連載:第44回 経営危機からの復活
リーダーは「順番」を間違えるな。再生請負人、経営破綻から1年でV字再生。三方良しの仕事術。
北海道・支笏湖の秘湯。大正4年創業の丸駒温泉旅館は、コロナ禍で売上が急落。8億円の負債を抱え、2021年に民事再生法の適用を申請しました。その再建を託され社長となったのが、星野リゾートで旅館・ホテル運営や経営再建の経験を積んだ日生下(ひうけ)和夫さん。彼の企業再生は、教科書とする「コッターの変革8段階」に沿って進めるものの、その前に必ず整えるものがあると言います。1年でV字回復・給与アップにまで導いた、再建の奮闘と取り組みを伺います。
丸駒温泉旅館
代表取締役 日生下 和夫さん
近畿大学卒業後、公認会計士事務所にて2年間勤務。ホテル専門学校にて学び直し、大手ホテルチェーンに入社してマネジメントの基礎を学ぶ。2007年星野リゾートに移り、総支配人として鬼怒川温泉や北海道のホテルなどでリブランド、テイクオーバー、収益改善、開業を経験。2021年丸駒温泉旅館の代表取締役となり再建を担う。
「組織改革の教科書」の手順を踏む前に、必ずやるべきこと。
――日生下社長は「再生請負人」として、これまでにさまざまな旅館・ホテルの再建を手掛けてこられました。独自の考え方、手法はあるのでしょうか?
日生下 和夫さん(以下、日生下): 企業・組織ごとに細かい部分は異なるのですが、基本的には「ジョン・コッターの変革の8段階プロセス」に沿って進めています。
ジョン・コッターの変革の8段階プロセス
日生下: 私にとってこれは「変革の教科書」のようなもので、丸駒温泉旅館においても、最初のプロセス「1.危機意識を高める」はしっかり行いました。
ただ私の経験則としては、 これを教科書通りに進めてしまうと、絶対にうまくいきません。変革の8段階プロセスに入る前に、変革のリーダーとして、必ず整えておくべきものがある のです。1段階目の前、「ゼロ段階」とでも言いましょうか。
逆に言えば、それができない場合は決して改革を進めてはいけないと考えています。絶対に、順番を間違えてはいけません。
――1段階目の前、「ゼロ段階」とは何なのでしょうか?
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