連載:第5回 中竹竜二さんが聞く【新しい組織・リーダー論】
澤田貴司氏 先輩たちから学んだ「冷静な合理性」と「熱い情熱」
ファミリーマート社長(取材時)の澤田貴司氏はいくつもの会社でマネジメントを行ってきました。その中で数々の著名経営者と一緒に働いてきた経験も。それらの経験を通じて澤田氏が求める「変革できるリーダー」像には、いくつかの共通する資質があります。具体的にはどのようなものか――。ファミマの変革の話を通じて、澤田氏が考える「リーダー」像をお伺いしました。※肩書は2018年、取材当時のもの。
前編ではリーダーの2つの仕事について伺いました。後編に入る前に前編の内容を振り返ってみましょう。
- リーダーの仕事には2つある。1つは日々の課題を解決する仕事。課題解決のためのテクニックはいくつもあるが、大事なのは誰よりも現場を理解していること。机上の論理だけでは間違った判断をするようになる。
- もう1つは未来をつくる仕事。これはリーダーにしかできない仕事。情報を集め続けることで、自分の業界、会社で起こりうることが見えてくる。そのヒントやアイデアを社内外の人たちに投げかけることで、ビジネスの形ができる。
- 時には意図的に極端な指示を出すこともある。あえて一石を投じることで、組織の既成概念を揺さぶる。その結果、物事が一気に進むことがある。
- リーダーは自分の思惑で指示してはいけない。澤田社長の場合は、すべての決断がお客さまのため、加盟店のため。さらに言えば、社員でありお取引先のため。三方良しだからこそ、平気で指示できる。
さて、後編では、澤田さんが「リーダーの成長方法」「澤田さん自身が影響を受けたリーダー」などについて語ります。
強いチームのコーチは「勝て!」と言わない
中竹竜二さん(以下中竹): 前編で、コーチの使う言葉とチームの成果の相関性についてお話しました。勝つチームのコーチは「I(自分)」を使わない。「We」という言葉を使う。「一体感が結果につながる」という実験結果をお話しましたが、実はほかにも、コーチの使う言葉とチームの成績に関する結果があります。
強いチームのコーチは「勝て」という言葉をほとんど使わない んです。もちろん、最初は勝つことが目的であることをちゃんと言うのですが、練習や試合がはじまったりすると、勝てとは言わない。それよりも、 選手のAttitude、つまり姿勢、プロセスの善し悪しを重視して指導する んです。こうしたアプローチに対して澤田さんはどう思いますか。納得できる部分はありますか。
澤田貴司さん(以下澤田): 分かります。私の場合は、相手によって使い分けています。 役員クラスに対しては、結果しか求めていません。 私自身、社長としてファミリーマートを任されている立場ですし、役員もそう。お互いプロなので、プロセスよりも結果で評価しています。
一方、 社員は違います。みんなチームで動いているし、やっている仕事も違います。定量的な評価だけではなく、定性的な視点を加味しないといけません。 業務管理に関しても社員一律の管理はやめて、できるかぎり現場の仕事内容に沿ったアナログのものに変えています。その意味で現場では「勝つ」ことよりもプロセスを大事にしています。
活性化した組織は、オンとオフを区別しない
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