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連載:第4回 組織改革 その根幹

反発だらけで始まった働き方改革が、組織を変えた。慢性的な人手不足を脱した「発想の転換」

BizHint 編集部 2025年5月29日(木)掲載
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長時間労働が横行し、休めない……。そんな状況についていける人だけが残り、慢性的な人手不足に陥っていたのが、フクヤ建設株式会社です。同社の二代目である代表取締役 福家淳也さんはそんな状況に危機感を覚え、人事担当者とともに働き方改革に乗り出します。「有給なんて取れるか!」「先輩が休んでいないのに休めない」など、当初は大きな反発がありながらも、ある発想の転換でベテラン社員の有給休暇取得が加速。結果的に、それが改革を後押しし、残業時間が大幅に減少。有給休暇取得率も、翌年度には70%まで上昇しました。それと比例して、人材の採用・定着が進み、取り組みから5年で社員数は2倍に。業界は厳しい中、売上高も右肩上がりで推移しています。ベテラン社員の理解を促した、発想の転換とは。詳しく伺います。

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「有給なんて取れるか!」休まないベテラン社員の意識を変えた、発想の転換

――貴社は2021年から働き方改革に取り組まれ、若手社員の採用と定着に成功。組織の規模も2倍となったそうですが、福家さんが代表取締役になられた2016年当時は、人手不足に悩まれていたそうですね。

福家淳也さん(以下、福家):はい。まず少し会社のことに触れると、当社は創業54年目を迎えた建設会社です。戸建住宅の新築やリノベーションなど、設計から施工管理までワンストップで承っています。私が代表に就任した当時は、社員数20名、売上高は7億円ほどでした。

先代である父が代表だった頃、当社は超トップダウン型のマネジメントでした。ただ、社員の中には指示されたことを遂行するのが楽だと感じている人も多かった。それでは会社が成長しないと考え、私が代表になってからはできるだけ社員に権限を与えていました。しかし、その権限の中で社員が一生懸命やっても、最終的に父が登場して社員の判断を覆してしまうこともあり……。彼らのモチベーションが下がってしまい、それに嫌気がさして辞めてしまう人もいました。それが、当社が慢性的な人手不足に陥っていた理由の一つでした。

このままではいけないと、2018年頃から新卒採用も開始しました。しかし、入社説明会を開いても応募者は3〜4人程度。何とか若い人に入ってもらおうと、当社のビジョンである「この街にワクワクを創造する」の意味を熱心に説明したりもしました。しかし、そこに共感して入ってくれても、既存の社員にビジョンが浸透しきっておらず、ギャップを感じて辞めていくことも多かったですね。今思えば、このビジョンは私の自己満足だったと反省しています……。

そして、人手不足の背景には働き方の問題もありました。

――詳しく教えてください。

福家:まず長時間労働が横行しており、夜遅くまで残業することが常態化している部署もありました。おそらく、長い時間働くことが美徳とされている雰囲気もあったのだと思います。しかし、新たに入社した社員はその働き方についてこられる人だけが残るという状況で……。

そして少しずつ、「休みを取ろう」というメッセージを発信し、有給休暇の取得を促しました。しかし一部のベテラン社員からは「有給休暇なんて取れるか!振休だけで精一杯だ」という反応が……。若手からも「先輩たちが休まないのに、休みにくい」という声も挙がったんです。調べてみると確かにベテラン社員の有給は、毎年ほぼ消えているような状況で……。もちろん仕事は忙しかったのですが、そもそも「休む」ということに慣れていなかったこともあると思います。どうすれば彼らの意識を変えることができるのか、休んでもらえるか、頭を悩ませていました。

しかしその後、ある発想の転換でベテラン社員の理解を得ることができ、一気に有給取得が活性化。その取得率は1年で35%も上昇しました。それをきっかけに働き方改革自体が前進し、結果的に若手社員が集まり、定着する会社に変化することができたのです。

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