連載:第5回 アトツギが切り拓く、中小企業の未来
“いい後継者”の仮面はいらない。社員の幸せの実現こそ使命だと気付くまで
発展し続けるために必要な社内改革を、社員に全任できる会社はどれほどあるでしょうか?ボトムアップが大事だと気付いていながらも、トップダウンでものごとを進めてしまう場面は多いものです。大正14年創業で日本のオーガニック食品卸の先駆けとなったアルファフードスタッフ株式会社も、その開拓精神からトップダウンの組織だったといいます。そんな中、4代目として入社した常務取締役の浅井紀洋さんは、社員が幸せになれる会社を目指し、風通しのよい会社づくりに挑みました。その改革について伺います。
アルファフードスタッフ株式会社
常務取締役 浅井 紀洋 さん
大学卒業後、ソフトバンクグループに入社。伊藤忠商事(株)を経て、2014年に家業であるアルファフードスタッフ株式会社に。2014年、家庭用オーガニックブランド「ナチュラルキッチン」シリーズを発売。2015年、カリフォルニア州のクルミ生産者の言葉をきっかけに、オーガニックを強みに「持続可能性」を追求していく事を決意。2019年より働きやすい環境作りに取り組み、幸せに働ける会社へと発展させている。
ある企業の事業承継を目の当たりにして家業を継ぐことを決意
浅井紀洋さん(以下、浅井): 当社は私の曽祖父が砂糖の卸問屋として創業した会社です。祖父の代で国産小麦の小麦粉を、父の代でオーガニック商品の仕入れ・販売をはじめ、2018年には自社オリジナルブランドの「Biokashi(ビオカシ)」シリーズも手がけるようになりました。
現在は、食品の輸入製造卸として、原材料の輸入から製品の製造、卸売り、一般消費者向けのブランド展開やEC販売まで幅広く行っています。
オリジナルブランドの「Biokashi(ビオカシ)」シリーズをはじめとした、同社の商品たち
――浅井さんの曽祖父が「浅井屋砂糖店」を創業したのが大正14年。それから事業は大きく拡大し、現在は社員数も106名になるそうですね。浅井さんは、早い段階から家業を継ごうと準備していたのでしょうか?
浅井: いえ。家業がありながらも、父の会社を継ぐ道を否定している自分だったなと思います。それは、私たち家族が寝静まってから深夜遅くに帰ってくる父のことを、寂しく思っていたからかもしれません。思春期になれば、自分の道は自分で決めたいという欲求も生まれてきました。そんな私の気持ちを察してか、父から家業を継いでほしいと言われたことは、一度もなかったと思います。
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