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2018年3月27日(火)更新

トライアル雇用

国内の本格的な景気回復は道半ばですが、将来に向けて人材確保に力を入れる企業は多く、引き続き要員確保は難しい状況が続いています。一方で、なかなか安定した職業に就くことができない就労希望者も多く、雇用の需給バランスは一向に改善しない状況が続いています。国は、さまざまな方法で企業の雇用機会ならびに労働者の就業機会の創出を支援し、雇用環境の改善を目指しています。今回は、その支援策のひとつであるトライアル雇用助成金についてご紹介します。

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トライアル雇用とは

厚生労働省は、就業経験のない人や、職業経験が少なく知識や技能が十分にないと考えられる、安定した職業に就くことが難しい求職者を一定期間受け入れ、雇用するか否かを見極める取り組みを「トライアル雇用」と称しています。

この取り組みでは、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、企業に一定期間試行雇用され仕事をする上で必要な指導を受け、その後の本採用へ移行することを狙いとしています。

トライアル雇用の目的

トライアル雇用の目的は2つあります。1つ目は、一義的には近年社会問題化している即戦力とは言い難く正社員採用のハードルが高い求職者に、まずは常用雇用への道を開くことです。トライアル雇用の対象となるのは、例えば以下のような求職者が挙げられます。

  • 学校から円滑に職業生活に移行出来なかった未就業者
  • 出産育児、介護、闘病などでキャリアを中断した中高年
  • 早期離職や非正規雇用などの断続的な就業によりキャリア形成が難しい状態にある者

2つ目は、慢性的な人材不足が常態化している企業に対し、今までは採用する対象として見ていなかった未就業者や就業経験が不足している者などを採用し育成する、新たな人材確保の取組みを報奨金により支援することです。

トライアル雇用の対象者

トライアル雇用の対象者は、ハローワーク等の職業紹介日時点において、安定した職業に就いている者、自営あるいは役員に任命され一定時間働いている者、学生、トライアル雇用中の者を除く以下のいずれかに該当する者とされています。

  1. 就労経験がなく職業に就くことを希望している
  2. 学校卒業後3年以内で、卒業後安定した職業(期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること)についていない
  3. 紹介日前2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  4. 紹介日前において、離職している期間が1年を超えている(パート・アルバイトなどを含め、⼀切の就労をしていないこと)
  5. 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日前において、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  6. 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、 中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者のいずれかに該当し、就職支援の特別の配慮を有する状態である

【参考】トライアル雇用リーフレット(事業主向け)

トライアル雇用助成金を活用できる事業主

トライアル雇用助成金制度を利用する事業主に対しては、相当数の満たすべき条件が定められています。雇用保険適用事業所の事業主であり、報奨金受給のための申請を行い、その審査に協力することが大前提ですが、事業主自身の条件未充足のため、トライアル雇用を決定したのち支給対象外とならないよう注意が必要です。

以下にすべての事業主に共通に求められる事項のうち、いくつか例示してご紹介します。これらを含め、満たすべき条件は30項目内外と多岐にわたります。詳細は都道府県労働局あるいはハローワークへ問い合わせするなど十分な事前確認が必要です。

  • ハローワーク・職業紹介事業者等のトライアル雇用求人に係る紹介により、対象者をトライアル雇用する
  • トライアル雇用を開始した前の日から起算して6か月前に、雇用保険被保険者を事業主都合で解雇していない
  • 過去1年間において、対象者を雇用していた事業主と資本的・経済的・組織的関連政党から密接な関係にない
  • 労働基準法に規定する労働者名簿、賃金台帳等を整備・保管している
  • 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度における労働保険料の滞納がない

【参考】トライアル雇用リーフレット(事業主向け)

トライアル雇用を利用する企業のメリット、デメリット

企業にとってトライアル雇用を利用するメリットおよびデメリットとは何か、以下に整理します。

メリット

■雇用のミスマッチを防げる

履歴書や職務経歴書、短時間の面接などでは判断できない適性や能力を、トライアル雇用期間内に見極めることができます。トライアル期間終了時点までに、適性が認められないと判断した場合は、常用雇用での採用を見送ることができます。

■採用時のコストを抑えることができる

トライアル雇用の期間中は、一人あたり月額4万円、最長3か月で12万円(一定の要件を満たせば、月額5万円)の報奨金が支給されます。

デメリット

■現場の負担が大きい

就業経験が全くない、あるいはキャリアが中断して久しいなど、社会人としての経験が乏しい場合は、礼儀や時間管理など一から教育することとなり、通常の中途採用と比較し現場担当者の負担が大幅に増加する懸念があります。

■人材育成に時間が必要

トライアル雇用期間内に留まらず、その後も現場の戦力として育成するためには、新卒採用と同等の長期のスパンで指導・教育の提供が必要になる場合があります。結果的に新卒採用と同様のコスト負担が発生し、結果的に報奨金受給の効用を薄めてしまう可能性があります。

■助成金受給までの手続き負担が大きい

奨励金を受給するためには、ハローワークとの調整や採用計画の策定、当局への申請書類の作成・提出などスケジュール管理がポイントとなります。不支給とならないようハローワークとのコミュニケーションを密にとり、制度内容を理解し、事前に手続きや日程を確認し、計画的に作業を進めることが必要です。

トライアル雇用に応募する求職者のメリット、デメリット

求職者にとってトライアル雇用を利用するメリットおよびデメリットとは何か、以下に整理します。

メリット

■未経験でも応募可能

応募時点で全く就業経験がないあるいは就業した経験のない職種に応募することができます。

■採用面接までのハードルが低い

履歴書や職務経歴書などの書類選考ではなく、原則面接によりトライアル雇用での採用可否を判断するため、通常の応募より面接までのハードルが低くなります。

■雇用のミスマッチを防げる

企業のメリットと同様に求職者にとっても、短時間の面接では判断しきれない仕事内容や、会社の風土、職場環境を体験しながら、これからキャリアを作ることができる会社か否かを見極めることができ、早期離職を防ぐ効果が見込めます。

デメリット

■常用雇用への転換は約束されていない

トライアル期間終了後の常用雇用が約束されているわけではないため、適正がないと企業が判断した場合は失業することになります。

■不採用の場合は職歴として残る

常用雇用への転換がでず不採用となった場合は、トライアル雇用期間は職歴として残り、その後の求職活動への影響も念頭に応募することが必要です。

「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」について

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の制度概要や支給額などを以下に整理します。

制度の概要

学校生活から職業生活へスムーズに移行出来なかった若年者や出産育児・介護・闘病などによりキャリアを中断した中高年など職業経験の不足などから安定した職業に就くことが難しい求職者に対して、原則3か月間試行雇用することにより、適正・能力等を見極め、常用雇用へ移行する道を開く試みを行う企業を助成する制度です。

支給額

一般トライアルコースを活用した場合、企業に支給される報奨金の額は、一人あたり月額4万円、最長3か月で12万円支給されます。ただし、トライアル雇用の対象者が、母子家庭の母等又は父子家庭の父である場合、および若者雇用促進法に基づく認定事業主が、35才未満の対象者をトライアル雇用する場合は、1人あたりの支給額が最大5万円(最長3ヵ月)支給されます。

報奨金は、支給対象期間中の各月の月額の合計額がまとめて1回で支給されます。なお、途中で自己都合退職した場合や常用雇用へ移行した場合など、トライアル雇用が1か月未満の場合は実際に就労した日数に基づいて次の方法によって計算した額となります。

申請方法

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)を受給するまでの手続きの流れをイメージ図で解説します。

①ハローワーク等へ「トライアル雇用」求人の申し出を行い、面接を実施する

採用選考は原則履歴書等の書類では行わず、面接によるものとされています。

②トライアル雇用開始とハローワークへの必要書類の提出

トライアル雇用での採用を決定し雇用を開始した場合は、対象者と有期雇用契約を締結します。また、当該雇用開始日から2週間以内にハローワークへ「トライアル雇用実施計画書」を提出する必要があります。

③ 常用雇用転換の可否を判定

トライアル雇用期間中業務上必要な指導を行いつつ、職場環境への適用、人となりなどを観察し、常用雇用転換への可否を総合的に判断します。この期間に業務的性が認められないと判断した場合は、誠意をもって対象者へ説明する必要があります。

④ 常用雇用開始とハローワークへの必要書類の提出

常用雇用を決定した場合は、対象者と常用雇用契約を締結します。また、トライアル雇用終了日の翌日から2か月以内にハローワークへ「結果報告書兼雇用奨励金支給申請書」を提出する必要があります。

ポイント

トライアル雇用助成金を活用する場合は、雇用条件や他の助成金との併給など事前にハローワークへの確認が必要です。ポイントとして以下に例示します。

  • 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間以上)必要であり、トライアル雇用受入れのための体制整備が必要です。
  • 必ずしも常用雇用へ移行する必要はありませんが、常用雇用を前提とした試行雇用であり、雇入れ日までに現場の受入れ態勢を通常の採用と同様に整える必要があります。
  • トライアル雇用期間中にハローワークからの雇用管理、 訓練等についての助言・指導を受ける可能性があります。
  • 派遣求人をトライアル雇用求人とすることはできません。
  • トライアル雇用は求人1人に対し、5人に達した場合は、6人目には適用されません。
  • 支給対象者が常用雇用へ移行した場合、移行した日を雇入れ日として、「特定求職者雇用開発助成金」や「建設労働者確保助成金」との併給対象となる可能性があります。

【参考】トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) |厚生労働省

「トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)」について

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)の制度概要や支給額などを以下に整理します。

制度の概要

ハローワーク等の職業紹介日時点において、一定の状態にある障害者に該当する労働者を継続雇用することをめざし、試行雇用の取組みを行う企業に助成金を支給する制度です。

対象者

「障害者の雇用促進等に関する法律 第2条第1号」に定める障害者に該当し、以下の条件のいずれかを満たす求職者が対象となります。

  1. 就労経験がなく職業に就くことを希望している
  2. 紹介日前2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  3. 紹介日前において、離職している期間が6か月を超えている
  4. 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

支給額

障害者トライアルコースを活用した場合、企業に支給される報奨金の額は、一人あたり月額4万円、最長3か月で12万円支給されます。ただし、トライアル雇用の対象者が、精神障害者を初めて雇用する場合は、1人あたりの月額最大8万円(最長3ヵ月)支給されます。

報奨金は、支給対象期間中の各月の月額の合計額がまとめて1回で支給されます。なお、途中で自己都合退職した場合や継続雇用へ移行した場合など、トライアル雇用が1か月 未満の場合は実際に就労した日数に基づいて次の方法によって計算した額となります。

申請方法

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)を受給するまでの手続きの流れをイメージ図で解説します。

①「障害者トライアル雇用」求人の申し出・面接の実施

ハローワーク等へ「障害者トライアル雇用」求人の申し出を行い、面接を実施します。

② 障害者トライアル雇用開始とハローワーク等への必要書類の提出

障害者トライアル雇用での採用を決定し雇用を開始した場合は、対象者と有期雇用契約を締結します。また、当該雇用開始日から2週間以内にハローワークへ「障害者トライアル雇用等実施計画書」の提出する必要があります。

③ 継続雇用の可否を判定

 トライアル雇用期間中業務上必要な指導を行いつつ、職場環境への適用、人となりなどを観察し、継続雇用の可否を総合的に判断します。 この期間に業務的性が認められないと判断した場合は、誠意をもって対象者へ説明する必要があります。

④ 継続雇用開始とハローワーク等への必要書類の提出

雇用の継続手続きを行い、障害者トライアル雇用終了日の翌日から2か月以内にハローワークへ「障害者トライアル雇用等結果報告書兼雇用奨励金支給申請書」を提出する必要があります。

ポイント

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)を活用する場合は、雇用条件や他の助成金との併給など事前にハローワークへの確認が必要です。ポイントとして以下に例示します。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上の就業が難しい場合は、職場への適応状況や体調などに応じて、週10~20時間の試行雇用から開始し、トライアル雇用期間内に20時間以上の就労を目指す「障害者短時間トライアル雇用」制度を利用することも可能です。
  • 障害者を初めて受け入れる場合は、ジョブコーチ支援などを通じ、職場環境の整備を実施するよう努める必要があります。
  • トライアル雇用期間中にハローワークからの雇用管理、 訓練等についての助言・指導を受ける可能性があります。
  • 精神障害者を初めて雇用する場合は、トライアル期間を12か月設けることが可能ですが、長期にわたる体制の維持向上が必要となります。
  • トライアル雇用は求人1人に対し、5人に達した場合は、6人目には適用されません。
  • 支給対象者が常用雇用へ移行した場合、移行した日を雇入れ日として、「特定求職者雇用開発助成金」や「障害者初回雇用コース」「精神障害者等 雇用奨励金」などとの併給対象となる可能性があります。

【参考】障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース - 厚生労働省

まとめ

  • 有効求人倍率がバブル期以降過去最高を記録し企業の大小を問わず人材の確保は困難を極めています。
  • このような環境にあって、トラアル雇用助成金対象のような思い切ったポテンシャル採用などで採用手法の一部を大きく転換するなど、人事に携わる我々は固定観念に縛られず新たな採用戦略を構築する必要に迫られているといえます。
  • 助成金支給があるからなど安易な動機で新しい採用方法を選択することなく、人事に関わるコストはもちろん人材育成など長期的スパンで検討することがトライアル雇用成功の秘訣です。

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