連載:第58回 経営危機からの復活
「ぜひ投資したい」本田圭佑も共感したビジョン。新しい組織のあり方を模索した経営者の“挑戦”
スキルと経験を持つ「プロ人材」と企業を業務委託契約で仲介するキャリーミー(株式会社Piece to Peace)。しかし、まったく新しいビジネスモデルが世の中に受け入れられるまでには大きなきっかけを必要としました。そこで、キャリーミーの大澤さんが注目したのが経営者としての一面を持つサッカー選手 本田圭佑さん。事業が認知度を得て急成長するまでのお話を伺いました。
株式会社Piece to Peace (サービス名:キャリーミー)
代表取締役 大澤 亮さん
1996年に新卒で三菱商事株式会社に入社、タンザニアでの駐在経験を経て、帰国。退職後、1999年に1度目の起業。証券会社の比較サイトを米国Gomez社に売却し、EC事業(会社)をサイバーエージェント社に売却。 その後、株式会社ドリームインキュベータに入社、コンサルティング、ベンチャー企業投資を担当。退職後、株式会社土屋鞄製造所に取締役兼COOとして入社し、2年で売上・利益ともに2倍とすることに貢献。2009年株式会社Piece to Peaceを創業、2016年6月にキャリーミーをローンチ。
自身の起業体験から誕生した新しい人材サービス
――株式会社Piece to Peaceのサービス「キャリーミー」ローンチの経緯について教えてください。
大澤 亮さん(以下、大澤): もともと、株式会社Piece to Peaceは「小さなカケラが集まって世界が平和になる」。つまり、個人の能力や力が集まって大きな平和に貢献していく、という意味を込めてスタートしたエシカルファッションの会社だったんです。
エシカルファッションにかける想いや、エシカルであることの重要性(今でいうSDGsのような背景)を伝えるため、イベントを展開しようと、全国の百貨店などに訪問していました。そこで、自らのスキルや情報を広く共有・提供したい、という個人と多く出会ったのです。
そこで、伝えたい情報やスキルを持つ人と、そうしたことを聴きたい、学びたい人とのマッチングサービス「シェア」を作りました。事業として売上を上げることはなかなか難しかったのですが、結果、マーケティングや広報などビジネス領域のスキルを持つフリーランスや起業家が想像以上に多くいることに気がつきました。 同時に、マーケターや広報担当者の採用に困っている企業も多くいるので、その2者を結びつけることができれば大きなマーケットになるのではないかと。それが現在のメイン事業「キャリーミー」のはじまりです。
なかなか認知されないサービス。起爆剤となった本田圭佑さんとの出会い
――最初の滑り出しはいかがでしたか?
大澤: 顧客の新規開拓がものすごく苦戦しましたが、2年でようやく黒字化することができました。しかし課題もありました。思った以上にサービスと「プロ人材」の認知が広がらなかったのです。
お取引のある会社・経営者からは評価していただいたものの、やはり認知度の低さは依然として大きな経営課題でした。
というのも、私たちは最初から業務委託、フリーランスという言葉は使わず「プロ人材」「実務型プロ人材」という言葉にこだわっていました。プロ人材とは能力はもちろん、組織への貢献や、成果、結果へのこだわりを持つ人。そうした人材のみご紹介し、企業様の事業課題を解決するというビジネスモデルを象徴する言葉だったからです。
マーケットをゼロから作っていくわけですから、新しい言葉や概念を世間に認知させるのには時間がかかります。「あれ、これって意外としんどいぞ」と1年くらいやって気がつきました。
会社の成長のためにも、認知度アップの起爆剤となるものを導入したかったのです。
そこで頭をよぎったのがサッカー選手の本田圭佑さんです。考えてみたら、プロといえばスポーツ選手だと。活躍しただけお金をもらえて、活躍しなかったら報酬は減額される、解約もありえる、そういうリスクとリターンのある世界ですよね。
弊社の目指す世界にも合致しており、わかりやすくキャリーミーのサービスをPRできるのではないかとひらめきました。
そこで、スポーツ選手としてだけではなく、実業家・投資家としての活動も始められていた本田圭佑さんにアンバサダーとして出資いただけないかと知り合いのエンジェル投資家にお願いしてコンタクトを取りました。
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