連載:第53回 成長企業 社長が考えていること
「部下はあなたの思うようには動かない」恩師の言葉で救われた。見学殺到の工場、リーダーシップの本質
事務職しか経験のなかった「小娘」が赤字転落の危機の中、いきなりの事業承継で経営者に。待ったなしの場面で、真っ先に手を付けたのは組織づくりでした。5S運動に始まり、社員との接し方で大きな転機となったのが「社員が社長の言うとおりにやらないのは、普通のこと」という恩師の言葉。そこで考え方を変えた所からV字回復、会社の飛躍が始まります。株式会社田野井製作所 代表取締役の田野井優美さんに話を聞きました。
株式会社田野井製作所
代表取締役 田野井 優美 さん
東京都出身。米国留学後、2002年に田野井製作所入社。取締役副社長を経て2013 年より現職。田野井製作所は1923年創業のタップ・ダイスメーカー。専業ならではの技術力で高い評価を得ている。会社・工場には県知事をはじめ、取引先や学生などの見学が後を絶たない。近著に『老舗工場の働き方大改革!100年企業のものづくりは人づくり~5代目女性社長の奮闘記~』(あさ出版)。
こんな小娘に任せて大丈夫か?社長就任に周囲は猛反発
――経営に携わるようになった経緯について教えてください。
田野井優美さん(以下、田野井): まず、2009年の正月に社長だった父から「お前を役員にしようと思っている」と言われ、取締役副社長に就任しました。
当時の私は33歳。主任という立場で、経営の「け」の字もわかりません。周り以上に私が驚きました。その後、2013年に社長に就任することになります。
当時はリーマンショックの真っ只中。売上が8割も落ちていました。父としては、今までの体制を続けていてもどのみち厳しい。「100年に1度」の変化に対応して次の一歩を踏み出すには、全く違った考え方でもっと若い人が活躍できる組織に変えたほうがいい、という思いもあったのでしょう。そこで私が抜擢され、社内改革に奔走することになりました。
―― 社員や取引先の反応はいかがでしたか?
田野井:「こんな小娘に任せて大丈夫か?」「経営なんてできるわけがない」と、反対の嵐 でしたね。当然、改革を進める中ではさまざまな反発に対峙しました。
経営者として未熟だった私が、そういった境遇を乗り越えられた大きな要因として、 環境整備の徹底や、師と仰ぐ小山昇さんからの数々のご指導 がありました。
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