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連載:第13回 プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】

経営の「攻めと守り」のバランスを上手く取る【三星グループ・岩田真吾さん】

BizHint 編集部 2019年6月5日(水)掲載
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プロ・リクルーター、河合聡一郎さんによる事業承継のヒントを探る連載。前回に引き続き、三星毛糸株式会社 代表取締役社長の岩田真吾さんにお話を伺います。29歳の若さで創業130年を超える生地メーカーの5代目となった岩田さん。近年、日本の繊維産業が苦境に立たされるなか、海外ブランドとの取引を拡大したり、自社の技術を活かした新規事業に取り組んだりするなど、新たな活路を見出しています。時代の変化に合わせたしなやかな組織づくり、さらに地域との連携から、地方の中小企業が生き残るヒントが見えてきました。

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岩田真吾さん

1981年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、三菱商事株式会社、ボストン・コンサルティング・グループを経て、2009年に三星毛糸株式会社・三星染整株式会社・株式会社ウラノスに入社。2010年、代表取締役社長に就任。


三星の強み、ウール100%の洗えるTシャツ

河合聡一郎さん(以下、河合): 日本の繊維業界全体が大きな変化を求められている環境下で打破をするために、岩田さんとしては何か次の一手を何か考えているのでしょうか。

岩田真吾さん(以下、岩田): これまで三星ではBtoBのお客様が中心でしたが、サプライチェーンが長くなり、海外の競合企業も増えてきました。自社の既存リソースだけでは太刀打ちするのは難しい。

現在進めているのはBtoCの取り組みです。2015年に 自社ブランド「MITSUBOSHI 1887」を立ち上げました。私たちの強みである上質なテキスタイルでストールなどを仕立てたファブリックブランドです。 BtoCの接点から将来的にBtoBへ流せていけたらとも考えています。

河合: 単純にいいモノづくりだけでは事業は続いていけない。BtoBとBtoC、両軸が大事ですね。

岩田: それから、生地の海外への輸出も増やしたいと思っています。すでにヨーロッパのハイブランドにも卸していますし、対EUとのEPA協定で関税率が下がるのも追い風と思っています。

昔は海外の展示会に出展し商社を通して取引するのが主流でした。ですが、 私たちはブランドとパイプのある現地エージェントと密に接点を持ってブランドと直接取り組みを進めています。 彼らはブランド側のニーズを汲んだ生地をマッチングしてくれるし、インターネットを介して直接コミュニケーションできます。今年は、2週間くらいかけてヨーロッパ中を行脚する予定です。ブランドのデザイナーやリサーチャーと直接会って好みを知ることができるし、なにより自分たちの思いを伝えられますしね。

海外の展示会にて。エージェントとコミュニケーションを取りニーズをヒアリングする

河合: 待っていてもはじまらない。これまでの商習慣を変え、自らお客様を積極的に発掘、開拓していくんですね。

岩田: ええ。100年以上続く真摯なものづくりの姿勢を土台にして、自分たちの製品が人々の生活をどう豊かにできるかを考えていきたい。 自分たちは「人と素材の素敵な関係を創る」と言っています。

河合: 樹脂部門に関して攻めの部分はどんな内容になのでしょうか?

岩田: 樹脂は繊維と違ってクライアントの規模が大きいので、なかなか新規開拓が難しいのが現状です。しかし、例えば自動車産業だったら……電気自動車はボディをできるだけ軽量化するために部品を樹脂化する需要があります。将来のニーズに応じた共同開発などにも応えられるようになれたらと思っています。

河合: やはり企業にとっていちばんの強みである繊維業を土台にしながらも、新しい取り組みにも積極的に攻めている。お客様との新たな接点の創出は、伸び悩みを抱える企業にとっても開くヒントになりそうですね。

岩田: それから最近、新たな試みとしてTシャツの販売をスタートしました。 自社のテキスタイルを使った100%ウール製のTシャツです。 ウールというとセーターに使われるイメージがありますが、保温性や速乾性、防臭効果に優れていて登山用の下着などにも使われるほど。肌ざわりがちくちくしたり、洗濯機で洗えないのがデメリットでしたが、2年かけて家庭用洗濯機でも洗える生地を開発し、クラウドファンディングを活用して販売しています。

代官山のショールーム型店舗でTシャツの試着もできる。クラウドファンディングなども活用して商品開発を進めている

河合: 自社ブランドは販売チャネルの構築が必要だったり、在庫を抱えたりなどのリスクを伴います。それでもなぜ、自社ブランドに挑戦するのでしょうか?

岩田: 自分たちが工夫することで、日本のいい繊維をもっと楽しんでいただけるようにしたいからです。例えば青森・大間産の本マグロを、東京の料亭で食べようと思っても高価でなかなか手が出せません。けれど地元の市場で買い付ければ、手頃な値段で本物の味が楽しめる。

同じように、私たちの生地はハイブランドでも使われていますが、その生地でスーツを仕立てたら1着約40万円します。買える人はハイエンド層に限られてしまいます。上質な素材をもっと身近に親しんでいただきたい。だからこそ、Tシャツを販売するのです。

「会いに行ける工場」を岐阜に作る

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