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連載:第6回 変わる新卒採用

新卒退職率90%だった東証2部上場の不動産会社が、 社員から愛される「働きやすい会社」になるまで

BizHint 編集部 2019年4月18日(木)掲載
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兵庫県宝塚市を本社に不動産販売を手がける株式会社ウィル。不動産の購入・販売からリフォームやローンまでワンストップで手がけるスタイルで業績を伸ばし、現在は阪神間から北摂、さらに名古屋にも営業所を展開。2015年には東証2部上場を果たしました。しかし、創業当初はなかなか社員が定着せず、新卒採用をしても1年たたないうちに半分以上が辞めてしまったと言います。そんなピンチの打開策となったのは、採用方法をダイレクトリクルーティングのみに絞るという大胆な決断でした。その背景とダイレクトリクルーティング成功の秘訣をお伺いしました。

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株式会社ウィル

取締役会長 岡本俊人さん(写真左端)

代表取締役 坂根勝幸さん(写真中央左)

代表取締役 粟野泉さん(写真中央右)

人材開発グループ部長 宮前いずみさん(写真右端)


新卒退職率は90%、採用しても人が辞める

――現在の日本企業の採用活動においてはナビサイトを活用するのが当たり前です。そんな中、株式会社ウィルは2013年からナビサイトへの出広をすべて止め、ダイレクトリクルーティング一本に絞っています。まずはその背景から教えてください。

岡本俊人さん(以下、岡本): 株式会社ウィルは、私が中堅不動産会社から独立し、1993年に数名の元部下と立ち上げました。経験を積んだ「プロ」たちが結集してつくったわけですから、滑り出しは順調でした。そこで中途採用を行ったのですが、社歴も浅い、不人気業種の不動産会社にはなかなかいい人材が集まらない。このままでは理想とは程遠い会社になってしまうと思い、2年足らずで新卒採用に切り替えました。

しばらくはナビサイトなどを活用した「普通」の新卒採用を続けていました。しかし、定められたルールに沿って採用活動を行うことにずっと疑問があったんです。ナビサイトに掲載してもらうためにはもちろんお金がかかる。にもかかわらず、 採用の開始時期も決められ、情報も限定的で、自分たちの自由と意思は奪われている。そこでダイレクトリクルーティングに切り替えた んです。これなら採用活動を始める時期も、学生を選ぶフィールドも自分たちで決めることができる。それ以外の採用手段は一切辞めようと決めました。

――合理的な判断のようにも思えますが、社内からの反発などはなかったのですか?

坂根勝幸さん(以下、坂根): それ以前から、学生と話をして、面白い子を引っ張って来るといった活動はやっていたんです。それに、もともと変わったことをする人というのは知っていましたし、天地がひっくり返るほどの驚きはなかったです。

宮前いずみさん(以下、宮前): 人事担当としては、一気にぜんぶ止めるのはリスクもあるので、段階的に止めたらどうかと提案したんですが……。

岡本: いや、 ナビサイトと併用していると、どうしても応募のある方に傾いてしまう。 つまり、ナビサイトがメインになって、自ら足を使って学生と会う機会を求めることが疎かになると思ったんです。それに、 たとえ1年採用ができなかったとしても会社はつぶれない じゃないですか(笑)。

粟野泉さん(以下、粟野): そこを中途半端にしないのが「ウィルらしい」と思いましたね。私は面白いことをしたいと思ってこの会社に入りましたし、それまでにもユニークで大胆な決断で組織がなりたっていたので、また新たな転換期を迎えたのかなと捉えていました。

ダイレクトリクルーティングに踏み切って見えたもの

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