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連載:第18回 IT・SaaSとの付き合い方

「好きだけど、辞めます…」コロナ禍のホテル、大量退職を乗り越え進む副社長の改革奮闘記

BizHint 編集部 2022年3月2日(水)掲載
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コロナ禍の影響を大きく受けている業界のひとつ「宿泊業」。道後温泉で最大の客室数を誇る道後プリンスホテルでは、経営状況が悪化しただけではなく、若手社員を中心に離職が相次ぎました。そんな中、従業員が少しでも本来の「おもてなし」業務に注力できるよう、業務改革を進めたのが同ホテルの副社長である佐渡祐収さん。その過程では、経営陣と現場社員の両方から反発があったと言います。どう説得し、どう改革を進めていったのでしょうか。詳しくお話を伺いました。

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道後プリンスホテル株式会社
取締役副社長 佐渡 祐収(さど まさかず)さん

1975年東京都生まれ。大学卒業後、公認会計士資格を取得し、東京の監査法人に所属。2019年3月道後プリンスホテルに入社し、取締役副社長に就任。道後温泉旅館恊同組合青年部の部長も務める。道後プリンスホテルは、2021年観光経済新聞社が認定する「5つ星の宿」などにも選ばれている。


「仕事は好きだけど…」コロナ禍で20名以上の社員が退職

佐渡祐収さん(以下、佐渡): 当ホテルは、1975年に創業しました。最初は小さな旅館からスタートしましたが、瀬戸大橋やしまなみ街道が開通し、道後温泉に団体旅行客が多く訪れるようになると、当ホテルもその規模を拡大。現在では、道後温泉エリアで最大の客室数を誇るホテルとなりました。

道後プリンスホテルは123の客室を持ち、年間5万人以上が宿泊する大規模ホテル。取材当日はクリスマスシーズンだったこともあり、PR部長の「ゆたま王子」がサンタ姿でお出迎え

佐渡: 私はもともと、公認会計士として東京の監査法人で働いていて、道後プリンスホテル社長の長女である妻と出会って結婚しました。当時は当ホテルの経営に関わることは全く想定していなかったのですが、社長から「ホテルを手伝ってくれないか」という話が……。かなり悩みましたが、これまで多くの企業や経営者と対峙し、身についた知識やスキルを活かして「自分自身で経営にチャレンジしてみたい」という気持ちもあり、道後プリンスホテルへの入社を決めました。2019年のことです。

――入社後、翌年にはコロナ禍となり、ご苦労も多かったのではないでしょうか……。

佐渡: はい。コロナの影響で一気に客室の稼働率が下がりました。2020年3月には、通常なら3,000件の予約があるところ半分の1,500件しか入らず……。4月以降は、1日に数件しか予約が入らない状況となりました。

お客様がいらっしゃらない中、営業を続けるべきなのか……非常に難しい決断です。特に当ホテルは、開業してからずっと休みなく営業し続けてきました。宿泊業には「営業し続けることが当たり前」といったような風習もあったため、 簡単に「休館する」という決断は下せませんでした。

そこで、私は会計士の経験を活かし、あらゆるシミュレーションを行いました。経営が厳しい状況であれば、雇用調整助成金を申請することもできます。従業員を全員休ませて休館した場合、半分休ませた場合など、固定費、人件費、助成金なども加味して細かく数字を算出し、その結果をもって、経営陣に「営業すれば赤字が大きくなる」ということを伝えました。明確に数字で示すことで、経営陣の理解が得られました。

また、コロナ禍以前より、大浴場の大規模改修が決まっていました。当初は営業を継続しながら改修する予定でしたが、このような状況ならば全面休業した方が、お客さまへご迷惑をおかけすることもなく、工期も早められるという見込みができました。

それらの材料を総合的に判断した上で、当ホテルでは2020年4月からの「休館」をいち早く決め、結果的に経営への悪影響を最低限に抑えられました。

ただ、コロナ禍において、私の力ではどうにもならない辛い出来事もありました……。

――それは何だったのでしょう?

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