出戻り社員
中途採用で社員を雇うのは相応のコストがかかるものですが、一度会社を辞めた社員を再雇用する「出戻り社員」は違います。確実な即戦力になる上に教育コストもかかりません。出戻り社員を採用する際のポイントについてまとめました。
出戻り社員とは?
出戻り社員とは、転職などで会社を辞めて出ていった後、再び元の会社に戻ってきて働く社員のことを言います。一度辞めた社員が本当に戻ってくるのかと気になるかもしれませんが、社員が会社を去る理由は一つではありません。会社が合わずに辞めた社員もいれば、会社が好きだったにも関わらず止む終えぬ事情があって辞めた社員もいます。
「また働きたい」という思いが少しでもあれば、出戻り社員になる可能性があるのです。
会社に戻ってくる理由
病気・出産・引っ越しなど止む終えない事情で退職した場合、抱えていた問題が退職した結果戻ってきて出戻り社員になるというケースが多くあります。です。こういった場合には同僚との軋轢も生まれにくく、スムーズに出戻りが成功します。
また、会社が合わずに辞めた社員やキャリアアップを目指した社員が転職先で上手く行かずに戻ってくるケースもあるでしょう。こうした場合には同僚との軋轢が生まれる可能性があるため、注意が必要です。
出戻り社員採用のメリット・デメリット
それでは、出戻り社員を採用する場合のメリット・デメリットを確認しましょう。
メリット1:即戦力になる
出戻り社員は会社で働いていた実績と経験があり、会社のシステムなども理解しているので即戦力です。会社内で大きな変化がなければ採用してすぐ働いてもらうことも可能で、他の中途採用の社員に比べると大きなメリットがあると言えます。
また、病気退職ではなく別の会社で働いていた場合には新しいスキルなどを身に着けているかもしれません。今まで以上の活躍を見せてくれる可能性もあるでしょう。
メリット2:コストをおさえられる
経験豊富な中途採用の方でも、以前の会社とやり方が違えば採用後にはそれ相応の教育コストがかかります。採用前の段階でも、人材仲介のエージェントなどを挟めばかなりの採用コストが必要です。出戻り社員の場合には社員に直接コンタクトを取れることも多く、採用から実務に携わるまでの時間的・金銭的コストが最小限に抑えられます。
メリット3:どんな人間かよく分かっている
上司にせよ同僚にせよ、出戻り社員の場合にはその人となりが既に分かっています。採用時の面接で理解できるその人の性格や人間性は限られており、完全な新規採用の場合には会社に合わないリスクが多かれ少なかれあるでしょう。
しかし、出戻り社員ではそれがありません。仕事に積極的に取り組んでくれるのか、会社に合わせてくれるのか、一緒に働く上で知る必要のある人間性が分かっているのは大きいです。
デメリット1:在籍社員に悪影響が出る
どんな理由で辞めたのかにもよりますが、会社を辞めてすぐに戻ってくるというのは在籍社員にとっては少なからずショックです。辞めたいと思いながら我慢して働いている社員がいる場合、そうした社員のモチベーションが下がる可能性があります。特に出戻り社員の待遇が以前よりも良くなっていると、他の社員への悪影響は無視できなくなります。
デメリット2:出戻り社員が会社の変化に馴染めない
以前働いていたとは言え、会社での人間関係が全く同じであるとは限りません。社内のシステムや体制が大きく変わっている可能性もあるでしょう。再び戻ってきた社員が「何かが前と違う」という印象を抱いたままだと、気持ちよく働けません。在籍社員だけではなく、出戻り社員自身のモチベーションが下がるリスクがあります。
出戻り社員の採用で気を付けるべきポイント
実際に出戻り社員を採用した場合は、以下の2点に気をつけましょう。
出戻りの理由をきちんと把握する
出戻り社員のメリットは大きいですが、デメリットも無視できません。その社員が「何故会社を辞めたのか」「何故会社に戻ってくるのか」についてはきちんと把握しましょう。誰もが納得できる理由であれば、その社員を再雇用するのにさほどリスクはありません。少しでも引っかかる部分があるのなら、その社員の能力などを鑑み慎重に答えを出す必要があります。
出戻り社員の待遇は要注意!
出戻り社員の待遇については特に気を付けなければなりません。社内規定があればそれに則った処遇をすれば良いのですが、規定がない場合には難しい決断です。病気や子育てなどで実務から離れていたのであれば以前と同じ待遇でも良いでしょう。
しかし、以前よりも経験を積んでいる場合には、より良い待遇で迎えることも考えなくてはなりません。管理職などに就かせる場合には、明確な実績がないと他の社員が納得できない可能性があります。
まとめ
即戦力になるという大きなメリットもあれば、他の社員のモチベーションを下げるデメリットもあります。上手く行けば優秀な人材を低コストで確保できるようになるため、機会があれば前向きに再雇用を検討してみてはいかがでしょうか?
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