連載:第25回 プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】
20年で売上138億まで成長した獺祭。先を見据えた組織造りのカギとは?
「獺祭」で著名な旭酒造株式会社の三代目桜井博志会長。ブランド立ち上げから20年間で売上は138億円の規模にまでなりました。今回は事業成長するなかでの組織の課題について聞いていきます。桜井さんは「売上3億のときには10億になったらのことを。10億になったら100億になったらのことを考えてきた」と話します。根底にあるのは「世の中で必要とされるものが生き残る」という経営哲学だそう。桜井さんの先を見据えた組織論について伺っていきます。
この記事でわかること
- 組織拡大で想いが伝わりにくくなる中、社長はどうすべきか?
- 売上・利益の最大化よりも大切な、成長のための経営哲学とは?
- 更に先を見据え、桜井社長が取り組んでいるプロジェクトとは?
事業承継をするなかで、方向性に合わない社員はどうすればいいのか
河合聡一郎さん(以下、河合): 旭酒造を継がれて、獺祭ブランドを立ち上げるなかでの組織についてもお伺いさせてください。桜井さんが継いだ当時の会社は、雰囲気やいらっしゃる社員の方々も含めてどのような組織だったのでしょうか?
桜井博志さん(以下、桜井): 私が会社を継いだ1984年当時は昭和の真っ只中です。昭和の地方の酒蔵の社員は兼業農家で、たんぼは大事だけど、今の人が思うほどには会社への忠誠心はなかったと思います。
売上が前年比85%で業績不振が続いていたとき、「売上が落ちて減るのは大変なことである」と社員は理解していたと思いますが、実は業務量が減るので会社が潰れない限りは楽になります。社員たちだけでは、危機感を持って獺祭を造り上げるのは難しかったと思います。
そもそも、 社員は忠誠心や危機感よりも自分たちの生活の安定が大事なはず です。会社は社員の忠誠心を当てにする前にいかに社員の処遇をよくするかに注力すべきです。父の代からの社員たちは定年まで勤めてくれた方が多かったですが……それも低い給料で。今になってから当時のことを思い返せば、会社側は合わない社員をいつまでも抱えるのもよくないし、社員も変な会社にずっといるのはよくないもの。バブル期に羽振りのいい建設業にいけばもっと裕福な暮らしができたかもしれませんから。そこは私の反省でもあります。
河合: 現在、売上は138億円、社員は240名まで増えたと伺っています。桜井さんが会社を継がれて、獺祭ブランドを立ち上げて、会社が拡大するなかで組織運営において、大小問わず問題などは起きなかったのでしょうか?
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バックナンバー (29)
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