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連載:第73回 組織作り その要諦

「クレームに応じすぎると過剰品質につながる」旧弊に立ち向かった3代目の挑戦

BizHint 編集部 2024年5月9日(木)掲載
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「経営も事業も何もわからない状態で、家業を継ぐことになったんです」。そう語るのは、山仁薬品株式会社の3代目 関谷康子さん。引き継ぎのない状態で入社して目にしたのは雰囲気が暗い組織と、営業に出ない営業部…。「クレームに応じすぎると過剰品質につながる」という思想が流れる組織に経営者としてどう対峙し、時代に適応した経営を進めてきたのか、お話を伺いました。

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山仁薬品株式会社
代表取締役 関谷康子さん

兵庫県芦屋市生まれ。摂南大学薬学部卒業後、杏林製薬を経て 2009年8月、山仁薬品に入社。2010年1月、代表取締役に就任


挨拶がない「暗い会社」で新米社長が取り組んだこと

――2009年に山仁薬品に入社、そこから半年もしないうちに3代目に就任されています。入社から社長就任に至る経緯を教えていただけますか。

関谷康子さん(以下、関谷): 当社は祖父がシリカゲル乾燥剤の販売権を日本で初めて取得し、1954年に個人商店として創業したのが始まりです。以来、シリカゲルを日本に広め、2代目の父は靴や衣料品、家庭用へと市場を拡大してきました。

一方、私は大学で薬学を学んだのち、製薬会社でMR(医薬情報担当者)として働いていました。私が30代半ばに差し掛かった頃、父が病に倒れ、後を継ぐことになりました。

父は私の入社する少し前に引退。私は父から引き継ぎを受けられませんでしたので、会社経営はもちろん、事業の中身すらもわからない状態からのスタートでした。

――入社されていかがでしたか?

関谷: まず感じたのは覇気がない、ということ。社員同士がすれ違っても挨拶しない。またそのことに、誰も疑問をいだいていませんでした。

そして営業面では、お客様を訪問しないことに驚きました。営業スタッフはずっと机に向かっていて、新規開拓もお得意先への訪問もしないのが当たり前…。

聞けば「自ら営業に行く必要はない」というのが先代・父の方針でした。それでもある程度は注文が来るので、経営は成り立っていました。

そうした中で、私が最も違和感を感じたのが「クレーム」への考え方。

「クレーム対応は、ほどほどで良い」。さらには「クレームに応じすぎると過剰品質につながる」という思想が組織に根付いていました。

言いたいことはわからないでもないですが、これは私が目指す会社の姿とは違いました。

当社は創業以来「三方よし」「すべては人から」といった信念を掲げています。この雰囲気、社員の姿勢が続けば、当社はいずれお客様や時代の変化に取り残され、立ち行かなくなる日が来ると感じました。

――そのような組織と、どう向き合っていかれたのでしょうか?

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