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連載:第55回 経営危機からの復活

2度の組織崩壊で目が覚めた経営者。2年で売上を3倍以上に伸ばせた組織改革

BizHint 編集部 2024年1月19日(金)掲載
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信頼を置いていた幹部が部下を引き連れて退職。顧客データの持ち逃げ。気づけば「あの会社はヤバい」と同業者の間に悪評が立っていました。不動産業は離職率が高いと覚悟していたものの、大量離職の現実を前に、不動産デベロッパーとして日本ユニストをゼロから作り上げた今村さんは改革を決意します。他業種の経営者によるアドバイスを聞き入れ、長年の業界の常識さえも恐れることなく変革するまでの道のりと成果をお聞きしました。

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株式会社 日本ユニスト
代表取締役 今村 亙忠(いまむらのぶただ)さん

1981年生まれ、大阪府出身。関西大学卒業後、住宅資材の商社や不動産会社を経て29歳で独立起業する。不動産の仕入や企画設計、建築から販売までを一社で手がけることで業績を伸ばしてきた。不動産のノウハウを活かし、和歌山県の世界遺産「熊野古道」沿いに宿泊施設をつくり、運営する地方創生事業にも挑んでいる。


幼少期からの予定通り、20代で起業し不動産デベロッパーを成長に導く

――はじめに事業の概要を教えていただけますか。

今村 亙忠さん(以下、今村): 当社は土地の仕入から、企画設計、建築や販売までを一気通貫で行う不動産デベロッパーです。今でこそ中小企業にも同様のビジネスモデルは増えていますが、もとは大手のゼネコンやマンションメーカーの領域でした。

親や祖父母も自分でビジネスをやっていたので、子どもの頃から「自分も会社を作って独立するのだ」と刷り込まれていました。30歳前には起業すると決めて、不動産という市場のポテンシャルや取扱金額の大きなビジネスで経験を積んでいたわけです。

独立してからは年に数件ですがインパクトの大きい案件を手がけることができ、最初は2人だった会社が4年目で15人の規模に拡大しました。ノウハウも蓄積されていき経営は順調だったと思います。ただ不動産会社の難しい点は離職率の高さです。とくに中小企業では営業社員の独立志向が強い。それは業界の宿命だと思っていますが、当社ではわずか3か月のうちに大量離職が起きてしまい残ったのは4人だけでした。しかも、信頼してポジションに就かせていた人物が部下を連れて辞めるような形だったうえ、狭い業界なので「日本ユニストはヤバいらしい」という噂も出回ってしまいました。

今振り返ると、社内の体制が未熟で社内ルールや給与規定などもしっかり定まっていなかった。それによって従業員、その中でも営業成績のよい従業員の間ではとくに不平不満が溜まってしまっていた。それが原因だったと思います。

――大量離職の後、どのように対処されたのですか?

今村: 起きてしまったことは仕方がありません。残ったメンバーで誠実に仕事をしていれば、再び好転すると信じ、私が最前線に立って失速しかけた開発プロジェクトを再開しました。実際に悪い評判も長くは続かず、再びひとり、またひとりと仲間が増え、1年で再び成長軌道に戻すことができました。

しかし、結果的には、同じ過ちを繰り返してしまいました。

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