連載:第69回 組織作り その要諦
「人が辞めない組織」をつくる唯一の“指針”。老舗企業のリーダーが語った組織改革の原動力
建設業でありながら驚異の離職率3%を誇る、株式会社ハウジング重兵衛。明治32年創業の老舗企業を改革したのは同社6代目の菅谷重貴社長です。かつては旧態依然とした会社で社員が疲弊し、離職率は20%前後もあったそう。先代の父との関係にも悩む中、転機となったのは、ある企業の経営者からかけられた“言葉”でした。「経営者として不足しているもの」に気づき、自らの意識と行動を変えた菅谷さん。どのようにして「人が辞めない組織」をつくり上げたのか、その秘訣と経営者としての成長について伺いました。
株式会社ハウジング重兵衛
代表取締役 菅谷 重貴さん
1982年生まれ。青山学院大学を卒業後、ハウスメーカー及び不動産会社での6年間の修業を経て、2011年に株式会社ハウジング重兵衛に入社。2012年から常務を務めた後、2019年に代表取締役社長(6代目)に就任。また、職人不足という現実に対し、2024年2月に多能工職人育成学校(一般社団法人Japan Multi-Crafter Academy)を設立するなど、社会問題の解決に向け、果敢に挑戦している。
経営者として足りていなかったものに気づかされた、ある経営者との出会い
――貴社は建設業でありながら「離職率3%」を実現していますが、かつては休日が少なく離職率も高かったそうですね。
菅谷重貴さん(以下、菅谷): 私は2011年に入社しましたが、当時はまだ旧態依然とした会社でした。社員数は約30名、離職率は20%前後あったと思います。休みは週1回と少なく、朝7時半に出社して夜遅くまで勤務…そんな状況が常態化していました。建設業界ではよく見られる状況ですが、「このままではまずい」と危機感を抱いていたんです。
それから10年以上かけて組織改革を実施。離職率3%の「人が辞めない組織」に生まれ変わり、今年(2024年)1月には「第10回ホワイト企業大賞」の特別賞(地域密着大家族経営賞)を受賞しました。
しかし、最初から順調だったわけではありません。特に当時社長だった父とはよく揉めていました。いい会社にしたい想いは一緒でしたが、プロセスが違った。常務になってから3年くらいは、「そのやり方は気に入らない」といった口論をよくしていました。
経営者同士が揉めている会社では社員を幸せにできない。そう思いながらも、なかなか状況を変えられずにいたんです。
――そんな状況をどのように乗り越えたのでしょうか?
菅谷: ちょうどその頃、「経営者としての自分」を見直す出来事がありました。
「社員の幸せを第一に考える」経営の第一人者でもある、ネッツトヨタ南国株式会社創業オーナー・横田英毅さんが講師を務める研修に参加したときのことです。たまたま横田さんの隣に座ることになりまして、お話しさせていただく中で、私は父や会社への不平不満を口にしていたんです。そのあと横田さんに言われた言葉が、私の経営者人生に大きな影響を与えることになります。
――なんと言われたのでしょうか?
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