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連載:第42回 組織作り その要諦

オフィスがなくても事業は成長できる。フルリモートの組織を支える共通言語とは

BizHint 編集部 2022年7月8日(金)掲載
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簡単な操作で誰でも在庫管理ができるクラウド在庫管理ソフトzaicoを開発・提供する株式会社ZAICOは2016年の創業時からフルリモートの働き方を実現しています。コロナ禍で急速に拡大したリモートワークですが、従業員の労働時間の管理やチームワークの活性化、従業員のモチベーション・メンタルヘルスの維持などに大きな課題を感じた企業も多かったのではないでしょうか。株式会社ZAICOの代表取締役社長・田村壽英さんにフルリモート環境下における組織づくりのポイントや、12万人のユーザーに支持されるzaico誕生のきっかけについて伺いました。

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株式会社ZAICO
代表取締役社長 田村 壽英 さん

1983年生まれ、山形県米沢市出身。伊豆大島在住。freee株式会社で3年間プロダクトマネージャーを務めながら、経営が傾いた実家の倉庫業のためにクラウド在庫管理ソフト「スマート在庫管理」を開発。2016年10月に株式会社ZAICOを設立し、「クラウド在庫管理ソフトzaico」を開発、運営する。


2億円の借金を抱えた家業を助けたい。自分にできることから始めたシステム開発

――「クラウド在庫管理ソフトzaico(以下、zaico)」が開発されたきっかけに、田村様の家業が深く関わっていると伺いました。

田村壽英さん(以下、田村): うちの実家は山形県米沢市で「株式会社田村倉庫」という業務用貸倉庫を営んでいます。米沢市の大字花沢に800坪、万世に1000坪の倉庫を持っていて、業務用倉庫としては比較的小規模の倉庫ですが、最盛期には年に1億2千万円ほどの売上があったようです。僕は長男なので、いずれは後を継ぐことについて話が来るだろうなと思っていました。

大学を出て、東京でITエンジニアとして働きだして3年目の2014年頃に、「実家の経営がやばい」と聞かされたんです。 売上が年間3000万円まで落ち込んでいるうえに、借金が2億円あるらしいと。 いずれは山形に戻ることも考えていたので、 家業がボロボロの状態で継ぐのではなく、自分のスキルを活かして今のうちからなにか手助けができないかなと思ったのが、 zaicoの前身である「スマート在庫管理」の開発を決めたきっかけです。

――なぜ、在庫管理に着目したのでしょうか?

田村: 倉庫を利用したい人がどんな人なのか考えたときに、 倉庫を借りないといけないぐらい数があって、大事な荷物を持ってる人って、おそらく在庫管理をされてるんじゃないかと思いました。

同時に、田村倉庫の内部でも在庫管理が課題になっていたんです。 倉庫のどこに何が入っているのか、倉庫番の人しか把握できていなかった。 一度、市販のパッケージソフトの導入を試みたんですが、「むずかしい、面倒くさい」と言われてしまって。 倉庫の中で作業するには、スマホで簡単に入力できる仕組みでなければ現実的ではないと現場で実感しました。 逆に言えば、操作が簡単な在庫管理のシステムがあれば、現場とお客様の課題を解決できるのではないかと思ったんです。

まずはやってみようと思って試作を始めました。通勤時間などのスキマ時間を使いながら3ヶ月ぐらいで作って、2014年に最初のバージョンを公開しました。システムそのものは誰でも使えるようにしていたんですけど、 特定の機能を使うには田村倉庫と契約しないといけない仕組みにして、田村倉庫の集客と売上アップに繋がるよう工夫しました。

それまでは地元の人しか知らない倉庫だったんですが、Web上でシステムを公開したことで全国からお客様の荷物が集まるようになりました。ちょうどネットショッピングが盛り上がりつつあった時期で、倉庫や在庫管理のニーズが高まっていたんですね。タイミングが良かったと思います。結果的に、「スマート在庫管理」は田村倉庫が回復した1つのきっかけになってくれました。

――田村さんは現在、株式会社ZAICO(以下、ZAICO)を経営していますが、「スマート在庫管理」を「zaico」として独立させたのはなぜですか?

田村: 「スマート在庫管理」を提供してから、父親と田村倉庫の仕事をする時間が増えて、少しずつ仕事の進め方や考え方について違いが見えてきたんです。相手に踏み込んでほしくない領域が互いにあるのがわかりました。

例えば、広告費に5万円使いたいと相談した時に、なぜ5万円も必要なのかが父にはピンと来ない。僕も5万円で出来ることや見込める効果を毎回ちゃんと説明しないといけない。必要なことだけど、少しずつ互いにストレスが溜まっていく。 衝突まではいかなかったけれど、互いに少し距離をおいて、倉庫業と在庫管理システムが互いに支え合う関係の方がうまくいくよね、と。

倉庫業がだんだん上向いてきて、借金も完済できそうな見通しが立った段階で、田村倉庫の方は弟が継いでくれることになりました。自分がシステム開発を通じて家業の手助けができただけでなく、それまでは家業に消極的だった弟がだんだん上向いていく田村倉庫を見て、「倉庫業もいいな」と思ってくれたことが、とても嬉しかったですね。

「合理性だけではない」父から学んだ事業の作り方

――独立にあたり、家業でのご経験から参考にされたことはありましたか?

田村: 家業というより父から学んだことなんですが、 「ちょっとぐらい損してもいいじゃないか」というマインド ですね。父は僕が子供の頃からそんなふうによく言っていました。

父と一緒に仕事をするようになって、父が困っていると色んな人が助けてくれることに気づきました。なんでだろうなと思ってみていると、父はまず相手を信じて優しく手を差し伸べるんですね。その過程で損をしていても、全然それを気にしていない。そうして父がいつか助けてあげた人が、今度は父を助けてくれる。父が積み重ねてきたことが、今の流れを作っているんだなと気づいた時に、 「どっちが安いか、得か」みたいな単純な意思決定は、あまりよくないなと思ったんです。

――2016年の創業時からフルリモート勤務を実現されていますが、従業員の様子が見えないことへの懸念や不安はなかったのでしょうか。

田村: 身も蓋もない話なんですが、実はリモート以外の選択肢がなかったんです。創業した時にオフィスを構えるお金がなかったから(笑)。

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