連載:第54回 成長企業 社長が考えていること
稲盛和夫氏から学んだ2つの心得。V字回復を果たしたリーダーが“プレイヤー”に拘る理由
創業から10年目、営業社員の半数が離職して赤字に転落…。その原因はすべて自分自身にあったと語るのは、ランドネットの創業者である榮章博社長。マネジメントに苦しみ、もがくなかで光明となったのが、稲盛和夫氏から学んだ「2つの心得」でした。社長自身が気づきを経て変化したことにより、組織も業績も上向きに。15年で従業員数は30名から700名以上に、売上は636億に成長。2021年には株式上場も果たしました。同社の成長を支えた稲盛氏の教えと社長の考えるリーダーシップ、そして榮社長自身が「プレイヤー」に拘る理由について伺いました。
株式会社ランドネット
代表取締役 榮 章博さん
1960年大阪府生まれ。中央大学法学部卒業後、株式会社大京住宅流通に入社し、経営企画や中古マンション営業に従事。独学で業務効率化システムを開発したことから、1999年に株式会社ランドネットを創業し、代表取締役に就任。2021年に東京証券取引所スタンダード市場上場。第26回盛和塾世界大会にて稲盛経営者賞を受賞。
“経営者の重圧”に囚われていた社長。稲盛氏の言葉に救われた
――1999年にランドネットを創業。順調に成長していたものの、2009年におきた営業社員の大量離職が大きなターニングポイントになったそうですね。
榮 章博さん(以下、榮): はい。創業10年目である2009年の出来事です。営業社員20名のうち半数が辞める事態に陥りました。そして、創業以来はじめての赤字を計上してしまった年でもあります。
社員たちの離職の原因は…すべて私にありました。当時の私は今よりずっと感情的な人間でした。そして、 「命令で人は動かない」 ということをわかっておらず、自分ができることを社員にも求め、厳しい言葉を浴びせていたのです。頑張っても頑張っても叱られる…そんな状況では信頼関係なんて生まれませんし、辞めてしまうのも当然ですよね。あとから聞いた話では、社員たちの間では日常的に「いつ退職しようか?」という会話があったくらい、社内の雰囲気はボロボロだったんです。
この半数の営業社員が辞めてしまうという事態を経て、自分のマネジメントに危機感を抱きました。このままではいけない、自分を改めなければ…そんな思いはありましたが、一朝一夕では悪い癖は治りません。
なんとか改善しようと様々なセミナーに参加しました。そんな日々を過ごしているなか、たまたま日経新聞で稲盛和夫さんがJALのCEOに就任された記事を見たんです。そこで「盛和塾」という経営塾を主宰していることを知り、「ここで学べば人生が変わるかもしれない」そう感じ、入塾させていただきました。それが2010年1月のことです。
――盛和塾に入塾したことで、どういった変化がありましたか?
榮: 一言で言えば、 「経営者の重圧」に囚われすぎていた自分に気づかせてもらった ことです。
当時の私も、社員に対して怒りたいわけではなかったんですよ。でもつい叱ってしまう・言いたくなってしまうのは、経営していて「不安」になるから。業績は伸びているけど“儲かっている”とはまだまだ言えないし、いつ何が起こるかわからない…と、数年先の未来のことまで想像して心配になり、不安が重圧として伸し掛かっていた。それが社員に対する接し方に表れてしまっていたのだと思います。
それに気づかせてくれたのが、 稲盛さんから学んだ2つの言葉 でした。
――その2つの言葉とは何でしょうか?
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