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「社長だけでは何も出来ない」で目が覚めた。ワンマンを脱却した社長の“アメーバ”で成長を後押しする組織改革

BizHint 編集部 2023年6月20日(火)掲載
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「もっと会社をよくしたい」という思いは全ての経営者がもつもの。しかし、実践するのは容易ではありません。岡山で接骨院や鍼灸院などで使うサポーターやコルセットの開発・製造・販売を行うダイヤ工業株式会社の3代目松尾浩紀さんも、「もっと営業を強く、もっと効率的に」と意気込みましたが、成果が出ずに社内の反発を受けてしまいました。思い悩む中、元京セラ社長の伊藤謙介氏から叱責され、従業員と共に会社を成長させることの大切さに気づきます。そこからどうやって自律型組織を作っていったのか、その道のりを伺いました。

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ダイヤ工業株式会社
代表取締役 松尾浩紀さん

東洋大学経営学部を卒業後、IT関連企業で勤務。その後2006年、祖父が創業したダイヤ工業株式会社に入社し、2018年に代表取締役に就任。元京セラ社長の稲盛和夫氏や伊藤謙介氏に感銘を受け入った盛和塾や伊藤氏の経営塾で学んだことを活かし、ワンマン経営から従業員中心の経営に舵を切った。109名(2023年4月現在)の従業員と一丸となり、会社を盛り立てている。


「もっと会社をよくしたい」はずがワンマン経営に……

――2018年4月に社長に就任された後、様々な改革に乗り出したと伺いました。

松尾 浩紀さん(以下、松尾): 社長になった頃、私は「古いやり方はやめて、新しいことにどんどん挑戦していけば会社はもっと大きくなるはずだ」と考えていました。

社長就任後、まず営業の効率化に取り組みました。
当社は通信販売を中心に商品を販売しており、紙のカタログを見たお客さまから電話で注文を受ける方式が主でした。これを、紙のカタログの制作費やオペレーターの人件費などを削減するために縮小し、インターネットで注文する方式を推進したんです。 顧客により良い情報を効率的に提供すれば売上は上がると思っていました。

お客さまのニーズを考えず「電話注文は不便だし、もっと今の時代に合った形で提供したほうがいいだろう」と思い込んでいたんです。結果、当社のメインのお客さまである接骨院からの注文がみるみる減少してしまいました。
また、ひたすら効率を追い求めるやり方は当社の風土に合っておらず、従業員が成果を出せる状況ではなくなっていきました。

――社風に合っていなかったとは?

松尾: 当社の従業員は協調性の高いタイプが多く、「一緒に働く人やお客さまに喜んでもらうこと」にやりがいを感じる人がとても多いんです。 会社が成長を続けていたのも、一人ひとりの従業員が丁寧なコミュニケーションでお客さまに接し、信頼される会社を築いてきたからです。
先代である父が20年以上前から新卒採用に注力し、コツコツとそういう組織を作ってくれたおかげなんですが、それまでの心を大切にする風土とは全く合わない、数字や効率を機械的に追求する方向に走ろうとしてしまいました。

今思えば、 当時の私が出していた指示はお客さまや社会の幸せを第一に考えたものではなく、「いかに会社が儲かるか」「いかに売上を上げるか」といった内容ばかり でした。

結果、社長に就任した年の売上は伸びず……経常利益率は2%ダウンしました。自分が社長になるまで父が成長させ続けていた会社の成長を止めてしまったことで、自分の中にあった根拠のない自信が崩れ落ちました。
私がバトンを受け取ったとたんに業績が悪化し、社内の空気が悪くなった状況は、従業員にとって相当不安なものだったと思います。父の代から活躍してくれていた会社の要だった人の離職もありました。

自分で蒔いた種ですが、何もかもが絶不調の中、 尊敬する方から「あなたには経営者の資格がない」と叱責された一言が自分を大きく変えました。

元京セラ社長・伊藤謙介さんに叱責され、もう一度父のもとへ

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