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連載:第21回 アトツギが切り拓く、中小企業の未来

「この会社には未来がない」社員の言葉で覚悟を決めたリーダー。V字回復への道のり

BizHint 編集部 2024年4月25日(木)掲載
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10年連続の赤字、社員の平均年齢は60歳。いつ潰れてもおかしくない実家の町工場に入社した3代目は、現場を見て初めて、その実態を知ることになります。職場の空気は澱み、聞こえてくるのは会社の悪口ばかり。社員からは「未来がないから辞めたほうがいい」とまで言われます。改革をしようにも経営陣から「仕事を増やすな!」と四面楚歌。心が折れそうな中で決めたのは「自分1人でやるしかない」。社内の反発を無視して一つひとつ形にしていくことで、3年で黒字化、その後V字回復に成功。並行して新卒社員の採用を始めると会社の雰囲気も変わっていきました。株式会社佐藤製作所 常務取締役の佐藤修哉さんに話を聞きます。

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株式会社佐藤製作所
常務取締役 佐藤 修哉さん

1986年生まれ。慶応義塾大学大学院卒業後、IT企業を経て2014年、祖父が創業した金属加工を行う佐藤製作所に入社。10年連続赤字、平均年齢約60歳男性のみ、超高齢赤字工場の業務改革を1人で行う。新卒や女性雇用を積極的に導入し、採用・賃上げを毎年継続、平均年齢30代、20代社員50%以上・女性比率約40%、離職率の低い会社に。中小企業が取り組む女性活躍のロールモデルとなる成果が認められ、「東京都女性活躍推進大賞」「勇気ある経営大賞特別賞」「しんきんものづくり大賞最優秀賞」等、受賞多数。


ベテラン社員の言葉「この会社には未来がない、辞めたほうがいい」

――入社時の会社の状況を教えてください。

佐藤修哉さん(以下、佐藤): 10年連続で赤字が続き、内部留保を食いつくして危機的な状況に陥っていました。さらに社員の平均年齢は60歳と高齢化。おじいちゃんのような人に混じって、僕1人が28歳。 資金繰りと人材、いわゆる「カネと人」の2つをなんとかしなければ、いつ倒産してもおかしくない状況 でした。

もともと家業を継ぐつもりはなかったんです。大学院を出て一般企業に入りましたが、家業の経営状態も知らなければ、ましてや自分がどうにかするという気概もありませんでした。

しかし祖父から「お前が後を継ぐんだ」と言われ続けていたことが頭の隅から消えていませんでした。一種の刷り込みですね。その祖父が2013年に亡くなり、3代目の姿を見せることができなかった後悔もあり、父(2代目)に「やらせてくれ」と頼んで入社しました。

職場に足を踏み入れて最初に感じたのは、社内の風通しや雰囲気の悪さ。空気は濁り、会話は皆無でした。モチベーションが低く、遅刻も当たり前。たまに口を開いても、会社や社長に対する悪口か「ダメだ」「無理だ」のネガティブワードだけ。

――業務はうまく回っていたのでしょうか?

佐藤: 正直、製品不良や納期遅延も当たり前という状態で…。それを指摘しても、「会社が悪い」「指示した側の責任だ」と猛反発を受けました。

コスト管理もがさつで売値もどんぶり勘定。よくよく調べると原価割れしているものもありました。改善しようと試みても「昔から決まっていることをいじるな」「そんなことをする前に皆と同じことをできるようになれ」と。

ベテラン社員には 「この会社には未来がない、辞めたほうがいい」と何度も言われました。全員、会社に希望がなく、失望していたのです。 その度に「人・組織を変えなければ!」と覚悟をあらため、社内への働きかけを強めていきました。

まったくうまくいかなかったのですが…。

――社内への働きかけはどのように?

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