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連載:第5回 自社だけで悩まない!専門家に相談してみよう

IT導入で失敗しない。経営者が絶対持つべきものとパートナーの見極め方

BizHint 編集部 2021年3月3日(水)掲載
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IT活用で生産性向上!という話を各所で耳にするようになりました。しかしその裏には表に出ることのない「失敗」があり、さらには「よくある失敗パターン」が存在します。IT活用を考える前に絶対必要なものは何なのか?成功の確率を上げるためにはどのようなパートナーと付き合うべきなのか?株式会社フライク 代表取締役の大瀧龍さんに話を聞きました。

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株式会社フライク 代表取締役 大瀧 龍(おおたきりょう)さん

大企業でシステムエンジニア、営業支援を経験し、地元福岡の中小企業に営業職として転職。その後、freee株式会社にてクラウド会計ソフトの九州支社長・広島営業所長を経て、2019年11月に株式会社フライクを設立。企業が本来必要なITシステムを見極めるために、社内の業務フローや課題特定、ITツール・システム選定、導入後の伴走支援を実施し、企業のIT参謀役として活躍。中堅・中小企業や士業事務所、ベンチャー企業まで幅広くクライアントをサポート。


「ITを使えば何でもできる」は大間違い

――IT導入での失敗パターンについて教えてください。

大瀧龍さん(以下、大瀧): 典型的な失敗パターンとして「freeeを導入さえすればAIとRPAが勝手に仕訳をしてくれる」「ITツール導入後・作業者は不要になる」といった間違った期待が挙げられます。もしこういったことを考えているとしたら、確実に失敗しますね。 そんな上手い話は、残念ながらどこにもありません。

そもそも業務は「頭脳」と「作業」に分けられます。ITや各種SaaSサービスにできることは、あくまで作業を軽減すること。何を目指すのかを考え、可否を判断し、業務・フローを設計する「頭脳」は別だということをまず認識するべきです。遠い未来はどうなるかわかりませんが、少なくとも現在のところ、「頭脳」を担えるのは人だけです。そこはITではどうにもなりません。

とはいえ、ITやSaaSの商談では「いろいろなことがスムーズにできます!」と説明されますよね。「このITツールができるのは作業の代替だけです」「考えるのはあくまで御社です」と説明する担当者にはなかなかお目にかかれないと思います。なぜなら、企業側が売りたいツールの購入検討期間が長くなり、最悪の場合、売れなくなくってしまうから。

だから「色々なことができます」「なんだかんだ便利です」とぼかして話をしてしまうのです。そしてその担当者の言葉を、提案を受ける側は都合の良い形で鵜呑みにしてサービスを導入してしまう。結果「使えない!」「思っていたことができない!」……つまり失敗となるわけです。

まず、 ITやSaaSの導入時には「考える=頭脳」と「作業」の二つは区分する ようにしてください。

IT活用はゴールではない。「補ってほしい部分はどこか」を明確に

――大瀧さんは相談を受けた際、どんな話から始めるのですか?

大瀧: 例えば情報システム導入のプロジェクト成功率は、2018年時点で52.8パーセント(出典:日経ビジネス/プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず)つまり 2社に1社は失敗 する、という話をします。

そして「ITさえ導入すれば絶対うまく行く」「専門家に任せれば絶対うまくいく」といった 期待値、誤解を解消するところからスタート します。例えば、いただいた相談が「このITツール導入しようと思いますが、どうですか?」というものであれば、「失敗する可能性はありますが、それでもいいですか?」と確認します。相談者側は普通なら「いやいや失敗はしたくない」となりますよね。

そこに続けて必ず尋ねるのは、 「では、ITを活用して、組織や業務をどんな状態にしたいのですか?」というもの。むしろこちらが本質 です。「どんな状態にしたい」を描くことはまさに「頭脳」の仕事だからです。これがない場合、多くは「ITを使うこと」が目的です。

お相手が経営者の場合、失礼ながら「ITを使うことが目的であれば、それは経営者がするべき相談ではありません」とお伝えすることもあります。

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