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中途採用

2019年3月26日(火)更新

今、中小企業が選択すべき採用方法「マイクロリクルーティング」とは?

Logo markBizHint 編集部

大企業との差別化に悩み、優秀な人材の確保に苦しむ中小企業。そんな中小企業におすすめしたいのが、独自の採用戦略や採用システムによって、ジャストフィットでの採用を実現させる「マイクロリクルーティング」です。今回は、マイクロリクルーティングの提唱者であり、株式会社モザイクワーク代表取締役社長の杉浦二郎さんに、独自の採用をデザインする重要性や自社なりの優秀人材を定義する方法など、中小企業が採用に強くなるためのヒントについて語っていただきました。

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中小企業の採用の現状と課題

この数年、中小企業と大企業の求人倍率差は拡大し続けています。2018年4月にリクルートワークス研究所が発表した大卒求人倍率のデータでは、従業員数300人未満の中小企業が過去最高の9.91倍を記録。それに対し、従業員数5,000人以上の大企業は過去最低の0.37倍を記録しました。

【出典】リクルートワークス研究所/第35回 ワークス大卒求人倍率調査

しかし、全ての中小企業が採用難に苦しみ、人材確保に苦戦しているかといえばそんなことはありません。いわゆる「 採用に強い 」中小企業は、独自の採用戦略や採用システムを構築し、毎年必要なだけの人材をしっかりと確保することができているのです。

そのヒントは、自社で活躍できる人材をしっかりと定義し、その定義に当てはまる人材に対して最小限の力でリーチさせる「 マイクロリクルーティング 」にあると思っています。

中小企業が採用に強くなるための「マイクロリクルーティング」とは

マイクロリクルーティングとは「 一人募集、一人応募、一人採用 」という最も効率のよい採用を実現させるための概念です。

従来型の「母集団を形成し、ふるいをかけ、選考していく」という考え方とは全く異なります。 自社での活躍を期待できる人材だけが応募してくれる仕組みを構築し、ミニマムな採用活動を行っていくことが理想 です。

マイクロリクルーティングは、次の3つを満たすことが重要です。

  • 自社に必要な人材を明確に定義する
  • 自社に合う人のみが受ける(合わない人は受けない)仕組みを作る
  • 自社で長く活躍してもらう人材を採用する(配置・育成との連動を意識する)

「自社が必要とする人材をしっかりと定義し、その人に対してメッセージングを行いましょう」というのが、マイクロリクルーティングの考え方のベースになります。

そのため、マイクロリクルーティングでは「何人採用できたか」や「採用者一人あたりのコストをどれだけ抑えられたか」よりも、「採用後に自社でいかに活躍してもらえたか」を重視します。

もしも採用人数が予定人数に達しなかったとしても、採用者全員がすごいパフォーマンスを発揮してくれたなら、その採用活動は十分に成功したということができるでしょう。

「採用弱者」のための戦略

マイクロリクルーティングは競争戦略なので、「マスを取りに行き、母集団を形成し、ふるいにかける」という 従来型の採用手法が通用する大企業や有名企業は、積極的に取り入れる必要がない と思います。大人数を採用する企業であれば、選考コストも膨大になってしまいますしね。年間の採用人数が50人以上の企業であれば、マイクロリクルーティングの発想は必要ないでしょう。

一方で「採用弱者」と呼ばれるような、 中小企業や地方の企業には絶大な効果を発揮します。

また、マイクロリクルーティングは自社で長期に渡って活躍してもらえる人材を選び抜く手法のため、多くの人材を短期間で確実に採用したい会社や成長軌道に合わせて人材の頭数を優先したいスタートアップの企業などにも不向きであると考えられます。

マイクロリクルーティングが中小企業向けの採用である理由

では、なぜマイクロリクルーティングが中小企業向けであるのか、説明していきます。

企業基礎力が強い企業と同じ戦い方をしても勝てない

どれだけマスに訴えかけたとしても、 知名度や企業規模が伴わなければ、多くの就職活動者に自社の求人情報を見てもらうことはできません 。また、どれだけ差別化を図ったとしても、同じ採用戦略や競争戦略を選択している限り、大手企業や有名企業など「企業基礎力」が強い企業に勝つことはできないのです。

複数の会社で比較が可能な場合、多くの人たちは規模の大きい会社や知名度の高い会社を優先します。これは至極当然なことです。だからこそ、企業基礎力が弱い中小企業や地方の企業は、「 差別化 」ではなく「 差異化 」を図り、 他社と比較されないオンリーワンな存在 にならなければならないのです。

限られた採用リソースを集中投下する必要がある

採用リソースの観点からも、中小企業や地方の企業は積極的にマイクロリクルーティングを実施するべきです。多くの中小企業は潤沢な採用リソースを持ち合わせていません。その貴重な採用リソースを最大限に活用するためには、 「やるべきこと」と「やらないこと」を明確にし、集中的に投下していく必要があるのです。

例えば、新卒採用を行う際に多くの企業は就活サイトへの出稿を行いますが、この行為を「やらないべきこと」に加えるとエントリー数は一気に激減します。しかし、考えてみて下さい。2~3人しか採用する予定のない企業にとって、就活サイトへの掲載は本当に必要なものでしょうか。

これは決して、中小企業や地方企業の就活サイトへの出稿を全否定しているわけではありません。他社との差異化を図るためには、自社のことをしっかりと伝える場が必要です。その場を設ける手段として、就活サイトへの出稿が適切かどうかを見極め、出稿する場合には出稿場所や出稿方法、応募者とのインターフェイスの作り方について、自社なりに考えてみたほうが良いということなのです。

活躍できる人材をとらないとダメージが大きい

人数が少ない中小企業にとって、採用による人材のミスマッチや不活性ってすごくダメージが大きいですよね。だからこそ、採用の精度を最大限に高め、確実に活躍してくれる人材を採用していかなければなりません。

毎年100人単位で採用できるような数千人規模以上の大企業であれば、社内に労働市場が形成されているので、フィットしない人材がいても、社内異動による調整を試みることができます。しかし、会社全体の人数が少ない中小企業だと、採用する人数ももちろん少なく、その人材を異動させるということは容易ではありません。仮に異動させることができたとしても、それが上手く機能しなかった時には目も当てられなくなってしまいます。

採用後の育成によって自社にフィットさせるという方法もありますが、全ての中小企業が高い育成能力を持っているわけではありません。 社内異動が難しく育成ノウハウに乏しい中小企業は、入社後の配置や育成を踏まえた採用戦略を構築し、ジャストフィットで人材を採りにいかなければならないのです。

マイクロリクルーティングには「自社なりの優秀人材の定義」が必須

マイクロリクルーティングを行う上で欠かせないのが、優秀人材の定義です。ここでいう優秀人材とは、「 自社でしっかりと活躍できる人材 」のことを指します。この答えは決して社外には存在しません。 答えは社内にしかないのです。

採用するべきは「自社にいない人材」ではなく「自社にいる人材」

「自社はどういう人を採用するべきなのか」を考えるポイントは、「 スキル 」と「 マインド 」の2つです。この2つは、今の社員の中から紐解いていかなければなりません。

実際に「こういう人が欲しい」というペルソナ設定が企業側から提示されたものの、社内の人達を分析していくと、そのペルソナにほぼ近い人が社内に居るケースがあります。でも「この方の評価は?」と聞くと、決して高くはないんです。話を聞いていくと「この人、実は面倒くさくて…」といったケースがある。

つまり、「こういう人材が欲しい」と自分たちで定義したのに、それに近い人は、実際には社内で「面倒くさい」人材になってしまう。せっかく入った人材が環境に馴染めず、異分子になっているケースが多い。それらの人材が活躍できる環境(配置・育成との連動)を構築できれば問題はないのですが、企業文化を変えるのは容易ではありません。

社内の人材を分析し、データで可視化されたことではじめて、いかに間違った採用戦略を築こうとしていたかに気付けるのです。

僕は、人の能力にそこまで大きな差はないと思っています。ただ、その能力は環境によって顕在化されたりされなかったりする。だから、 「自社でしっかりと活躍できる人材」を知るためにも、現在の自社のコンディションをしっかりと分析して、データを基に人材要件を可視化していく必要があります。

「自社なりの優秀人材の定義」を行う方法

自社のコンディションを分析する際には、必ずハイパフォーマーとローパフォーマーの両方から分析をかけてください。過去の適性検査の分析やインタビュー調査を通じて、 ハイパフォーマーからは「なぜ活躍できているのか」ローパフォーマーからは「なぜ活躍できていないのか」 を探っていくのです。

こうして得られた情報を元にスキルやマインドをセットしていくことで、「自社なりの優秀人材の定義」が明確なものとなります。

この「自社なりの優秀人材の定義」って、その会社の宝だと思っています。 他の会社では絶対採用しないような要件で、「自社にはそういう人材の方がフィットする」というものを見つけることができたなら、それはすごくラッキー ですよね。

マイクロリクルーティングを実施する上でのポイント

中小企業の採用コンサルティングを行っているモザイクワークでマイクロリクルーティングを実際する際の3つのポイントをお伝えします。

母集団という考え方から脱却する

先ほど就活サイトへの出稿について触れましたが、 マイクロリクルーティングを行う場合、母集団という考え方から脱却しなければいけません。 母集団を形成するということは、「より多くの人に自分の会社を良いと思ってもらう」ことであり、それは打ち出しが抽象的になるかデフォルメされやすい。しかし、それでは「自社なりの優秀人材の定義」から外れている人材も多数紛れ込んでしまいます。

マイクロリクルーティングにおいて重要なのは、 「より多くの人材を集める」ことではなく、「自社にフィットする人材を集める」こと です。エントリー数が増えないことに対する不安や恐怖はあるかと思いますが、そこで母集団形成に走ってしまうと選考の整合性が全て崩れてしまうので、しっかりと我慢して欲しいですね。

面接をあまり重視しない

モザイクワークでは、面接という手法はあまり重視していません。

「働くことに対してしっかりと向き合えている人」や「働くために十分な準備ができている人」を採用しなければならないのに、なぜか「就活を頑張っている人」を採用してしまうことがありますよね。 面接では採用活動が上手な人ほど採用されやすい傾向があります。 面接官個人の好き嫌いバイアスがかかってしまい、会社とのマッチング性が無視されてしまうことが少なくないのです。

独自のものさしで能力をアセスメントする

モザイクワークが応募者の能力を評価する上で大事にしているのは、「 実際に行動してもらう 」ことです。自社で活躍できる人材をジャストフィットで採用するためには、独自のものさしでアセスメントするしかありません。料理が上手な人を採用したい場合に料理を作ってもらうように、自社が求めているスキルやマインドを保有していることを行動で示してもらうのです。

仮に「主体性」を求めるならば、まず自社における「主体性」を再定義するために、社内で主体性を保有しているハイパフォーマーの思考や行動を参考にしながら、「主体性とは何か」や「主体性がある人の特徴や行動傾向」について考える。そして、同様の行動が取れるかどうかを見極めるための環境を構築する。

これが 独自の選考を用意し、独自のものさしで能力を評価する ということなのです。

マイクロリクルーティングを行っている企業事例

企業ごとに「自社における優秀な人材の定義」は異なります。したがって、具体的なアクションはその人材定義に基づき行うため、実際にどのような採用手法をとったのかは、企業ごとに変わってくるのが当然です。

ここでは、3社の事例をご紹介します。

三幸製菓株式会社/日本一短いES・おせんべい採用

まずは新潟の「三幸製菓」さんの事例を紹介します。

エントリー方法はいたってシンプル。まずは、「『日本一短いES』の前に」で「おせんべいが好き?」「ニイガタで働ける?」の2つの回答を用意。学生は、その 質問に回答しメールアドレスを入力するだけでエントリー完了 です。その後、自社の活躍人材とのマッチ度を測るための適性検査を受検してもらい、活躍人材のタイプいずれかに該当した方のみ通過となります。

通過者には、適性にあった選考を17種類の中からいくつかレコメンド。その中にはおせんべいへの愛をプレゼンしてもらう「おせんべい採用」といったユニークなものもありました。学生はレコメンドされた中から1つを選んで受検します。この選考を通過したら、あとは最終面接のみです。

これは、 採用を「情報のやりとりである」と再定義 したうえで、必要な情報を整理し、その情報を必要なタイミングで必要な量だけやりとりできる流れを構築したものです。

杉崎リース工業株式会社/48時間採用

中小企業や地方の会社で、ワークサンプルのような長期のインターンシップを行うことはなかなか難しいですよね。そこで、新潟の杉崎リース工業さんには学生と会社側の人間がお互いの24時間を交換し合う「48時間採用」を導入しました。

1日目の24時間は、学生に会社で様々な人達と出会い、語り、一緒に仕事に同行してもらいます。2日目の24時間は、会社側の人間が学生に同行します。時間の過ごし方は完全に学生の自由で、ゼミやアルバイトに同行したり、家族や友人と会うこともあります。

48時間かけてお互いの癖や考え方、周辺環境に対する理解を深め、その上で両者ともに「良い」と判断した場合、採用が決定するのです。

48時間採用は、2人きりで過ごすわけではないので、 面接のような好き嫌いバイアスがかかりにくく、採用前から多くの社員と接点を持たせることができるため、入社後のフォローもほとんど不要 となります。この制度に協力してくれた社員たちが採用後も気にかけ、面倒を見てくれるのです。学生としても、社内に知ってる人が何人もいたら安心ですよね。

杉崎リース工業さんは、社員教育としての効果も得られたそうです。面接のように1~2時間であれば、何か質問されても付け焼き刃の知識で乗り切ることもできますが、24時間だとそういうわけにはいきません。だから、学生と関わりを持つ社員たちは他部署のことも含め、自分の会社のことを一生懸命調べ、学んでくれたというのです。

じぶん銀行/シークレットコード採用

「巻き込み力」を保有する人材を必要としていたじぶん銀行さんには、「シークレットコード採用」という巻き込み力を判定できる独自の選考を導入しました。

シークレットコード採用では、一定のルールに基づいて並んでいる文字や数字の羅列を解析し、その結果得られた時事問題に答えてもらいます。時事問題は正解があるような一問一答的なものではなく、状況分析→仮説構築→ディスカッション→提言という流れを課すなど、この一連の作業を、様々な人たちの力や知恵を借りながら進めてもらうのです。

与えられたミッションを達成するために周囲の人を巻き込む。これって仕事のプロセスと同じですよね。シークレットコード採用はそのプロセスを再現している。だから、この選考の後にはもう最終面接しか用意していません。

時事問題に対する回答から応募者の巻き込み力を判定し、合格であれば最終面接を受けてもらう。余計な雑音を入れない、極めてシンプルな構造にしている んです。

ちなみに、これら選考は「会わない選考」として 最終面接までは原則「会わない」 。これは場所に制約をされないという点だけではなく、ネット銀行という原則「会わない」中でどう自分自身の価値提供をするか、が求められるビジネスモデルとも連動させています。

自社の採用をデザインする

多くの中小企業や地方企業は、未だに母集団の形成や採用目標数の達成を目的とした採用活動を行っています。 広告ビジネスのように自社にとって都合の良い情報だけを発信することによって、一人でも多くの就職活動者に自社を認知、支持してもらおうとしているのです。

しかし、本当にしなければならないのは自社で活躍できる人材を獲得することであり、自社にフィットしない人材に受けさせない仕組みを作ることではないでしょうか。

「自社はどういう人を採用するべきなのか」について真剣に考え、自社なりの優秀人材を定義する。そして、その定義に当てはまる人材に最小限の力でリーチできる独自の採用戦略や採用システムを構築する。使用するサービスや提携するサプライヤーの検討というのは、それらを整える作業(スタイリング)でしかありません。

企業の採用担当者には、しっかりと自社の採用をデザインして欲しいですね。

株式会社モザイクワーク 代表取締役社長/組織人事クリエイティブディレクター
杉浦 二郎

2015年9月まで三幸製菓人事責任者を務め、同年10月より現職。株式会社モザイクワークを設立し、採用プランナーとしても活動中。
外部アドバイザーとして三幸製菓の17採用にも関与。「カフェテリア採用」「日本一短いES」等々を生み出し、TV、新聞、ビジネス誌等、多くの媒体に取り上げられる。イベントでの講演多数。
また、地元新潟において、産学連携キャリアイベントを立ち上げるなど、「地方」をテーマにしたキャリア・就職支援にも取り組んでいる。
「マイクロリクルーティングに興味を持っていただけた場合は、モザイクワークにぜひご相談ください。」
http://mosaicwork.co.jp/

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