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連載:第20回 IT・SaaSとの付き合い方

社長の「勘と経験」だけでは必ず沈む。成長する中小企業が日々積み上げているものとは

BizHint 編集部 2022年8月9日(火)掲載
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経営において、社長には様々な決断が迫られます。その判断を誤ると、最悪の場合倒産してしまうことも……。今まで200社以上の事業再生に携わってきた株式会社ナレッジラボの代表取締役CEO 国見英嗣さんは、「事業再生が必要な企業にはある共通点がある」と語ります。その共通点とは一体何なのでしょうか。そして、不確実性が高く変化の激しい現代においても成長できる企業の条件とは?詳しくお話を伺いました。[sponsored by株式会社マネーフォワード]

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株式会社ナレッジラボ
代表取締役CEO 国見英嗣(くにみ ひでつぐ)さん

トーマツグループに入社後、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー株式会社でM&A、事業再生業務を経験しナレッジラボを設立。ナレッジラボでは事業再生コンサルティングを立ち上げるとともにコンサルティングノウハウを詰め込んだ経営管理クラウド「Manageboard」の開発も行うなどテクノロジーに強みを有する公認会計士。

Manageboard本部コンサルティング部
部長 土田響(つちだ おと)さん

大学卒業後、大手不動産会社に入社し、3年半営業職として従事。その後、相続専門のコンサル会社で個人の相続、法人の事業承継に携わる。 ナレッジラボに入社後、バックオフィス業務設計業務に従事。売上規模億円~百数億円のクライアントへの業務フローの見直しやシステム導入の提案を主に担当。これまで150社以上のクライアントと関与し、主な導入実績としては、大企業グループ子会社、プロサッカーチームなど。

https://knowledgelabo.com/


社長の「勘」と「経験」だけで経営している企業は要注意!

国見英嗣さん(以下、国見): ナレッジラボは、中小企業の事業再生を支援するコンサルティング会社として2013年に設立しました。1社でも多くの企業を再生させるべく、当初はある意味なんでもやっていましたね(笑)。経営者の家族会議に参加したこともありましたし、クライアントの幹部社員が退職しないよう、社長と一緒に引き留め交渉をしたことも…。

そして創業から3年ほどが経ったころ、 事業再生が必要な企業に「共通している課題」 がだんだん見えてきました。

――それは何でしょうか?

国見: どんな企業でも、仕入れや販売をはじめとしたお金の動きがありますよね。しかし、この数字をデータとして蓄積している会社とそうでない会社があります。事業再生が必要な企業は圧倒的に後者が多かったんです。

つまり、「過去の情報・データを経営判断に全く活用できていない」ということ。さらに言えば、こういった企業は「変化を好まない」「長年続けてきたやり方を変えたがらない」といった傾向もあると感じています。

ある社長に「顧客ごとの売上データはありますか?」と聞くと「紙の請求書があるから、それを見てくれ」と言われました。「どうやって経営判断されているんですか?」と聞くと、「勘」だと……。つまり、自社の数字の管理が全くできていないんです。 数字やデータをもとにした経営判断を行わず、社長の「勘」と「経験」だけに頼ってきた わけです。

――そのような背景から、事業再生のコンサル会社でありながらも、クラウドツールの開発に着手されたのですね。

国見: はい。事業再生を支援しているうちに、データを活用できていない中小企業のあまりの多さに危機感を抱きました。そして、今のままのコンサルティングを続けているだけでは、困っている多くの企業を救うことはできないのではないか…と。

そんな時、「クラウド会計システム」に出会います。これを使えば、会計業務の業務効率化に繋がるだけでなく、普段使いしているだけでクラウド上にデータが残ります。大量の紙の中から数字を探すこともなくなりますし、勘と経験ではない、データに基づいた経営判断が可能になります。

ただ、クラウド会計システムは「過去」のデータを管理するもの。それなら、事業再生のための予算データを管理する「将来」に向けたシステムを作ろうと2018年に「Manageboard(マネージボード)」というクラウドツールをリリースしました。

現在はコンサルティングとクラウドツールを活用した業務改善を通じ、企業に経営インフラを提供すべく事業を展開しています。

中小企業が陥りがちな「組織の壁」。乗り越えるために必要なものとは

――クラウドツールと聞くと「経営判断」というより、「仕事を便利にするもの」というイメージがあります。

国見: たしかにそうですね。もちろんそれも一面です。

しかし、 特に「会計」のクラウドツールにおいては、企業が「経営判断のためにデータを使いこなせていない状態」を解消するもの だと考えています。そしてそれこそが、「勘」と「経験」頼みの経営がいつか陥る企業の危機を、事前に避けることができる有力な方策なのです。

そもそも「データ」は、それを活用して次の一手を考えたり、組織の課題を抽出したりするなど、企業にとって非常に重要なもの。活用すればより正確に会社の状況を把握できるようになりますし、数字に基づいた議論や比較検討、そして経営判断が可能になります。

例えば、赤字が続いていた製造業の会社が原価データを取るようになり、そのデータをもとに目標利益が確保できる受注金額を設定するプロセスを導入したことで黒字化した、というような事例は中小企業でもたくさんあります。

――データの活用が特に重要になるタイミングなどはありますか?

国見: 例えば代替わりのタイミング。それまでは先代の社長の感覚で経営できていたかもしれませんが、 「感覚」を引き継ぐことはできません。

決算のために必要な全体の数字は分かるものの、事業や商品にフォーカスした個別のデータはない…というケースは本当に多いです。それまでは社長が現場を見て感覚的に「この商品の発注少ないな」と判断していたとしても、社長以外の人、さらには後継者には分からないといったような状態です。

それまでの意思決定者が、何をもとに判断・決断していたのか?共通言語がないと話ができないですよね。そこで役立つのが「データ」です。

また30人、50人、100人…と、「組織の壁」を越えて売上をもっと伸ばしていきたい、会社を成長させたいと考えている企業でも、データの活用が非常に重要となります。

起業した時は一人だから、すべてを把握できます。そして従業員数が10名くらいになると、情報量が増え、管理する場所が如実に増えていきます。ただ、このくらいまでは社長ががんばればなんとかなります。

しかし、30名を超えると、社長一人で全員のマネジメントをすることは難しくなります。現場と社長との間にミドルマネージャーが入り、現場のマネジメントを委譲していきます。社長はだんだん現場の見通しが悪くなる。50名を超えたら組織は階層化し、社長が何か手を打たないと現場の状態が見えなくなってしまうんです。

気付いたら情報はなにも上がってこない、社員の離職は増え、お客様も離れていってしまう…。 組織の成長と共に適切にデータを活用していかないと、最悪の事態に陥ってしまう可能性さえもある んです。

クラウドツールを入れることは、あくまでも「手段」。その先の本当の目的を見出す

――実際にナレッジラボに相談に来られるのは、どういった企業が多いのでしょう?

国見: 相談に来られるのは、事業を伸ばしたい、会社を変えたいという強い思いを持った経営者の方が多いですね。また、熱意のある後継者の方からのご相談もあります。

具体的な相談内容としては、「最近”クラウド化”というワードをよく耳にするので、うちも導入したい」というご相談が一番多いです。昨今のIT・クラウド化の流れに乗り遅れないように…という危機感を持った方々です。ただ、 クラウドツールを入れることは、あくまでも「手段」。 導入した先に、どんな課題を解決したいのか、その先に何を求めているのかを必ず確認するようにしています。

土田響さん(以下、土田): 具体的には、「バラバラに散らばってしまった社内の情報を集約したい」「データの収集に時間がかかりすぎているから、スピードアップしたい」というご要望が多いですね。社長からすると、経営判断のために見たい数字がある。しかし、出てくるのが1ヶ月、2ヶ月後で、うまく活用できない。一方、現場の担当者にヒアリングすると、手作業が多くどうしても時間がかかってしまうと。

ツールを使えば業務効率化でき、情報は集約され、スピードアップも実現できるでしょう。ただ、本当のゴールはそこではありません。企業の多くは「目の前にある課題を解決したい」と相談にいらっしゃいますが、そこからもう一歩踏み込んだ先に、何を実現したいのか、本当に見たい数字はどこなのかといった部分までヒアリングしたうえで、ゴール設定を行うようにしています。

国見: 当社が提供しているサービスは「業務設計コンサルティング」。見たい数字を見られるように、業務フローから変えていきましょうというご提案です。 クラウドツールを導入したその先に会社がどう変化するのか、そこを提供するのが我々の価値 だと思っています。

――具体的にはどのようにアプローチされていくのでしょうか?

土田: まず「今どうなっているか」を知ることからスタートします。例えば、売上データを出したい場合、そもそもお客様に見積書を出した段階から、どういう流れで請求・入金に至っているのか。それを誰がいつ、どのタイミングで処理しているのか、プロセスを確認していく中でボトルネックとなっている部分を探していきます。

ただ「そもそも、今の業務フローが不明」「やり方がバラバラで統一されていない」というケースも少なくありません。いわゆる、属人化ですね。そういった際はとにかく現場に足を運び、どういう書類を回して、誰がハンコを押して…という手順を見せていただき、その場で一緒に最適なフローを考えていきます。

国見:組織が拡大すればするほど、業務フローは複雑になってしまいがち なんです。「このやり方で」と決めていても、取引先に合わせたフローが必要だったり、いろんな例外処理が出てきてしまう。結果、ぐちゃぐちゃになってしまい、もう誰も全体像が把握できていない。いわゆる「ブラックボックス化」するケースは多いです。

そこを丁寧に紐解きながら、一緒に整備していきます。そして、経営判断にデータを使える状態にするため、そのデータの集め方や活用法まで支援していきます。

――これまで支援された企業の事例を教えていただけますか。

土田: 従業員数30名ほどの、車関係のサービスを提供されている会社の事例です。

その会社の社長様は、「月締めの数字を出すのに1ヶ月以上かかるからどうにかしたい」と、当社へ相談に来られました。毎月、営業の方々に「今月の売上、これだけやるぞ!」と目標を持って頑張ってもらっているのに、実績数字を出すのに時間がかかり、フィードバックがうまくいかないと。

ただ、そこから詳しく話を伺っていくと、社長が本当に求めている状態を実現するためには「数字が早く見られるようになる」だけでなく、事業別、担当者別、商品別など「さまざまな切り口から、数字を見られるようにする」ことがゴールでした。全体の数字が素早く見れたとしても、個別に、的確にフィードバックして改善を進めていくには、データを多面的に見られることが必要だったのです。

ただ、社長の熱意が先行しすぎていて、現場に入ってもなかなか協力が得られませんでした。現場の方と少しずつコミュニケーションを重ね、社内に散らばっていたExcelシートをもとに、クラウド会計システムの「マネーフォワード クラウド会計」に情報を一元化する仕組みを構築。部署ごとの売上や経費まで算出できるようになって、部署ごとの調子の良し悪しや、クライアントのニーズの動向などが客観的に見えるように。経営の「見える化」も実現されました。

マネーフォワード クラウド会計」では、様々な会計データが可視化される。レポート機能も豊富

土田: システムを導入し、数字をはやく見られるようになったことは目指した通りの成果でしたが、結果的に社長が一番効果を実感したのは「コミュニケーション」とのことでした。 あやふやな情報で、なんとなくフィードバックしていたものが、数字をもとにした検討・議論ができるようになったこと。 これこそが、企業を前に進めるために何よりも有益だったと。現場の社員も、方針が明確になったことで仕事への向き合い方が好転したそうです。

また、経理の方の業務時間も大幅に削減されました。こちらの企業には比較的高齢な経理担当の方がいらっしゃったのですが、システム導入後「私の働く時間が60%くらい削減できて、その分、孫と遊べるようになった。ありがとう。」と感謝されたのが、すごく印象に残っていますね。

会社の規模が拡大し「違和感」を感じたら、テクノロジーの力を借りよう

――ナレッジラボに相談に来られる企業のように、組織が見えにくくなったことに課題を感じられている経営者は多いと思います。それに気づいた時、まずはどのような行動をとれば良いのでしょう?

国見: 会社の規模が拡大する段階で経営者が感じる「違和感」。それが「データが見えていない」ことに起因するケースは本当に多いです。企業規模の拡大で、組織の細部が見えにくくなるのは避けられないこと。そういった違和感を持ったら、当社のような外部の専門家にお気軽にご相談いただけたらと思います。

ただ、実際にはその違和感に気付いていない方も多いのが現実です。例えば、会社の預金残高の数字が少なくなってきたことを見れば、「まずい」と感じて銀行に相談すると思いますが、組織の課題というのはなかなか目には見えません。つまり、そもそも「課題」として認識されにくいんですね。課題に気付く時って、具体的に社内で何かトラブルが起きたとか、外部から指摘されるパターンが多いのではないでしょうか。

社長に見てほしいのは「なんか給与計算が遅いな」「なんとなく支払いが遅延しているな」「最近ちょっとしたトラブルが増えた気がする」といった、 日々の業務の中での「些細な違和感」 です。それをスルーせず、放置しないでほしいのです。そのタイミングで当社などにご相談いただけたら、いろんな解決策をご提案できると思います。

とはいっても、当社のようなコンサルに相談しよう!というのはハードルが高いですよね。そして、経営者はどうしても一人で悩みを抱えこんでしまいがちです。そうなってしまうと、気が付いたら手遅れに…なんてことにもなりかねません。はじめの一歩として、周りの経営者さんに違和感や悩みを話してみる、話を聞いてみるというのはいかがでしょうか。そこで次のステップに繋がる話が聞けるかもしれません。

――最後に、今後のビジョンを教えてください。

国見: 当社は、テクノロジーの力を借りてもっと多くの中小企業の役に立ちたいと考え、ミッションを 「日本中の中小企業の経営インフラを変えていく」 と掲げています。ご相談の入り口の多くは「クラウドツールが流行っているから導入したい」です。でも、そこからヒアリングを進めることで、本当の課題を見つけ、そこを一緒に解決していきたいですね。そうした仕事を通じて、当社は企業価値を高めるパートナーでありたいと考えています。

株式会社ナレッジラボへのお問い合わせはこちら:https://knowledgelabo.com/

マネーフォワード クラウドプロダクトページ

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