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連載:第54回 経営危機からの復活

「このままだと組織が崩壊する」と目が覚めた。組織を蘇らせるために経営者がやるべきこと

BizHint 編集部 2024年1月17日(水)掲載
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電脳交通は2015年、廃業寸前の地方のタクシー会社から生まれたベンチャー企業です。創業10年の節目となる2025年に株式上場を目指しています。しかし、かつては、成長スピードに組織が追い付かず、創業時に在籍していた社員の9割が退職する事態に陥ったこともあったといいます。そのとき、創業者の近藤洋祐社長は何を考え、実行し、組織を立て直したのか、お話を伺いました。

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株式会社電脳交通
代表取締役社長 CEO兼Founder 近藤洋祐さん

徳島市生まれ。メジャーリーガーを目指し留学したアメリカから帰国後、徳島市内で祖父が経営する吉野川タクシーに入社。2012年に代表取締役に就任し、債務超過寸前の状態からV字回復を実現。2015年に株式会社電脳交通を設立し代表取締役に就任。徳島大学客員教授


V字回復の経験を糧にスタートアップを創業

――祖父が経営する吉野川タクシーに入り、経営再建に取り組まれました。まずその経緯を聞かせていただけますか?

近藤洋祐さん(以下、近藤): プロ野球選手を目指していましたが、夢破れて次の人生を模索していたときに祖父が倒れたんです。ほかに継ぐ人もおらず、最初はちょっと手伝うわというくらいの感覚でした。

ところが、ふたを開けてみると負債が資産を上回る債務超過ギリギリで。このままでは倒産する…。そんな危機感のもと、従業員とともに再建に着手しました。

――具体的にはどのようなことを実行されたのですか?

近藤: 当時業界では珍しかったSNSを集客から採用までフル活用すると同時に、低価格で導入できるソフトウェアを駆使したローコストオペレーションを構築。5年で売り上げを1.5倍に伸ばし、経営を素早く立て直すことができました。

――その経験が電脳交通の立ち上げにつながるのですね。

近藤: 再建に取り組んだ5年間、私自身もドライバーとしてハンドルを握り、配車業務をはじめとしたあらゆるタクシー業務を経験しました。そこで痛感したんです。タクシー業界のシステムはあまりにも非効率で、IT化も遅れていると。

たとえば当時の配車業務は電話と無線が中心だったので、発注の多い時間帯は対応しきれず、空車があるのに失注するケースがありました。一方で深夜は1時間に1件も依頼がないのに、それでも誰かが電話番をしなければなりません。タクシー事業をやるほどに見えてくる業界の課題をDXで解決したいと思うようになりました。

――新しい事業はどのように進められたのでしょうか?

近藤: 各社共通の配車システムをつくれないかと考えていたとき、エンジニアの坂東勇気(現取締役CTO兼Founder)と出会ったんです。彼も徳島出身で、東京のITベンチャーを渡り歩いてきたエキスパート。システムの構想を説明すると「できる」と言うので、出会った翌日から吉野川タクシーのガレージでプログラミングを始めました。

そして社内で仮説検証を重ねて開発したのが、クラウド型のタクシー配車システム「DS」です。配車オペレーター用のインターフェースとドライバー用の車載タブレットで構成されたシステムで、事業者ごとの細かな配車ルールを分析し、少人数で最適な配車を効率的にサポートできます。

このシステムが完成した2015年12月、発表と同時に電脳交通を立ち上げました。

創業メンバーが次々と離れ、苦悩の日々

――ローンチして反響は?

近藤: お蔭様で全国のタクシー事業者様からの契約が相次ぎ、マーケットに受け入れられた状態を示すPMF(プロダクトマーケットフィット)を3年以内で達成しました。その頃から投資家の方々とつながっていくのですが、その一方で組織にひずみが生じ、創業から支えてくれていたメンバーが次々と辞めていく事態に陥ったんです。

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