連載:第74回 組織作り その要諦
自律型組織の絶対条件。「正しい評価は絶対不可能」と断じる社長が捨てた常識
創業100周年を迎えた老舗メーカーでありながら、社員が活き活きと働く「自律型組織」として高い注目を浴びている木村石鹸工業株式会社。近年では、社員自身が希望の給与を会社に申告する「自己申告型給与制度」を導入し、組織の主体性がより高まっているのだそう。しかし、木村祥一郎社長が入社された当時は、「この会社は、言ったもん負けです」と言い切るほど、失敗を恐れる受け身体質の組織だったと言います。約10年の歳月をかけて、木村社長はどのように組織を導いてきたのでしょうか。詳しく伺います。
木村石鹸工業株式会社
代表取締役社長 木村 祥一郎さん
1972年大阪府生まれ。1995年、同志社大学在学中に友人と有限会社ジャパンサーチエンジンを創業。商品開発やマーケティグなどを担当し取締役に就任。2013年、家業である木村石鹸工業へ入社。2016年より現職。
「自律してほしい」と促すその状況、本当に“自律”と言えるのか?
――現在は、社員の主体性や自律を促す組織づくりを目指す企業が多い印象です。そんな中で、貴社は自律型組織で企業を成長させている事例として、高い注目を浴びています。
木村祥一郎さん(以下、木村): ありがとうございます。しかし、最初から「自律型組織」を目指していた訳ではないんです。
僕が理想としているのは「社員が楽しく、仲良く協力して働ける」組織。
仕事の中で「人間関係」の要素ってすごく大きいですよね。その関係性が悪いと、仕事も楽しくなくなる。でも、信頼関係があれば人間関係を良くすることができる。だからこそ、 一緒に働く仲間同士が「信頼しあえる関係にある」ということが最も重要 だと考えています。
しかし、 多くの企業における組織づくりは、「信頼」ではなく「心配」をベースにしている印象がある んですよね。社員がちゃんと働いてくれるだろうかとか、社員が不正をするんじゃないか…とか、そういった「心配」をベースにルールを作ったりマネジメントしている気がしています。当社は、「心配」より「信頼」が勝る組織にしたい。それが結果的に、「自律型組織」「自律分散型組織」「ティール組織」と呼ばれるものに近いのだと思います。
一方で、僕は思うんです。「自律型組織を目指します!」とトップが宣言し、仕組みや制度を作って「自律しなさい」と促すのはおかしな話だなと。その状態、本当に自律と言えるのでしょうか?
たぶん、もっとシンプルな話なんですよ。人が集まって何かをするとき、その中で勝手に役割分担ができます。子どもだって、集団で動く時には協調してうまくやろうと働き掛け合います。それって、人間の「自然な行動」なんじゃないかと。しかし、「会社」という組織になるとそれがしづらい状況がある。ルールがあって勝手に動けないとか、上司にお伺いを立てる必要があるとか。自然な行動を阻害する要因が多いんです。
――それでは、木村社長が考える「自律型組織の絶対条件」とは何なのでしょうか?
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