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2019年2月14日(木)更新

嘱託社員

嘱託社員とは、広義には、非正規である有期契約社員すべてを指すこともありますが、多くの場合は、定年退職後に再雇用契約した者の雇用形態のことを言います。今回は、この嘱託社員について、人事担当者が知っておきたい、正社員、契約社員との違いや、メリットやデメリット、また、契約方法などについてご紹介します。

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嘱託社員とは?

「嘱託(しょくたく)社員」とは、準社員と呼ばれるような非正規である契約社員のことを言いますが、多くの場合は定年退職後に再雇用した者を指します。「嘱託社員」という雇用形態は法律上の定義がないため、条件など具体的な内容は企業によって異なります。

また、「嘱託」という言葉は、医師や弁護士などの専門的知識を持った者に仕事を依頼するような場合にも使われることもあります。

嘱託社員として契約するケース

基本的に、嘱託社員は非正規雇用であり有期契約です。

嘱託社員を非正規である契約社員すべてを指すこともあるため、この整理においては、正社員とは一線を画した契約が必要であるときと考えられます。例えば、業務の都合上、期間を限定した採用にしたい場合や、短時間勤務の者を採用する場合に、嘱託社員として契約します。

しかし上記で記載したとおり、一般的な整理では、定年退職後に再雇用した者を「嘱託社員」、その他を単に「契約社員」としていることが多いため、嘱託社員として契約するケースは再雇用時が多いと言えます。

企業において、65歳未満の定年としていれば、希望者は65歳まで継続して雇用する義務があるため、就業規則の解雇事由などに該当しない限り、65歳までは仕事をさせなければなりません。このような場合に、「嘱託社員」として契約するケースが考えられます。

以降、嘱託社員=定年退職後に再雇用した者として説明します。

正社員との違い

嘱託社員の正社員との違いを簡単にまとめると、次のとおりです。

  • 非正規雇用であること
  • 原則として、1年などの有期契約であること
  • 労働時間や待遇が異なり、福利厚生も異なる場合があること

また、嘱託社員に従事させる業務は、定年前よりも負担が少ないものとし、フルタイム勤務あるいは短時間勤務とするなど、個別に設定することが多いと言えます。

契約社員との違い

上記で説明したとおり、嘱託社員とは、いわゆる契約社員のうち、再雇用された者を指すことが多いという整理であるため、契約社員に含まれます。

このため、嘱託社員と契約社員との違い云々という話にはなりませんが、強いて違いを挙げるとすれば、勤務体系が考えられます。

嘱託社員は、フルタイム勤務である場合もあれば、短時間勤務である場合もありますが、単に契約社員であれば、定年退職前に非正規で雇用されているフルタイム勤務者を指す傾向があります。

嘱託社員のメリットとデメリット

嘱託社員という雇用形態で契約を締結することについて、企業側と従業員側にそれぞれどのようなメリットとデメリットがあるのかをご紹介します。

企業側

企業側のメリットとデメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

メリット

  • これまでの経験や知識を引き続き自社で活用できる
  • 賃金などの労働条件は見直すことになるため、人件費の削減につながる
  • 新たな者を雇用するよりも、採用担当者にかかる負担は少ない

デメリット

  • 所属部署の長にとっては以前の上司であることも多く、扱い方が難しい
  • 担当させる業務十分に検討しなければ、労働意欲を低下させることにもつながる
  • 一定期間ごとの契約更新となるため、いつ辞められるかわからない

従業員側

従業員側のメリットとデメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

メリット

  • 賃金は低下するものの、業務負担が軽減されて気楽に仕事ができる
  • これまでの経験や知識を活かせるため、別の会社に移るよりも苦労は少ない
  • 短時間勤務も選択できることが多く、個人の事情に合わせて働くことができる
  • 年次有給休暇の管理上は、雇用は継続しているものとされ、定年前の残日数も使用できる

デメリット

  • 基本給は、一般的に定年前の7割ほど減となり、賞与も支給されない
  • 業務内容が単純作業などに代わることで、一気に労働意欲が低下する場合がある
  • 以前の部下から指示を受けることもあり、いろいろな面で気を遣う

嘱託社員の契約について

嘱託社員という雇用形態で契約を締結する場合のポイントや注意点をご紹介します。

【関連】定年後再雇用とは?制度の概要や再雇用契約書の内容、助成金まで詳しく解説/BizHint

労働条件について

嘱託社員として、定年後に再雇用する場合の基本的な考え方としては、主に以下のポイントが挙げられます。

  1. 雇用契約は、双方の合意により新たに締結することになるため、正社員と同様である必要はない
  2. 希望する者は、原則として65歳まで雇用しなければならない(定年を65歳未満としている場合)
  3. 従事させる業務を正社員と同様とする場合には、賃金その他の待遇面で不合理な格差を設けてはならない。(いわゆる「同一労働同一賃金」の原則)

特に、上記3つめの対応としては、業務をより限定(所属部署の全体的なフォローなど)して従事してもらうなどの見直しが必要です。賃金を含めた待遇面では、低下させているにもかかわらず、引き続き同一の業務に従事させていると、トラブルのもとになります。

【関連】2020年から施行される「同一労働同一賃金」とは?企業の対応まで徹底解説/BizHint

無期転換ルールについて

法律において、有期労働契約を更新して、通年5年を超えたときは、その労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換するというルールがあります。

嘱託社員についてはこのルールがどうなるのかという問題があります。

原則としては、嘱託社員にもこのルールが適用されますが、定年後に再雇用した者は、都道府県労働局の認定を受けることで、適用されない特例が設けられています。詳細な手続きは、厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

【参考】厚生労働省/無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例について

契約書について

上記の労働条件などを踏まえて、契約書(労働条件通知書や雇用契約書)を交わすことになります。正社員と同じような内容ではあるものの、嘱託社員を含めた一般的な契約社員としては、主に次に記載事項に注意しなければなりません。

  • 契約期間
    正社員であれば、「期間の定めなし」となりますが、嘱託社員の場合には、一般的に1年間などの一定の契約期間を明記することになります。また、その更新方法について、「自動的に更新する」とするのか、「更新する場合があり得る」(ただし、実際には原則として65歳まで更新)とするのか、さらには、前述の無期転換ルールから除外されているのであれば、その旨の記載も必要です。

  • 始業・終業の時刻等
    正社員のように、一般的な始業・終業時刻ではなく、短時間勤務である場合には、それらを明確にしておきます。

  • 賃金
    フルタイムであれば、社内規程などに基づいて算出(定年前の基本給の一定割合に減額するなど)した月給の額、短時間勤務などであれば、時間給を明記します。また、賞与や退職金については、嘱託社員には支給しないことが一般的ですが、その有無についても明確にしておきます。

  • その他
    厚生年金や健康保険、雇用保険について、フルタイム勤務であれば、正社員と同様に引き続き適用となりますが、短時間勤務であれば、昨今、適用対象が拡大されてはいるものの、加入要件を満たさない場合もありますので、注意が必要です。

詳しくは、厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

【参考】日本年金機構/短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用が拡大されています。
【参考】厚生労働省/雇用保険の適用範囲が拡大されました。
【参考】厚生労働省/雇用保険の適用拡大等について

【関連】労働条件通知書とは?雇用契約書との違い、記載事項や交付時期まで徹底解説/BizHint

解雇について

嘱託社員と正社員とでは、解雇の手続きが大きく異なります。正社員の場合には、試用期間を設けていても、雇い入れ後14日を超えた場合に解雇しようと思えば、原則として、少なくとも30日前には解雇する旨を通知しなければならず、30日前に解雇予告をしなかった場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないこととされています。

一方、有期契約である嘱託社員の場合には、3回以上契約が更新されていない場合、また、1年を超えて継続勤務していない場合のいずれにも該当しない場合には、解雇予告の必要はないといった違いがあります。契約更新をしなければそのまま雇用契約は終了となります。

ただし、これは有期契約労働者としての一般的ルールであるため、定年後に再雇用された者(基本的に65歳まで契約が更新されることを期待している)を、仮に本人の重大な過失により解雇しなければならない場合には、一般的なルールとは切り分けて慎重な対応をする必要があります。

【参考】厚生労働省/労働契約の終了に関するルール

嘱託社員の給与体系とボーナスについて

給与体系やボーナスについても前述の契約内容のひとつですが、最も重要な部分であるとも言えるため、補足的に解説します。

嘱託社員の給与体系

嘱託社員の基本給は、正社員であった時の額を基準として、7割程度とするなど大幅に減額することが多いと言えます。フルタイム勤務ではなく、短時間勤務としたり、1週のうち出勤日を限定するような場合には、時給制にすることが一般的です。

いずれにしても、嘱託社員となる者が定年後の生活を維持できる収入を得られるかどうかを、厚生年金や高年齢雇用継続給付(60歳以降に収入が低下した場合に雇用保険から支給されるもの)などを勘案した上で、給与を設定しましょう。

【参考】厚生労働省/高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続きについて

嘱託社員のボーナスや退職金の取り扱い

嘱託社員にはボーナスや退職金を支給しないことが多いですが、一定額を支給する企業もあり、その企業の就業規則や賃金規程によることになります。支給がない場合は、当然ながら労働条件通知書や雇用契約書において、支給がないことについて明記しておく必要があります。

契約書において、ボーナスの支給なしとしていても、業績が好調な場合など、一定額を支給することは差支えありませんが、支給ありとしておきながら、支給しない場合には、労働条件の不利益な変更となるため、法律上でも問題となります。

さらに言えば、支給なしとしていて支給する場合の基準も明確しておくことが、細かなトラブルを避けるために有効です。

まとめ

  • 嘱託社員の定義は明確ではないが、多くの場合は、定年退職後に再雇用契約した者の雇用形態のことを言います。
  • 嘱託社員の賃金は、定年退職前と比べて大幅に減額になることが一般的であり、個別の労働契約によっては、短時間勤務となって時給制に変わることもあります。
  • 人事担当者は、嘱託社員との契約に際し、その者に不利益を与えることのないよう、契約書の作成、その他手続きにおいて十分に注意しなければなりません。

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