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連載:第19回 ヒット商品を生む組織

斜陽産業にあって星野リゾートに選ばれたブランド。未来を変えた3つの決断

BizHint 編集部 2023年1月16日(月)掲載
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最盛期のわずか1/10まで市場が縮小してしまったと言われる日本の伝統工芸品産業。その中において活路を見出し、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」とのコラボレーションをはじめ、確実な成長を遂げているのが有限会社ぬくもり工房です。代表の大高旭さんは、「あのときの決断がなかったらこの未来はなかった」と語ります。大高さんが行った3つの決断について、詳しくお話を伺いました。

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有限会社ぬくもり工房
代表取締役・ストライププロデューサー 大高旭さん

1966年、初代大高敏明が大幸株式会社を創業、静岡県浜松地域で生産される生地の問屋を営む。2006年大幸株式会社より遠州綿紬を取り扱う事業部を分社化し、有限会社ぬくもり工房を創業する。2013年、現在の店舗兼事務所をオープン。2009年グッドデザインしずおか大賞(県知事賞)、2019年 第59回全国推奨観光土産品 2商品入賞など、受賞多数。


突然訪れた「星野リゾート」からの大きなチャンス。その背景にあったもの

――貴社の生地ブランド「遠州綿紬(えんしゅうめんつむぎ)」は、どこか懐かしさを感じる縞模様が素敵ですね。星野リゾートの温泉旅館「界 遠州」のお部屋にも採用されていると聞きました。

彩り豊かな縞(しま)模様と、柔らかな風合いが特徴の「遠州綿紬(えんしゅうめんつむぎ)」。静岡県浜松市とその周辺で江戸時代初期から生産が始まり、浜松繊維のデザインの原点といわれる織物で、今でも職人たちの手によって作られている

大高旭さん(以下、大高): 舘山寺温泉にある「界 遠州」の当時の総支配人 岡本様から「静岡県浜松市に『界 遠州』をオープンするにあたって、協力をお願いできないか」とお電話をいただいたときは、正直体が震えました(笑)。当社の創業から7年目、2013年の出来事です。

なんの前触れもなくお電話をいただいたので、「星野リゾートさんと当社がコラボレーション!?」と驚きでいっぱいで…。

先方からいただいた宿題は、「まずはひと部屋、遠州綿紬を使ってご当地部屋を作ってみてください」というもの。しかし、当社としては「部屋を作るって、いったい何から始めればいいんだろう…」というレベルで。当時は、旅館の内装やインテリアグッズに関する実績なんてゼロでしたから。

それならば、遠州綿紬でとにかくいろんなアイテムを作ってみよう!と、ソファやはんてん、装飾用の花などをご提案しました。地元の企業に呼びかけて、和紙と遠州綿紬を組み合わせた障子を考えたりもしました。

そうして何とか、「界 遠州」に「遠州つむぎの間」がひと部屋オープンしたのです。

遠州つむぎの間

――やっとの想いでこぎつけたオープン。反響はいかがでしたか?

大高: 私の心配をよそに、お客さま満足度は高得点だったそうです。その後、ご当地部屋を増やしたいと連絡があり、5年ほどかけて全部屋を「遠州つむぎの間」にリニューアル。さらにはラウンジや大浴場など、いたるところに遠州綿紬を挿し入れていただくようになりました。

そもそも 「遠州綿紬を残したい」というあの時の決断がなかったら、この未来はなかっただろうな… と思います。

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