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中小企業が新卒採用で勝ち抜く方法とは?課題とポイントを徹底解説

BizHint 編集部 2019年2月20日(水)掲載
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「求人倍率9.91倍」、「約4割が3年位内に離職」、「専任の採用担当者がいる企業は全体のわずか5%」。これらは全て、新卒採用市場で苦しみ続けている中小企業の実態です。中小企業が新卒採用市場で勝ち抜くためには、厳しい現状や中小企業の特性を十分に理解した上で、戦略的かつ地道に取り組まなければなりません。当記事では、中小企業が抱える課題やポイントについて、図表を用いて分かりやすく解説しています。

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中小企業を取り巻く新卒採用の厳しい現状

大企業に比べて知名度が低く、人材確保で不利な立場に置かれている中小企業が新卒採用市場で勝ち抜くためには、綿密な採用計画に基づく地道な取り組みが必要です。

中小企業を取り巻く新卒採用の厳しい現状を正しく把握し、自社が向き合うべき課題を明確にしていきましょう。

求人倍率は過去最高の9.91倍、売り手市場が続く中小企業

【出典】リクルートワークス研究所:第35回ワークス大卒求人倍率査

上記は、2019年3月卒の大学生や大学院生を対象とした求人倍率を従業員規模別に示したグラフです。

これを見ると、従業員数300人未満の企業だけが飛び抜けて高い求人倍率になっていることが分かります。就職氷河期(2010~2013年卒)を含むこの10年間、従業員数300人未満の企業の求人倍率が3倍を切ったことは一度たりともありません。

それはつまり、中小企業にとって採用市場は常に就活生優位の売り手市場であり、今後もこの需給バランスが急激に変化することは無いということです。

学生の過半数は大手企業への就職を希望している

【出典】マイナビ:2019年卒マイナビ大学生就職意識調査

採用担当者の頭を悩ませる問題は、高い求人倍率だけではありません。

過半数を超える学生が大手企業への就職を希望していることもまた、中小企業の採用難を深刻化させている一因となっているのです。多くの学生が大手企業志向であるということは、中小企業のアプローチに対してポジティブな反応を示してくれる絶対数が少ないということです。

このような状況を正しく理解しないまま闇雲に母集団形成を行っても、採用目標を達成することはできません。中小企業の採用担当者は大企業以上に戦略的な採用活動を行わなければ、学生たちの心を掴み、新たな戦力として自社に招き入れることができないのです。

【関連】新卒採用での母集団形成とは?意味と方法についてのまとめ/BizHint

中小企業に就職した新卒者の多くが3年以内に離職している

【出典】中小企業庁:2015年版 中小企業白書 2 人材の定着

壮絶な人材争奪戦を勝ち抜いたとしても、中小企業の苦難はまだまだ続きます。

なぜなら、中小企業に就職した新卒者の約4割がわずか3年の間に会社を辞めてしまうからです。どれだけ多くの時間とコストをかけて採用活動や人材育成を行ったとしても、早期に離職されてしまっては何の意味もなくなってしまいます。

深刻な人手不足を解消するため、中小企業は人材の確保と同時に早期離職の防止についても策を講じなければならないのです。

【関連】若者の早期離職の理由と対策・防止策をご紹介/BizHint

経営資源不足に苦しむ中小企業と採用活動の長期化

【出典】中小企業庁:2015年版 中小企業白書 第2節 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着

採用に専従する社員を設けている中小企業は全体のわずか5%程度であり、その他の中小企業はいずれも経営者である社長や人事担当者、各部門の責任者が日々の業務と兼任しているといいます。

人手不足が慢性化している中小企業では、一人の社員が複数の業務を兼任することは決して珍しいことではありません。しかし、限られた時間の中で日々の業務と採用活動を両立させることは難しく、専任の採用担当者や採用チームを結成し、十分な予算を割り当てて新卒採用に望む大企業と対等に戦うことは到底できません。

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が2021年春入社の学生から就職活動の指針を廃止することを決定し、更なる採用活動の長期化や労力の増加が懸念されている新卒採用市場。コストやリソースが限られる中小企業は、これまで以上に綿密な採用計画を立てて新卒者の確保に挑まなければならないのです。

【参考】北國新聞社:採用活動の長期化懸念 北陸の企業 就活指針の廃止決定受け - 経済ニュース

中小企業が新卒採用を成功させるための7つのポイント

新卒採用市場は、就職活動を行う学生と採用活動を行う企業が互いの将来性や可能性を図り合う場です。そして、中小企業にとっては慢性的な人手不足を解消し、自社を次のステージへと導いてくれるパートナーを探し求める場でもあります。

優秀な人材を獲得するためには、人材確保に関するノウハウや手段を学び、それを実行できる環境を構築しなければなりません。

ここでは、中小企業が新卒採用を成功させるために押さえておくべき7つのポイントを紹介します。

社長自らが採用活動の指揮を執る

中小企業が新卒採用を実施する上で最も重要なのが、社長自らが採用活動の指揮を執り、社員とともに全社一丸となって新卒採用に取り組むことです。すでに多くの中小企業において経営者が人材採用を担当していますが、それを人手不足などのネガティブな理由ではなく、素晴らしい人材を獲得するための戦略として向き合うことで大きく意味が変わってきます。

超売り手市場の中小企業にとって、採用活動は選別ではなく営業です。だからこそ、企業の全てを熟知している社長が採用活動の先頭に立ち、あらゆる疑問や質問に真正面から答えることで、自社についてより深く、より正しく理解してもらう必要があるのです。

この際、たとえ自社にとって不都合な内容であっても、事実と異なる回答をしたり誤魔化したりしてはいけません。なぜなら、どれだけ表面上を取り繕ったとしても、入社すればすぐに真実が明らかとなるからです。

採用活動において大切なのは、内定者を確保することではなく、長期に渡って活躍してくれる人材を確保することです。自社の現状や今後のビジョンを包み隠さず語り、新卒者がそのビジョンを実現させるカギであることを真剣に伝えることで、応募者の入社意欲を高め、信頼関係を構築することができるでしょう。

中小企業に就職するメリットを前面に押し出す

中小企業には、「個々に与えられる裁量権が大きい」、「社長や役員、他部署との距離が近い」、「多種多様な仕事に携わることができる」など、大手企業とは一味違った魅力があります。 しかし、これらの魅力を正しく認識している学生はそれほど多くありません。

中小企業の魅力は、昇給や昇進、充実した福利厚生など安定性を第一に考えている学生よりも、好奇心や向上心の強い学生に対して優先的にアピールするべきです。なぜなら、安定を求める学生は大企業を志望する傾向が強く、逆に好奇心や向上心の強い学生は、自分を試すことのできる中堅企業や中小企業を志望する傾向が強いからです。

中小企業は決して大企業と同じ土俵で戦ってはいけません。大企業との差別化を図り、中小企業ならではの魅力を前面に押し出して勝ち取った人材たちは、様々な困難課題にも臆することなく、自らの限界に挑戦し続けてくれることでしょう。

中小企業と相性が良いリクルーティング法を採用する

ネームバリューだけで多くの学生が集まる大企業と違い、自発的に情報を発信し、知名度の向上に努めなければならない中小企業。しかし、だからといって大企業のように多くの予算を広告費用に割くことができないため、有名な求人媒体に募集しても膨大な求人情報に埋もれてしまい、なかなか思い通りの反響を得ることができません。

このような悩みを抱えている中小企業の採用担当者におすすめしたいのが、ソーシャルリクルーティングとマイクロリクルーティングです。

ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、SNSなどのソーシャルメディアを通じて学生とコミュニケーションを図り、双方に対する理解度を深めながら採用活動を行う採用手法です。多くの学生が就職活動の際にインターネットを利用して情報収集を行っていることから、時代に即した採用手法として注目されています。

ソーシャルリクルーティングは、採用ブランディングや入社後ギャップによる早期離職の防止にも活用することができます。

全てのサービス利用者に対して職場の雰囲気や社員の人柄を感じ取れるような情報を日常的に発信することで、親しみやすい企業という印象を与え、就職して働く自分の姿を鮮明にイメージできるようにするのです。

【関連】ソーシャルリクルーティングとは?事例やメリットをご紹介!/BizHint

マイクロリクルーティング

マイクロリクルーティングとは、株式会社モザイクワーク代表取締役の杉浦二郎氏が提唱した、最小の効率で最高の採用を実現させるための人材採用の新しい考え方で、「採用、配置、育成」の3つを1つのセットとして扱います。不足した人材の補充だけを目的とするのではなく、ミスマッチによる離職防止や配置後の活躍にも意識を向けて採用を行います。

マイクロリクルーティングでは、自社に適さない人材に対して「受けさせない仕組み」を作ることも重要です。なぜなら、どれだけ多くの応募者を集め、その中から数名を厳選して採用したとしても、その人材がすぐに辞めてしまったり、活躍することができなければ費やした時間とコストに何の意味もなくなってしまうからです。

「1人募集、1人応募、1人採用を繰り返していくことが最も効率が良い状態」と提唱者の杉浦氏は話します。人材の定着や活躍を重視した採用を心掛け、自社に適した最小限の人材だけが応募してくる仕組みを構築するマイクロリクルーティングは、経営資源の乏しい中小企業を救う革新的な採用方法論と言えるでしょう。

【関連】今、中小企業が選択すべき採用方法「マイクロリクルーティング」とは?/BizHint

学生との接点やコミュニケーション機会を増やす

【出典】マイナビ 新卒採用サポネット:採用が「うまくいった」中小企業が実施していること

専任の採用担当者がいない中小企業にとっては、応募者を増やすための取り組みや内定者に対するフォローも大きな悩みの種です。

株式会社マイナビが「新卒採用に成功した中小企業」の共通点を分析した結果によると、確かな手応えを感じている中小企業の多くが2月以前からインターンシップをはじめ、様々な形で学生との接点を設けています。また、若手社員や役員など採用担当者以外も積極的に関与し、数多くのコミュニケーション機会を設けることによって、内定者の帰属意識を高め、内定辞退の防止を図っていることが分かります。

これらの施策はあくまでも一例であり、自社の特性や周辺環境に適したものをいくつか選定し、実施することが重要です。学生とのコミュニケーションは既存社員にとっても良い刺激となります。

一部の社員に全ての役割を押し付けるのではなく、全ての社員が何らかの形で採用活動に関わることができるよう心掛けることで、組織としての結束力や団結力を更に高めることができるでしょう。

働き方改革を推進し、魅力的な職場を作る

2019年4月より順次施行される「働き方改革関連法」。今回の法改正によって一部項目で設けられた罰則を回避するため、重い腰を上げて取り組んでいる中小企業は少なくありません。

働き方改革は、経営体力が乏しい中小企業にとって大きな負担です。しかし、明確な実施理由や目標を設定し、従業員の当事者意識の醸成させることによって、魅力ある職場環境を実現させることができます。

ここまで紹介してきたポイントはいずれも、魅力的な職場や協力的な社員を得ることで効果を増すものばかりです。働き方改革を通じて人と組織の両方を活性化させることに成功した中小企業は、より戦略性の高い採用活動を実施し、数多くの優秀な人材と出会うことが可能となるでしょう。

【関連】中小企業こそ働き方改革を!課題や事例、助成金について徹底解説/BizHint

採用管理システムを導入する

採用管理システムとは、採用に関する様々な情報を一元的に管理することで業務の効率化を図り、戦略的な人材採用をサポートするシステムのことです。採用管理システムの中には、インターンから内定者フォローまで一括管理できる製品や内定者と自社の適合性を数値化してくれる製品など、新卒採用に特化したものも数多く存在します。

採用管理システムを導入することによって、他業務と兼任することが多い中小企業の採用担当者であっても、人材の見極めや内定者フォローなど採用の成否を分ける重要な業務に注力することが可能となります。

採用管理システムの詳細や比較する際のポイント、おすすめの採用管理システムについては以下の記事をご覧ください。

【関連】「採用管理システム」導入メリットと、比較・検討のポイント/BizHint
【関連】採用管理システム比較 25選 【無料プランのクラウドツールも紹介】/BizHint

中小企業向け新卒採用支援サービスの利用を検討する

人手や採用ノウハウが極端に不足している中小企業の場合、就活生とのマッチングを行ってくれるサービスや採用業務の一部または全てを代行してくれる採用代行(RPO)の利用を検討するのも一つの方法です。

これらの外部サービスを活用し、自社に不足している要素を補うことによって、社員たちをコア業務に集中させ、社長自身も無理なく効率的に採用活動を行うことが可能となります。中小企業に特化した就活サイトや地方の学生と中小企業を結びつける人材紹介サービスなど、その種類は多岐に渡ります。

それぞれの特徴を十分に理解し、自社の現状や求める人物像、採用目標と照らし合わせることで適切なサービスを選択することができるでしょう。

【関連】採用代行(RPO)とは?メリットデメリット、採用代行会社の総比較/BizHint

まとめ

  • 就職氷河期と呼ばれている2010~2013年を含めたこの10年間、中小企業にとって採用市場は常に就活生優位の売り手市場となっています。
  • 約4割もの新卒者が3年以内に離職していることから、需供のバランスが大きく崩れている中小企業の新卒採用では大企業以上に採用のミスマッチや入社後ギャップが生まれやすいと考えられます。
  • 中小企業が優秀な人材を獲得するためには、人材確保に関するノウハウや手段を学び、それを実行できる環境を構築することが重要です。
  • 大企業と同じ土俵で戦うのではなく、意識的に差別化を図り、中小企業ならではの魅力を前面に押し出すことによって道が開かれます。
  • 経営資源の乏しい中小企業であっても、学生との接点やコミュニケーション機会を数多く設けることによって、日々の交流を通じて採用ブランディングを図ることができます。

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