連載:第9回 IT・SaaSとの付き合い方
自治体の給付金対応担当者の残業がゼロに! kintoneを活用した仕組みづくり
大阪府八尾市では新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けた市内の幅広い層の企業を援助すべく、「八尾市事業者サポート給付金」の実施をスタート。従業員数5人以下で4月から6月の売上減少率が対前年同月比で15%以上50%未満の事業者を対象とした独自の給付金です。新たな試みとして、オンライン申請にはサイボウズの「kintone」を採用しました。郵送での申請にも、紙の文書を即時にデータ化できるOCRを導入。タイトなスケジュールの中で、どのように急ピッチでシステムを実装したのでしょうか。担当の松尾泰貴さんと中谷優希さんに聞きました。
八尾市、オンライン申請への道
八尾市ではコロナ禍での独自のサポート給付金を実施
「八尾市事業者サポート給付金」は、国の給付金や大阪府の休業要請支援などの要件外であったり、対象から外れてしまう中小企業や個人事業主を中心に、一律10万円を支給する八尾市独自の制度です。小規模な事業者の方にも行き渡るように条件を設定し、対象者の件数は約5000件が見込まれました。
もともと僕は市の産業政策課で融資認定の担当をしているんですが、コロナ禍の影響で、4~5月だけで融資の認定件数が年間相談件数の約7倍になったんです。必要書類をもらったら人海戦術による全件手打ちで入力していたのですが、まぁ悲惨でした……。
八尾市事業者サポート給付金は、それよりもはるかに多くの件数が見込まれていたので、人海戦術ではとても太刀打ちできません。そこで、「オンライン申請」も準備しようと。以前から、地域の企業からなるコンソーシアムでの活動「みせるばやお」でkintoneのシステム開発をお願いしているノベルワークスさんにお世話になっていたので、相談に行きました。
急ピッチで準備を進めたオンライン申請のシステム構築
5月上旬に給付金事業の話が出て、ノベルワークスさんに相談し、「簡素なものなら早くできるんじゃないか?」となり、kintoneの活用が決定したのが開始1か月前です。申請の様式や、対象要件が固まったのが6月上旬。その後、急ピッチでシステムを組み上げてもらって、予定通り6月17日に申請開始しました。
当初は複雑なものにはならないだろうと想定していたのですが、せっかくなので、あれもこれもやりたいというのが積み重なって、モリモリな内容になってしまいました(笑)。
郵送での申請分もOCRで素早くデータ化し、工数をカット
郵送で申請された書類はOCRで即時データ化。その時点で、こちらが確認すべき項目や不備のあるものは、色が変わったりアラートが出るんです。例えば、添付の本人確認書類に記載されている情報と記入内容が異なる場合には、取り込むとすぐにアラートがでます。人の目で確認が必要なところはダブルチェックをしますが、最小限で済んでいます。
オンライン申請は、申請と同時にデータ化されますし、申請の際に不備があれば弾かれる仕組みになっています。添付ファイルの書類を自動認識し、提出書類のブロックが誤っていればアラートが出ます。誤ったまま、申請を通してしまうと、差し戻しが発生しますし、事務効率がかなり悪くなるので、申請前にアラートを出すことで、事務局側の負担も軽減できました。
自治体によっては休日出勤する担当者も……
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