連載:第23回 躍進する企業の転換点
自律型組織を牽引するリーダーは誰よりも仕事を楽しむ。「この組織、異様だ」からはじまった社内改革40年史
赤しそふりかけ「ゆかり(R)」を主力商品とする三島食品。同社は「挑戦する組織」としてカンブリア宮殿でも紹介されました。しかし、三島豊会長が家業に戻った頃は真逆の組織だったそう。完全なるトップダウンの組織で、社員も思考停止に陥っている。そこから、「お化け退治」「掟破り」「B面活動」などユニークかつシンプルな仕組みを導入し、組織を改革。現在では、社員自ら「今何をすべきか」を考え動き、高い生産性を誇る組織に生まれ変わっています。その過程にはなにがあったのか?詳しく伺いました。
三島食品株式会社
代表取締役会長 三島 豊さん
1954年広島県生まれ。東京大学大学院を修了後、京都セラミック株式会社(現 京セラ株式会社)に入社。3年後の1981年、父の要請で家業である三島食品に入社。取締役部長、専務、副社長を経て1992年代表取締役社長に就任。2017年より現職。
三島食品株式会社について
1949年、広島県で創業した食品会社。ふりかけ、混ぜご飯の素、調味料などの製造販売を手掛ける。赤しそふりかけ「ゆかり(R)」が主力商品。家庭用ふりかけでは、丸美屋食品工業についで業界2位。「宣伝に金を使うなら良い材料を買え」がモットーで、一切のテレビCMを打たないことで知られる。従業員数は415名(2023年1月現在)、売上高は146億円(2022年度)。
「会長トイレットペーパー理論」で自律型組織を牽引?
――赤しそふりかけ「ゆかり(R)」を主力商品としている貴社は、社員が自発的に行動している「挑戦する組織」としても注目されています。
三島豊さん(以下、三島): そうですね。当社の社員は皆「今、自分が何をすべきか」を常に考えて行動しています。だから、生産性が非常に高い。私が家業に戻った頃は、従業員数が302名、売上高が58億でした。現在は、415名で売上は約3倍の146億。 人はさほど増えていないのに、売上が約3倍になっているというのは、やはり社内の生産性が高まっている証拠だと思います。
最近では、広島菜を使った「ひろし(R)」という混ぜごはんの素がSNSで反響を呼び、初年度見込みの8倍となる4億3,000万円を売り上げました。社内でもびっくりして「生産が追いつかないので、売るな!」と号令がかかるほど(笑)。他にも、主力商品である「ゆかり(R)」の靴下やマスキングテープ、Tシャツまで作ってその度に話題になっています。とにかくみんな、楽しそうに仕事してますよ。
同社の主力商品である赤しそを使った「ゆかり(R)」。その他、青じそふりかけの「かおり(R)」、ピリ辛たらこの「あかり(R)」をはじめ、多くの商品を展開
三島: その影響か、社員は思考が前向きです。たとえば、会社の業績で良くない数値が出ても「まあ、何とかなるでしょ」と思っている。 逆にネガティブに考える人がいないから、何とかなっているのかな と。決して危機感がない訳ではないけれど、うまくいかなくなる前に、みんな対策を考えます。たとえば、原材料が高騰してしまった商品があるとします。もちろん利益率は悪くなりますよね。ではどうするか。当社の場合は「じゃあ原材料をウチで作ればいいじゃないか」となったりします。今は厳しくても「これをやれば、絶対にうまくいくはず」と考えているんです。
基本的に「やりたいことをやる」というのが当社のスタンスです。もちろん、企業理念に反することはダメだけど、 良かれと思ってチャレンジして、結果的にダメでも仕方ない。そこは最終的に「私が責任取るから」と話をしています。 尻拭いをして、水に流す。これって「会長トイレットペーパー理論」とも言えると思いませんか?トイレットペーパーの巻きにも限界があるから、無駄使いしないで欲しいんだけど…(笑)。
――三島会長が家業に入られた時から、このような状況だったのでしょうか?
三島: いいえ、一言で言うなら 「真逆の組織」。 当時は何というか……異様とも言える状況でした。
今でも、強烈に覚えている出来事があります。
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