連載:第61回 リーダーが紡ぐ組織力
「イエスマンばかり」の組織に危機感を抱いたリーダー。社員の主体性を引き出すため徹底した、たった一つの行動


「社長の意に沿って頑張ることが重視され、社内はイエスマンばかりでした」グローバルビジネスソリューション株式会社 代表取締役 前山真希さんは、社長就任以前の組織を振り返ります。このままではいけないと危機感を覚え、社長になってからは、社員の主体性を引き出すための1つの行動を徹底しました。結果、社員から意見が挙がるようになり、さまざまなチャレンジに取り組むことに。社長就任時から組織は1.7倍に大きくなり、新規事業も誕生、売上高も過去最高を記録しています。指示待ちだった組織を変革した前山さんが、徹底したこととは。詳しく伺います。

「イエスマンばかり」に危機感。部下の主体性を引き出すために徹底した、一つの行動
――昨年度、貴社はSES(システムエンジニア派遣サービス)という事業形態では珍しい「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞されています。前山さんは2018年に社長就任されていますが、当時から変化したことはありますか?
前山真希さん(以下、前山): ありがとうございます。少し当社についてお話しすると、私たちはSES事業を主軸とするIT企業です。現在は社員数85名、昨年度の売上高は約6.7億と過去最高を達成しました。
当社では、自ら考えて動ける社員がかなり増えてきていると思います。 例を挙げると、過去には社員の提案で、エンジニア向けのハンズオン研修(実際に手を動かしながら学ぶ研修)を実施。それによりエンジニアの技術力が向上し、社員のキャリアパスだけでなく会社の売上増にもつながりました。また、新規事業へのチャレンジの一環としてYouTubeチャンネルを開設し、エンジニアの成長に寄与する番組を作ったりもしました。
先日は、派遣先企業の役員の方から「貴社の社員さんは、毎朝飲み物を買いに行くときにフロア全体に挨拶して回ってくれるんです。オフィスが明るくなって助かっています。」とお褒めの言葉をいただきました。 仕事を全うするだけでなく、派遣先の雰囲気も気にかけた行動ができていることが、本当に嬉しかったですね。
――過去は、どのような状況だったのでしょうか?
前山: 当社は2006年創業なのですが、私が社長に就任した2017年末に、創業社長の意思で会社分割をしているんです。当時75名いた社員のうち、50名が会社に残り、25名は創業社長と共に新会社へ移っていきました。それまでの私は、創業社長とともに会社を立ち上げた後、主に経理や人事など裏方的な立ち位置で経営に関わっていました。
分割する以前は、典型的なトップダウン型組織でした。 創業社長はカリスマ性があり、勢いで組織を引っ張っていく力の強い人で。ただ「NO」を認めない雰囲気があり、結果的に周囲は誰も意見できなくなっていたんです。そのため、 社員のモチベーションは「社長の意に沿って頑張る」という方向に向かっていました。つまり、イエスマンばかりだった。 社長と仲良くしていれば評価も上がるし、重宝してもらえる。また、嫌われないように社長の機嫌を取らざるをえないような状況もありました。自ら考えることをやめ、社長の指示がないと動けないという人も少なくありませんでした。そういった雰囲気に疲弊してしまう社員も多く、人もどんどん辞めていましたね……。
――そんななか、創業社長から会社を引き継ぐことになったわけですね。
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}
バックナンバー (63)
リーダーが紡ぐ組織力
- 第63回 「組織を変えれば売上が上がる」は経営者の驕り。利益10倍、100億企業のリーダーが徹底したこと
- 第62回 社員の離職を止めた、リーダーの意外な「ある行動」。人が辞めない組織への転換点
- 第61回 「イエスマンばかり」の組織に危機感を抱いたリーダー。社員の主体性を引き出すため徹底した、たった一つの行動
- 第60回 社員の能力を封印していたのは自分。組織の大量離職を止めたリーダーの「気づき」
- 第59回 「すべてを社員に任せたら会社は伸びる」。組織の主体性を高めるために必要なリーダーシップの極意