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連載:第12回 経営危機からの復活

倒産危機から10年、県内有数の就職人気企業になった中小企業。経営者と社員、変革の歩み

BizHint 編集部 2021年3月4日(木)掲載
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2020年の岡山県の希望就職先ランキングにおいて、県内の名だたる大手企業と並び、4位にランクインした“中小企業”があります。岡山市に本社を構える株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)です。創業100年を超える老舗企業ですが、リーマンショック時には倒産の危機に……。その逆境をどう乗り越え、多くの学生に選ばれる企業へと変貌を遂げたのか。代表取締役社長の石井聖博さんにお話を伺いました。

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石井聖博
石井 聖博さん
株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ) 代表取締役社長

1979年岡山県生まれ。帝京大学を卒業後、キヤノンマーケティングジャパン株式会社に入社。4年間外部での経験を積んだあと、2006年に父の経営する株式会社石井事務機センターに入社。2015年から4代目社長として現職。2018年に株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)に社名変更。現在は、快適なオフィス環境の提案やテレワークの導入支援、広く経営課題の解決にいたるまで、誰もが笑顔で働ける企業づくりをサポートしている。詳しくはこちら>>

「会社は潰すから、お前は他で仕事を探せ」

石井聖博さん(以下、石井): 当社の創業は1911年です。創業時は筆や墨を売る文具店として、その後は、事務用品・オフィス家具・OA機器の販売を主な事業としていました。しかし、私が入社した2006年には斜陽産業となっており、厳しい価格競争に巻き込まれ、昔からの付き合いや人間関係に頼って商売をしているような状態でした……。

そんな中、 2008年のリーマンショックにより需要はガタ落ちし、取引先も激減。当社は倒産寸前のところまで追い込まれてしまった のです。相当厳しい状態だったんでしょう。当時社長であった父からは、「会社は潰すから、お前は他で仕事を探せ」と言われたほどです。

当時の私は、正直父親とはあまり仲が良くなく、「自分が経営者になったらこうしたい」というビジョンを持っていた訳でもありませんでした。それでも、何もしないで会社を倒産させることだけは絶対にしたくなかった。銀行には、現状と同じでは先行きが難しいため、新しいビジネスモデルを考えるよう言われましたが、新しいビジネスモデルなんて、すぐにできるものでもありません。まずはとにかく営業に明け暮れました。「絶対に会社を復活させて、見返してやる!」という気持ちだけで、がむしゃらに働き続けましたね。

――そんな過去から一転、現在は「ワークスタイル創造提案企業」として大きく変貌を遂げています。どのようなきっかけがあったのでしょうか?

石井: 営業でお客様と接している毎日の中で、あることに気付きました。 我々のお客様はコピー機や事務機などの“モノ”が欲しい訳ではなく、より効率的に、快適に仕事ができる“環境”が欲しい、 そこにお金を払っているのだということ。

そこで、 「売るモノ 」と 「売り方」 を変えようと決意しました。

まずひとつめの「売るモノ」。当社の倒産危機はリーマンショックに起因するものでしたが、 そもそもの業績悪化の要因は、当社でしか扱えない商材がない、差別化できるものがなかったこと。 今はインターネットで何でも買える時代、同じものを売るなら価格競争は避けられません。

であれば、当社でしか売れないものを作ろうと 「売る価値の定義」 を考え直しました。お客様の本質的な課題を解決するため、新たな方針「よりよい働き方を提案する」を打ち出し、事業領域を見直したことでその後の展開が見えてきました。

もう一つの「売り方」について。お客様のもとに伺い「よりよい働き方」について説明しても、なかなかイメージしづらいものです。それならば、実際に見ていただく・体験いただくほうがはやいだろうと考え、企業に出向く訪問販売から 「来店体験型販売」 へと転換しました。

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