連載:第59回 経営危機からの復活
社員の意識を変えたのは「対話」。V字回復の原動力はリーダーの絶対に諦めない“志”だった
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長時間労働が横行し、組織全体のモチベーションは低く、人がどんどん辞めていってしまう…。ヤブサキ産業の薮嵜康一社長が家業に戻ってきた時の状況です。しかし現在は、赤字経営からV字回復を達成。それぞれが問題意識を持つ自立的な社員が増え、以前とは全く違う組織に変貌を遂げているそうです。大きな改革を成し遂げた背景には、15年間貫いた「社員との対話」、そして社長の諦めない姿勢がありました。詳しく伺います。
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社員全員面談は、経営者の覚悟が問われる場所である
――外部環境の厳しいガソリンスタンド業界において、しっかりと利益を確保し、給与水準も業界平均120%を達成。全国でもトップクラスの顧客数を誇る貴社ですが、薮嵜さんが社長に就任された当初は実質赤字ともいえる状態だったそうですね。
薮嵜康一さん(以下、薮嵜): そうですね。経営状況はかなり厳しかったです。利益が出ていないから休むこともできず、長時間労働が横行しているので人が辞めていく…まさに負のスパイラルに陥っていました。その影響もあり、意欲的に仕事に取り組もうという姿勢やモチベーションを、あまり感じられない組織でした。
――そこから見事にV字回復を果たされています。
薮嵜: ありがたいことに、社長に就任してから12年。売上を伸ばすだけではなく、利益の出せる会社に成長しました。さまざまな戦略を実行したこともありますが、社員の成長が大きいと考えています。当社の行動指針に「自立型人間になる」があるのですが、それが浸透してきたのか、常に問題意識を持って仕事に取り組んでくれるメンバーが圧倒的に増えましたね。
――就任当時の組織と比べると全く違う組織に変わられていますよね。それはなぜでしょう?
薮嵜: 振り返ってみて効果的だったと感じるのは、社長就任以前から徹底して継続している 「社員との対話」 でしょうか。かれこれ15年ほど、年2回、全社員と1時間ずつの面談を実施しています。面談のうち、3分の2は社員の話を「聴く」時間に充てています。
社員たちを定点で見続けていると「成長したな」という瞬間があるんですよね。話す言葉や行動が、如実に変わりますから。あと、長くやっていると社員自身のコンディションも分かります。すごく調子が良いこともあるし、沈んでいることもある。だから、社員やその職場の状態を見る場としても機能していますね。
一方で、この面談は自分自身のためでもあります。 「経営者として覚悟」が問われる場でもある と思っているからです。
――それは、どういうことでしょう?
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