュニケーションも組織を活性化させるのに有効です。

社員同士がポジティブに評価できる機会を設ける

普段は直属の上司から評価を受けることがほとんどですが、同僚やチームメンバーからの評価も従業員のモチベーションアップに効果的です。特に業務に慣れない新入社員に対して、メッセージカードや目安箱を通して、頑張りを認めてあげる社内評価制度は大切です。社内SNSを活用して、社員同士がポジティブな交流ができる場を提供するのも良い方法といえます。

若手社員主導の取り組みを増やす

若手社員の悩みを一番わかっているのは若手社員本人たちです。若手社員主導で会社の問題点や原因を見つけ出し、全社の取り組みとして採用することで若手社員が「ずっと働きたい」という社風を作り上げることができます。

選考の精度を上げる

入社前の選考段階における話になりますが、選考の精度を上げることで早期退職の可能性のある候補者をスクリーニングすることも大変重要です。

「早期退職をする予定はありますか?」と問うのは何の意味もありませんが、早期離職をしてしまった人材の選考情報を洗い出し、整理を行い、例えば「面接回数が極めて少ない内に入っていたためカルチャーフィットしていた点に見抜けなかった」「時期的に人員補填を急ぎ面接の精度が甘かった」「会社に対しての期待と会社から提供できる価値についてのすり合わせが不足していた」など、あらゆるケースが考えられます。

浮かび上がった事象について、面接の内容なのか、面接回数・時間なのか、実際に採用プロセスを変更していく事は、入社後活躍までを見据えた「採用力」を高める上で大変重要です。

また、こうした選考情報の定量的な評価を行うにあたっては、採用管理システムなどの、選考情報一元管理システムの導入を推奨します。

人事向けニュースサイト「BizHint HR」編集部では、中立的な立場で独自調査を行い、国内で提供されている採用管理システムの比較一覧を作成しましたので、お役立てください。

まとめ

早期離職者の数を減らすことは企業の採用コストを抑えることができ、若手社員自身の成長にもつながります。労働環境の改善はもちろん、人事担当者としてコミュニケーションの密度を上げる、モチベーションアップ施策やメンタルヘルスケアを実施する必要があります。また、優秀な人材ほど労働条件の良い企業へ転職する傾向があります。優秀な人材が「ずっと居続けたい」と思えるような社風や制度を作り上げることも大切です。

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