連載:第2回 リーダーが紡ぐ組織力
社員を信頼できたのは「経営理念」があったから。最も苦労した2店舗目、はじめての組織作り
現在新潟県内に飲食店を8店舗展開する「SUZU GROUP」。店舗運営のほか、商品開発やプロデュースなど、活動の幅を広げています。順風満帆のように見えますが、代表取締役の鈴木将さんは「これまでたくさん組織づくりの壁にぶつかってきた」と語ります。スタッフが一丸となるためには会社が目指す方向性を共有することが必要。その度に何度も見返してきた経営理念は、組織運営上の全ての判断基準となっているそうです。理念の大切さを最も痛感した2店舗目出店時の苦悩、スタッフの人材育成などについてお話を伺いました。
有限会社寿々瀧
代表取締役社長 鈴木 将さん
1980年新潟県生まれ。高校卒業後、東京・大阪・横浜・長野での料理修業を経て、2007年新潟県長岡市で父親が運営していた「養老乃瀧」を「おれっちの炙家 ちぃぼう」(2017年に「越後炉ばたと雪国地酒 ちぃぼう」にリニューアル)に改装してオープン。現在、県内で「越後の台所 すずきち」「SUZU365」「SUZUVEL」など8店舗を運営。地域の魅力を伝えるイベントの主催、地域食材を活かした商品開発、飲食店のプロデュースなど幅広い活動を行っている。
父がフランチャイズをやめ、一念発起。新しい店づくりは親子喧嘩の日々
――貴社は新潟県内でさまざまなスタイルの飲食店を運営し、店舗を拡大しています。コロナ禍においても、飲食業界全体が苦しい状況にある中、スピーディーな経営判断のもと、精力的に運営を行っていらっしゃいますね。まずは、事業内容の詳細を教えてください。
鈴木 将さん(以下、鈴木): 当社は現在、新潟県内で居酒屋・カフェ・テイクアウト惣菜店など8店舗を運営しています。どの店もコンセプトが異なりますが、 「新潟の食材を使用したメニューを提供すること」 が共通しているのが特徴です。
店舗運営のほか、オリジナル商品の開発にも力を入れています。地域の特産品を活かした商品は、例えば巾着ナスや神楽南蛮など長岡の伝統野菜を使用した「おむすびジャム」、濃厚な麹調味料「かける糀&わる糀」など。農家や味噌蔵元からの依頼で、魅力が伝わるようプロデュースした商品も多数あります。
新潟県内各地の食材の個性を引き出し、現代風にアレンジしたソース「SHOSUZUKI NIIGATA」
当社の創業は1983年、もともとは父がチェーン居酒屋「養老乃瀧」のフランチャイズ店舗を経営していたのが始まりです。昭和の時代は、チェーン店といえども自分の店の個性が出しやすかったのですが、しだいにマニュアル化が進み、味も雰囲気もすべてが均一的に……。
父はそんな状況を打破すべく、フランチャイズから撤退し、居酒屋をイチから立ち上げようと一念発起。そのタイミングで僕は入社しました。2007年、27歳のときです。
――鈴木さんはもともと料理人として腕を磨いていたそうですね。2007年に家業へ戻られたきっかけは何だったんでしょう?
鈴木: 父が「養老乃瀧」をリニューアルすると聞き、正直ちょっと心配になったんです。父はフランチャイズの経験しかないので、居酒屋をイチから作り上げるのは相当難しいだろうなと…。僕はその当時、さまざまな飲食店のノウハウを学んでいたので、手助けできることは多くあるだろうと思い、入社を決めました。
――そして、2007年7月に「おれっちの炙家 ちぃぼう」としてリニューアルオープンされたのですね。店舗運営を進めていく中で、お父様である社長と意見がぶつかることなどはありましたか?
鈴木:父も僕もお店を成功させたい気持ちは同じなのに、方向性がバッティングしていました。 意見のぶつかり合いばかりの日々で、口を開けばケンカになる…なんてことも。ただ、僕の考えを理解してもらい、信頼してもらえないと絶対に成功しないと思っていたので、何度も話し合いを重ねました。
当時は、スタッフたちにも迷惑をかけてしまっていたと思います。なにせ指揮をとっている父と僕の足並みが揃っていないんです。現場では混乱することも多かっただろうと…。
最終的に父から「お前に任せる」と言ってもらえたのは、店がオープンしてから約半年後。 “組織づくりの第一歩”がようやく踏み出せた 、そう思いました。そして、「絶対に成功させる」という強い信念をもった瞬間でもありました。
2店舗目が一番苦労。マンパワーの限界。支えたのは「経営理念」
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