内定ブルーとは?不安解消や内定辞退防止のための内定者フォローについてご紹介
内定ブルーとは、内定後に自分の能力や将来、企業に対して不安を抱いている状態のことです。順調な就活やインターネットの様々な情報が内定ブルーを引き起こすきっかけとなっています。こうした内定ブルー解消への対応ポイントは、コミュニケーションを通じて原因を見極めながら解消に向けて適切な対応とフォローを行うことが大切です。
内定ブルーとは
内定ブルーとは、企業からの内定を得た内定者が、「本当にこの会社に決めていいのか」「この会社で仕事や人間関係をうまくやっていけるのか」という不安を抱いている状態のことです。
結婚前に漠然とした不安を抱く「マリッジブルー」に模して「内定ブルー」と呼ばれるようになりました。
内定ブルーが増加する背景
昨今の売り手市場で、就活の早い段階で内定が決まるケースや、複数の企業から内定をもらう学生が増えています。内定をもらうことが困難だった就活氷河期の頃と比べて、短期間でのスムーズな選考によって早期に内定を獲得しやすく、複数の内定先があることが逆に内定ブルーを引き起こしていると考えられます。
また、インターネット検索で企業の評判などネガティブな情報に触れる機会が多いことも不安を招くきっかけとなっています。その他にも労働力不足の深刻化で、入社後十分な研修がないまま即戦力としての活躍が期待されている状況に、自分の能力に不安を感じて内定ブルーになる学生もいるでしょう。
こうした雇用や社会の情勢の変化が、内定ブルーを増加させる背景となっています。
内定ブルーになる理由
内定ブルーになる理由には、どのようなものがあるのでしょうか?
「不安」が引き起こす内定ブルー
アイデム人と仕事研究所の「2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査」によると、内定獲得者や就活終了段階の学生のうち、81.1%が内定ブルーになったことがあると答えています。
同社による調査結果によれば、2016年卒は72%、2017年卒は74.9%と年々増加傾向が続いています。さらに、内定ブルーの具体的な内容のうち上位5位までは、以下のようになっています。
- 「自分は社会人としてやっていけるのか」:59.9%
- 「入社予定企業の同期や社員とうまくやっていけるのか」:49.0%
- 「入社予定企業の求める力が本当に自分にあるのか」:38.9%
- 「社会人にはなりたくない」:37.3%
- 「もっとほかによい企業があるのではないか」:33.4%
社会人になることや働くといった経験のない立場や環境に対する不安と、自分の能力に対する不安があることが窺えます。
【参考】アイデム人と仕事研究所/2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査(2017年10月1日状況)
内定者自身の能力や将来への不安
内定者自身の不安が原因で起こる内定ブルーの主な要因としては、以下が挙げられます。
- 社会人や会社という新しい環境に対応してうまくやっていけるのかという不安
- 仕事を覚えて一人前にやっていけるのかという不安
- 他の内定者と比べて自分の能力が劣るのではないかという不安
- 職場の人たちと良好な人間関係を築いていけるかという不安
これまでの学生生活では出会わなかった、様々な価値観を持つ幅広い年齢層の人たちと人間関係を築き、社会人として責任を持って仕事をすることなど、未体験だからこその不安と言えるでしょう。内定者フォローを通してこうした不安を軽減していけるサポートを行うことが必要になります。
内定先企業への納得感不足による不安
一方、内定先企業に対する納得感が不足していることが原因で内定ブルーになる場合もあります。
例えば、待遇や福利厚生などを他社と比較したことがきっかけで「この会社に決めてよいのか」と不安になる場合があります。この場合には、内定者の様子を定期的に確認し、不安があればいつでも相談にのるというスタンスで関係性を築いておことや、不安に対して適切な情報開示をすることで解消していくことが必要になります。
内定ブルーが引き起こす問題
内定ブルーが解消されない場合や内定ブルーのまま入社した場合、企業にとって問題となる可能性があります。ここでは主なリスクについてご紹介します。
内定辞退を引き起こす
内定先企業の企業研究や自己分析をしっかり行っていたとしても、内定を獲得して入社するかどうかを選択する時には、やはり不安に襲われます。この時、内定者が抱える不安が解消できないと、内定辞退によって優秀な人材を失う可能性があります。
内定者に寄り添う気持ちで不安を聞き、解消に向けて積極的に関わる姿勢で内定者フォローを行うことが、内定辞退の防止に繋がります。
【関連】内定辞退の防止策とは?内定辞退の理由を理解し、効果的な対応を/BizHint
早期離職の可能性
仕事の忙しさや人材不足のために先輩社員が新人の面倒をみる余裕がない、あるいは新卒社員と年齢の近い若手社員がいないため職場になかなか馴染めないケースも多いのが実情です。内定ブルーが解消されないまま入社した場合、そうでない場合と比べて悩みや不安は大きくなりやすく、早期離職に繋がるリスクが高くなります。
早期離職を防ぐためには、新卒社員が不安や悩みをため込みすぎて離職する前に、相談できる、あるいは悩みを打ち明けられる関係性を社内に築くことが大切です。
【関連】離職率とは?計算式や平均値、離職率改善の取組事例、早期離職まで徹底解説/BizHint
ぶら下がり社員になる可能性も
入社して初めの頃は何かあっても仕事に前向きに取り組んでいたものの、仕事の失敗などできない自分と向き合ったとき、これから先の不安からモチベーションが低下することがあります。内定ブルーのまま入社した場合には自己評価が低くなりがちなため、行動意欲も低下してしまうと、仕事に受け身で現状維持を望むぶら下がり社員になる可能性があります。
これを防ぐには、失敗したときに先輩社員が適切なアドバイスを行うだけでなく、新卒社員自身でモチベーションを維持するための方法を教えることも効果的です。
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内定ブルーに対処するための内定者フォロー
ここでは、内定ブルーにいち早く気づき、対処していくために効果的な内定者フォローについてご紹介します。
個別面談
内定後の個別面談では、内定者一人ひとりの気持ちを直接確認する絶好の機会です。内定ブルーの場合には、話をよく聞きながら、不安の原因を見極めることが大切です。
もし、企業についての情報不足が原因なら、正しい情報開示によって安心感を与えましょう。内定者の能力が原因なら、人事が評価した点をフィードバックするなどして自信が持てるきっかけを与えるとよいでしょう。また、将来への不安の場合、先輩として内定ブルーを乗り越えた経験談や、いまできる入社までに必要な準備について具体的なアドバイスを行うことが効果的です。
内定者懇親会
内定者懇親会には、先輩社員に気になることを直接質問できるだけでなく、同期となる他の内定者と交流を深めて安心感を高める機会になります。そのため懇親会に参加する先輩社員は、内定者に信頼感や安心感を与え、質問や相談にも応じられる人選を行うことが大切です。
また、内定者のグループ分けは内定ブルーのメンバーが偏らないようにバランスのとれたグループ分けを行うとよいでしょう。懇親会で内定者同士の仲が深まり、フォローしあえる関係性を築くことができれば、安心感が高まり入社意欲の向上にも繋がります。
内定者研修
内定者研修は、社会人になる自覚を持たせる、企業について理解を深める、基本的なビジネスマナーを身につけることを主な目的で行われます。こうした研修は入社に向けての準備行動となり、社会人になることや仕事への不安を払しょくする良い機会です。研修を通して社会人や仕事への理解が深まると具体的にイメージしやすくなるため、入社後の不安が減ったり、仕事への意欲が高まるでしょう。
研修回数が少なく補いきれない場合には、内定者が自分のペースでできる入社準備について参考書籍を紹介するのもひとつの方法として有効です。
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インターンシップ
インターンシップや内定者アルバイトは、実際に職場で働く体験をすることで様々な気づきが得られ、働くことに前向きな気持ちになるチャンスです。例えば、自分に足りないスキルが具体的に分かることで、入社に向けての準備行動の意欲が高まります。また、入社後のキャリアデザインを描くきっかけにもなるでしょう。
一方、業務内容が内定者に合わない場合、逆に自信を無くし、不安が強まる可能性もあるため、本人の適正を考慮して業務を決めることも大切です。その他に、期間を短くするなど内定者が参加しやすい工夫をすることで、研修として活用することもできます。
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内定者フォローSNSの活用
内定から入社までの長い期間を企業と内定者、あるいは内定者同士の関係性を深めるために内定者フォローSNSを活用する企業が増えています。定期的な企業情報やイベントスケジュールを発信する、人事担当者や先輩社員とのコミュニケーションで入社への安心感を高める、eラーニング機能を活用して研修を行うといった活用法があります。
ただし、企業から連絡する頻度は内定者に負荷がかかり過ぎないよう配慮が必要です。活用する目的や使用方法について、内定者へ事前に説明した上で内定者フォローに利用すれば、誤解や不信感を与えずに済むでしょう。
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内定者フォローの参考事例
内定者フォローには、紹介したほかにも方法があります。内定ブルーの状態を見極めながら内定者フォローを行う目的を明確にすることで、的確なフォローやサポートを行うことができます。また、内定ブルーは入社準備の行動を起こすことで軽減される場合もあり、研修やグループワークなどを上手に活用することも効果的です。
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内定ブルー解消のための対応ポイント
内定者フォローによって内定ブルーを軽減または解消するために、効果的な対応のポイントをご紹介します。
内定者が不安と向き合えるようなサポートを
入社の意思はあるものの、内定ブルーに陥っている場合には、内定者が不安に感じていることについて話をよく聞くことが効果的です。話すことで内定者は不安を客観視できるようになり、気持ちが整理されて自ら解決法に気づく場合もあります。こうして内定者が不安と向き合えるきっかけになるサポートができれば、内定ブルー解消へと進むことができるでしょう。
また、企業に応募した初心を思い出すことで自分の価値観が明確になり、入社の決断をする決め手になる場合もあります。
社会人として必要な準備行動のきっかけとなる機会を
入社後や能力に対する不安の場合には、基本的なビジネススキルを身につける、あるいは社会人として必要な知識を学ぶといった入社準備をすることが有効です。この準備行動によって前向きな気持ちに変化し、不安が解消されるケースも少なくありません。
入社前の研修や就業体験を内定ブルーの気持ちを切り換える機会ととらえ、内定者が積極的に参加できるように内容を工夫するとよいでしょう。
適切な情報開示が不安解消になる場合も
昨今、インターネット検索によってネガティブなものや間違ったものなど多くの情報を簡単に入手できてしまいます。そのため、どれが正しい情報か判断できない内定者は、企業に対して不信感を抱くケースが増えています。
内定先企業に対する情報不足で内定ブルーになっている場合には、正しい情報を開示して不安を払拭することが必要です。合わせて他の不安要素がないか確認することで、安心して入社できるように企業側の誠意を伝えることが大切になります。
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内定ブルー克服のために採用担当者からおすすめできる本のご紹介
内定者フォローの補足として、あるいは言葉より本を読んでもらう方が効果的な場合には、内定ブルーの状態に合わせた書籍をすすめてみてもよいでしょう。ここでは、2冊のおすすめ本をご紹介します。
内定者の発想2009/上原 隆
採用担当者としてこれまでに約20万人の学生と接してきた上原氏による著書です。就活から内定後まで就活のプロセスごとに悩みや疑問に答えながら、役立つ考え方や参考になる情報について分かりやすく書かれています。
まえがきのなかで、上原氏は「就活に迷った時、立ち止まったとき、悩んだとき、心配になったとき……。そういうときに読んでみてほしい。」と本書の活用法についてふれています。内定ブルーで前へ進めないとき、やる気と気づきを与えてくれるでしょう。
【参考】Amazon.co.jp/内定者の発想2009/上原 隆
内定「後」の教科書/金谷 建史
内定したからこそでてくる「仕事がきちんとできるのか」「職場の人となじめるか」といった不安。入社後の不安をなくして入社日から社会人スタートを切るために、どの業界でも使える入社準備について順を追って詳しく解説されています。
そのほか、入社前の悩みに答える「内定期の一問一答50問」も掲載されています。入社に必要な準備をすすめることで内定ブルーを解消したい内定者におすすめの本です。
【参考】Amazon.co.jp/内定「後」の教科書―最高の社会人スタートを切るための「自分ブランド」の作り方/金谷 建史
まとめ
- 内定ブルーとは、内定者が、「この会社に決めていいのか」「仕事や人間関係をうまくやっていけるのか」という不安を抱いている状態のことです。
- 内定ブルーが解消されない場合、内定辞退だけでなく、入社後企業にとって問題となる早期離職やぶら下がり社員になる可能性もあります。
- 内定ブルー解消のための対応ポイントとしては、コミュニケーションを通じて原因を見極めながら解消に向けて適切な対応とフォローを行うことが大切です。
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