連載:第61回 成長企業 社長が考えていること
「社員に見せられませんよ!」経営会議の怒号からV字復活。目の前にあった、本当に大切なもの
洋菓子ブランド「アンリ・シャルパンティエ」などを展開する株式会社シュゼット・ホールディングス。同社では創業社長が一大ブランドを築き上げ一線を退いてしばらく、赤字に転落してしまいます。そんな状況下で家業を継いだ蟻田剛毅社長に課せられた使命は、赤字脱却と組織改革でした。蟻田さんは猪突猛進で改革を進めるも社内は混乱。その状況を好転させたのはベテラン社員たちでした。改革は奏功し、1年で黒字化。その後、再成長が始まります。その過程で蟻田さんが思い知ったのが、会社が連綿と紡いできたもの「コンテクスト(文脈)」の重要性でした。困難の克服を経て「最も大事なものに気づけた」と語る蟻田社長にその経緯を伺いました。
株式会社シュゼット・ホールディングス
代表取締役社長 蟻田 剛毅さん(ありた ごうき)
1974年兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社電通に入社。在籍中に早稲田大学大学院を修了。2007年、父の蟻田尚邦氏が創業した株式会社アンリ・シャルパンティエ(当時)に入社。株式会社シュゼット副社長を経て、2011年代表取締役に就任。就任翌年度に赤字から一転、V字回復を果たす。
無口だったボンクラ息子が突如発した怒号
――父親が創業してブランドを築き上げたアンリ・シャルパンティエ(シュゼット社)に入社し、4代目の社長に就任されます。その経緯を教えてください。
蟻田剛毅さん(以下、蟻田): 私は幼少期から家業を継ぐ気はさらさらなく、大学を卒業後、広告会社に勤めていました。そこで担当したお菓子をPRする仕事が楽しかったこともあり、お菓子作りの現場に惹かれ、父親に懇願する形で洋菓子を手掛ける家業に入りました。
当時、父はすでに一線を退き、社長は外部から招いた方が務めていました。
いわゆる家業に入ったわけですが、私がやりたかったのは現場の仕事。経営には興味がなく、お菓子の企画・製造やマーケティングに携わっていました。今とは立場がまったく違いますし、それこそ(自分の目の前の仕事が楽しければ…)ということが最優先でした。
しかしその出自から、いずれは経営陣に…という話はあり、入社からしばらく経ったころに副社長という立場を与えられ、経営会議に出席するようになりました。
ただ、出席はしているものの、そこにいるだけです。経営の「け」の字もわからない「ボンクラ息子」でしたし、「経営会議では発言しない」という暗黙の約束のようなものがあり、ずっと発言は控えていました。私としても、それが自分の立場・役割だと思っていましたので。
ところがとある経営会議で、そんな私でも声を荒げてしまった、どうしても我慢ならない場面に遭遇しました。
思わず 「こんな会議、社員に見せられませんよ!」と、我を忘れて怒鳴り声を上げてしまったのです。
それまでずっと沈黙していたボンクラ息子の突然の怒号です。自分でもびっくりしましたが、周囲はそれ以上の驚きでした。
しかし振り返るとこの一件が「当社の存在意義を取り戻す」1つのきっかけになったのかもしれません。
――経営会議で思わず怒号を上げてしまった出来事とは?
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成長企業 社長が考えていること
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