連載:第25回 経営危機からの復活
知られざる高収益企業LEGO、2度の経営危機を乗り越えイノベーションのジレンマを克服できた理由
子ども向けブロック玩具として絶大な人気を誇るレゴ。実はGAFAを凌ぐ超効率経営を行う高収益企業でもあります。しかし、そんなレゴ社も2度に渡る経営危機に陥り、イノベーションのジレンマに陥った経験があるそう。レゴ社はどのように危機を脱したのか。書籍『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』(ダイヤモンド社刊)の著者蛯谷敏さんが紐解きます。
ブロック玩具の「LEGO(レゴ)」を知らないという人は少ないのではないか。
色とりどりの様々な形をしたプラスチックのブロック。現在は世界140カ国以上で販売され、年間750億個超が生産されている。レゴは1916年に北欧デンマーク西部の町・ビルンで誕生した非上場会社である。大工だった創業者のオーレ・キアク・クリスチャンセンが、1932年に木製玩具の製造と販売を開始。これが実質的な玩具メーカーとしての創業で、今も一族が75%の株式を保有する。ブロックの製造と開発を事業の中核に据え、89年の歴史を重ねてきた。
現在は、創業家の資産運用会社「Kirkbi(カークビー)」の下で、レゴ玩具事業を統括するレゴ・グループ、ベンチャーキャピタルのレゴ・ベンチャーズ、大学や教育機関などとレゴの教育研究を進めるレゴファウンデーション(レゴ財団)、レゴランドなどのテーマパーク事業を運営する英マーリン・エンターテイメンツなどを抱える企業群を形成する。社員はレゴ・グループだけで2万人を超えている。
2021年、創業の地であるデンマーク西部のビルンに完成した新本社
日本では知育玩具の印象が強いレゴだが、世界では非上場ながら有数の超高収益企業として知られている。2020年12月期の決算は、売上高が436億5600万デンマーク・クローネ(約7596億円=1デンマーク・クローネ17.4円換算)、営業利益が129億1200万デンマーク・クローネ(約2247億円)。売上規模は、この10年間で約3倍に増え、「バービー人形」で有名な米マテルや、「モノポリー」で知られる米ハズブロを抜き、売上高では玩具メーカー世界一の座に君臨している。
事業をブロックの開発・製造に絞り込んだ結果、メーカーとしては突出した効率経営を誇っている。売上高営業利益率は2020年12月期で29.6%。ROE(自己資本利益率)は同43.4%。この水準はライバルの玩具メーカーをはるかに上回り、2020年以降はコロナ禍を追い風に伸びがさらに加速している。業種や規模こそ違えど、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)といった巨大インターネット企業に匹敵する。事業の成長に伴ってブランド力も高まり、米調査会社のブランド信頼ランキングでは、2020年、2021年と2年連続トップに立った。
「イノベーションのジレンマ」で90年代は危機に
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