連載:第3回 リーダーが紡ぐ組織力
今、自社に本当に必要なマネージャーを育てるために。組織成長を加速させた経営者の決断
自動車・医療といった産業の裾野が広がる静岡県浜松市。そんな地域のモノづくりを支えてきた老舗商社が株式会社サカエです。代理店契約により商圏が守られる中、いつしか営業は御用聞きに…。リーマンショックの翌年、若くしてサカエの3代目を継いだ神谷紀彦社長は、「価値ある提案ができる会社へ変わろう」と組織開発に乗り出しました。営業から内勤まで、働き方をアップデート。さらにマネージャー体制を一新することで、組織の成長を加速させているそうです。詳しく話を聞きました。
株式会社サカエ(技術商社/従業員数70名)
代表取締役社長 神谷 紀彦さん
1972年生まれ、同志社大学大学院総合政策科卒業。30歳で家業に戻ることを条件に、入社するまで様々な経験を積む。大学院卒業後はイギリスに留学し、語学の習得とあわせてインターンに従事。コンサルティング会社での勤務を経て、日本へ帰国。大学院卒業後は、同業他社で下積みを経験する。2009年4月よりサカエの代表取締役社長に就任。
創業75年を迎える老舗商社。「御用聞き」スタイルの営業に危機感…
――貴社は「専門商社」の業態でいらっしゃいますが、具体的にどういったお仕事をされているのでしょうか?
神谷: メーカーが商品を製造するのに必要な部品や機械を調達し、卸すのが主な仕事です。また、自社でも独自の生産技術を持ち、効率化や自動化に役立つ設備を製造して納めているので、「技術商社」にも分類されます。その技術力を生かし、生産現場の改善支援ソリューションを提供することもあります。
――2022年に創業75周年を迎える、静岡県浜松市が誇る老舗商社でいらっしゃいます。
神谷: たしかに地域密着を強みとしてきましたが、自社の戦略というよりも業界の構造上そうなったのです。専門商社は代理店制度によって成り立っています。昔は代理店契約を結ぶときは、担当エリアが決められていました。私たちであれば、静岡県と愛知県の一部と商圏が決まっていて、それ以外のエリアでは勝手な営業活動ができません。
そうした代理店制度があったお陰で、商圏が守られてきたんですよね。そんな影響もあってか、当社ではいわゆる「御用聞き」スタイルの営業がずっと続いていました。
――神谷社長は、2009年に代表に就任されていらっしゃいますね。
神谷: はい、当時浜松地域ではメーカーが海外に工場を移し、製造業全体のパイが小さくなり始めていました。そして、リーマンショック後も、引き続き生産縮小が続いていたんです。
当然、会社の売上にも影響がでます。そうした時代の変革期に社長に就任したので、なんとかしなくては…という危機感を抱いていました。
そこでまずチャレンジしたのが訪問件数の増加。しかしこれはうまくいきませんでした。「行動力」という量の勝負では解決できなかったのです…。その経験から、従来の御用聞きスタイルではこの先、生き残れない。 お客様に必要なものを自ら考え行動できる「提案型の営業」にならなければいけない、 と強く感じました。
「営業しない日」を作ったら営業力が向上した
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