連載:第58回 組織作り その要諦
「人は弱い」を受け入れられますか?組織崩壊寸前、リーダーの結論
「性弱説」という発想で、組織崩壊の危機を乗り越えた老舗が鹿児島にあります。役員や部署間でのいがみ合いがいよいよ手に負えなくなり「会社の売却も考えた」と語るのは、創業100年の老舗、小平(こびら)株式会社の小平勘太社長。しかし、問題に正面から向かい合って人間関係の修復を進め、組織運営のベースに「人は弱いものだ」を置いたことで、お互いを許容する組織風土ができ、ワークライフバランスやウェルビーイング、組織・人材の活性化につながりました。組織改革の経緯について話を聞きました。
小平株式会社
代表取締役社長 小平 勘太さん
1980年、鹿児島市生まれ。京都大学農学部卒業後、米イリノイ大学院で修士号を得た後、東京のアビームコンサルティングでITコンサルタントとして従事。2012年、鹿児島で100年続くエネルギー商社「小平株式会社」の4代目社長就任。2024年には鹿児島県日置市へ本社を移転し、会社と地域のウェルビーイングを目指している。
役員・社員どうしがいがみ合い、組織が崩壊。会社の売却を考えた。
――2012年に社長に就任され、2022年から「性弱説」をベースに急速な組織改革を進められています。社長就任後の10年間、組織はどのような状態だったのでしょうか?
小平 勘太さん(以下、小平): 私は2010年に取締役、2012年に社長になりましたが、実質的に「社長」といえるようになったのは、2022年頃からです。それまでの社内は、先代である父の影響力が大きかったというのが正直なところです。
ほとんどの社員は、父のほうを向いていました。父と社員の関係はまさに「親分子分」。100年の老舗ですし、会社自体は回っていたこともあり、私がその関係性に割って入るよりも、外部コンサルタントのような立ち位置を取っていました。
そうした中、組織がとくにひどい状態になっていったのがコロナ禍のタイミングでした。役員が悪口を言い合って、事業部どうしで反発し合う。それが全体に伝わって各所でいがみ合い、陰口が横行…離脱を考える社員も増えました。
そして最後は、会社の売却を考えるところまで行ったのです…。
ーーなぜ、踏み止まったのでしょうか?
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