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連載:第51回 組織作り その要諦

あなたの1on1が劇的に変わる。知るべき「4つの誤解と解消法」とは

BizHint 編集部 2023年3月9日(木)掲載
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近年、部下と上司が1対1で行う定期的な対話や面談、いわゆる「1on1ミーティング(以下、1on1)」を実施する企業が増えています。BizHintもアンケート調査を実施し、企業における1on1の現状と実態を伝えました。そこで浮き彫りとなったのが、「部下の本音を引き出す方法が分からない」「話すことが苦手な人への接し方を教えてほしい」など、多くの方が1on1に関して悩みを抱えているということでした。これらの結果を受け「そもそも部下にもタイプがある。全員に同じ1on1の手法を取っても通用しません」と言うのが、エール株式会社の櫻井代表。今回はアンケートから見えた1on1に関する「4つの誤解」、それを解決するためのヒントについて教えていただきました。

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エール株式会社
代表取締役 櫻井将さん

新卒でワークスアプリケーションズに入社、新規営業にて社長賞を受賞。その後プロジェクトマネジメント会社のGCストーリーに入社。両社ともにGPTW「働きがいのある会社」ランキングにてベストカンパニーを受賞。現在はオンライン1on1サービス「YeLL」を運営するエール株式会社の代表を務め、慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科にて「働く人の幸せ」と「組織の生産性」の両立についての研究を行っている。


一見簡単そうな「1on1」。しかし捉え方がさまざまなだけに理解が複雑になる

櫻井将さん(以下、櫻井): 「1on1」は、2017年に発売された『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法(本間浩輔/ダイヤモンド社)』という本の出版を機に、日本では広く知られるようになった印象です。「才能と情熱を解き放つ」という当時のヤフーさんの人材に対する考え方で設計された施策だと理解をしていますが、この本から1on1を知った人は「1on1=部下のための時間」という捉え方をする方が多いようです。ただ、他の企業では人材に対する考え方はそれぞれ。もちろんヤフーさんと近い、自律性や内発的動機を引き出していくことやキャリア自律の目的で、部下のための時間として1on1を導入するケースもありますが、上司と部下のコミュニケーション改善を目的とするケースもあれば、組織の心理的安全性を高めたいという目的の場合もあります。この「1on1とは何なのか?」という定義のズレが1on1をわかりづらくしている要因かもしれません……。今回は、そういった背景から生まれた複数の「誤解」について解説していきたいと思います。

―今回伺う「4つの誤解」は、以下の4つです。

  1. コミュニケーションがとれたら、1on1は大成功? ―成功かどうかは相手が決める!効果は「目的」と「機能」を明確にしてから判断
  2. 1on1は数ヶ月に1回でもいい? ―持たせたい「機能」によって、必要な回数は変わります!
  3. 1on1を行えば、部下の本音を引き出せる? ―「部下のタイプ」は4つある。まずはタイプを知り、関係の構築から
  4. 1on1が上手くいかないのは、上司のせい? ―「聴かれる」体験なしに「聴く」ことはできない

ではまず、1から聞いていきましょう。

誤解1:コミュニケーションがとれたら、1on1は大成功?

―「部下と会話できたから大丈夫」「目標の進捗が確認できたからOK」と、「コミュニケーションが取れたから1on1は成功した」と考える上司は少なくありません。しかし、当の相手(部下)はどう思っているのでしょうか?そもそも、どういう状態を「成功した」というのでしょうか。ここでは、1on1をスタートする前に必ずすべきことについて聞きました。

櫻井: まずは 「何の目的で、どんな機能を果たすために1on1を行うのか」 を明確化させないことには、成功かどうかの判断はできません。目的、つまり「起こしたい変化」は複数あると思います。例えば、最近よく言われるのが「自律性を高めたい」「ワークエンゲージメントの向上」など。であれば、目的を達成するために、1on1にどのような「機能」を持たせたいのかを言語化することが重要です。機能は、主に5つあるといわれています。 「情報共有」「問題解決」「経験学習」「関係構築」「動機づけ」 です。

これらを明確にした上で1on1を実施し、例えばITツールなどを活用し「定量的」に、そして社内アンケートやインタビューを実施して「定性的」に効果を判断する方法があります。最近では、1on1を行っている部署とそうでない部署、頻繁に行っているチームと頻度が低いチームとで、エンゲージメント、心理的安全性やウェルビーイングなどの社内サーベイのスコアを比較しながら評価するケースも増えてきています。

そのような長期的な評価に加え、毎回の1on1が「成功したかどうか」については、相手(部下)の主観的な満足度も大切だと思っています。エールで取得しているデータを分析すると上司と部下の双方に「楽しさ」と「成長実感」がある1on1は、高頻度かつ継続的に実施されるという結果もあります。この主観的な満足度を高めるポイントの1つは、1on1を始める際に、まずは相手が求めている「会話のテーマ」と「関わり方」の擦り合わせをすることです。これができると、1on1がとても楽になります。

まず「会話のテーマ」ですが、例えば、子どもの頃「今晩、何が食べたい?」と親に聞かれ「何でもいい」と答えていたことを思い出します。しかし、そんな状態でもファミレスに行って「このメニューの中で、何が食べたい?」と聞かれたら気分にあったものを選ぶことができるわけです。つまり、何を話していいか分からないという人にもメニューを見せれば、話すテーマが見つかることがあるわけです。「1on1はあなたの時間だから、何を話してもいいよ。何か話したいことある?」と言われても意外とテーマが出てこない。もしくは、当たり障りのない仕事に近い相談の話になってしまう。仕事だけでなく、「健康」「生活環境」「楽しみ」「自己成長」「大事な人」「お金」「対人関係」などのメニューを広げ、「この中だったら何か話してみたいことはある?」と尋ねてみると今までとは違った1on1の時間になるかもしれません。

さらに重要なのはここからで、それは「関わり方」です。

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