連載:第26回 中竹竜二さんが聞く【新しい組織・リーダー論】
「自分が“ときめかない”仕事は断ってもいい」という風土を作りたい
株式会社ガイアックス社長の上田祐司さんと中竹竜二さんによる対談。ガイアックスでは組織の活力を高めるために規制をできる限り排除していると言いますが、後半ではなぜ上田さんがそんな組織を作ろうと思ったのかについて迫ります。そして、シェアリングエコノミー時代における『GIVE & TAKE』(三笠書房刊)と、ギバーとテイカーの在り方についても議論が進みました。
株式会社ガイアックス
創業者・代表執行役社長 上田祐司さん
1997年、同志社大学経済学部卒業後。1999年、24歳で株式会社ガイアックスを設立。2005年にセントレックスに上場。一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事を務める。
前回のまとめ
- 組織の活力・爆発力を高めるためには、規制をできるかぎり排除。やりたいことを支援する会社にした結果、「新卒社員が退職した際、6割が起業している」
- プロジェクト単位で、社内外から人を集め、仕事をし、終われば解散する「ギグエコノミー」が誕生。これに対応するには、従業員、非従業員に分け隔てなく、同じ環境を提供する必要がある。
- いったん走り始めた以上、走り続ける方が安全
中竹竜二さん(以下、中竹): 「組織にいる人は不要な仕事を始める」と言います。自分が担当すべき仕事、自分がやりたい仕事ではなく、周囲に評価されるかどうかを気にして、見栄えのいいことを始める、という意味です。
前回、「会社が規制ばかりつくると、社員のやる気を削ぐ」という話がありましたが、組織内だけで通用する評価なども、本来のやりたい仕事を遠ざけ、やる気を削ぐ原因になりますね。
自分が“ときめかない”仕事はしなくてもいい
上田祐司さん(以下、上田): 僕、会社が邪魔な存在になることが嫌なのです。
極端な言い方ですが、 自分がときめかない仕事はもうしなくていい 、と思っています。海外でも話題の近藤麻理恵(こんまり)さんの『人生がときめく片付けの魔法』(サンマーク出版刊)あのメソッドで、自分の仕事を決めていくのです。
中竹: お、spark joyですね
上田: こんまりメソッドって、一言でいえば整頓整理の方法。「捨てるもの、残すものを判断する時、まず手にもって自分がときめくか、ときめかないかで決めればいい」と提唱しています。そこで、リーダーから頼まれた仕事も「俺、その仕事、ときめかないのでやりたくないっス」と断ってOK。今後は、そういう文化を作りたいと思っています。
中竹: そうなると、リーダーとしてはタイヘンですね。リーダーは常に、魅力を感じる仕事を掲げ共感を得ていかないとならない。
上田: 余談になりますが、最近流行りの「オンラインサロン」って面白いですよね。会員は 月額3000円とか1万円を払って、主宰者の「プロジェクト」にも協力しているのです。僕たち、社員にお金を払っている時点で負けているのです(笑)。決して、給料払いたくないわけじゃないのですが(笑)、サロンの主宰者ぐらいの情熱、熱量を持ってないと勝てないのです。
中竹: これまで企業を分析する時パフォーマンスばかりに注目してきましたが、「社員がときめいているか」の視点で分析していくことで、根本的な原因が浮き彫りになりそうですね。
上田: 組織についてはかなり勉強しながらやってきました。確かに8年前、中竹さんにレクチャーしていただいたこともありましたね。
「リーダーは部下をほめなくてもいい」「上司が部下を一方的に、良くやったと評価する関係ではなく、お互いに感想・レビューし合う関係が望ましい」「 チームの仲が良いかどうかは関係ない。雰囲気がギスギスしていても切磋琢磨できる関係があればいい」などなど、常識とは真逆のことばかりで、その後の経営のヒントになったことも多いですよ。
区別すること、差別すること、境界をつくることは無駄
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バックナンバー (28)
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