連載:第12回 自社だけで悩まない!専門家に相談してみよう
三期連続赤字で預金が底をつく。たった1つの相談が、翌年からのV字回復に
創業からしばらくは順調だったのに、気付けば赤字…。有効な対策を取れないまま資金は底をつく…「やばい」。そんな状況下で偶然手にした行政のチラシを見て、すぐに連絡・相談したことをきっかけにV字回復につなげたのが株式会社リップルズ・金子晴恵さん。発達障害児の学習支援における先駆者・専門家ではあるものの、「経営」の知識が乏しかった彼女はどんな行動をとったのか?金子さんのサポートを行った株式会社RIMSコンサルティングの伊東康夫さんと一緒にお話を伺いました。
株式会社リップルズ
代表 金子 晴恵さん
2002年より発達障害児のための学習指導教室「アンダンテ西荻教育研究所」を、2016年より児童発達支援「アンダンテ・プリモ」を運営。発達障害などの子どもたちの学習指導や発達支援、親や教師の相談等に携わる。また、ライターとして国内外の学校を取材し、各国の教育事情や子どもの問題についての記事やエッセイを新聞・雑誌に多数執筆している。著書に『先生が明日からできること。』(杉並けやき出版)、『はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦』(教育出版)。
3期連続の赤字。売上、預金がどんどん減っていく
――創業の経緯を教えてください。
金子: 大学時代にアルバイトで学習障害のお子さんの家庭教師などをした縁で、障害児の教育を行う塾に就職しました。その塾で7年ほど働き、それまでやってきたことを生かそうと、自分で教室を開きました。
先生は自分一人。発達障害を持っているお子さんと一対一の学習塾でした。2002年のことです。
――創業後は順調だったのですか?
金子: 比較的順調だったと思います。
当時、発達障害は今ほど知られていませんでした。ですので、それに対応した教室も少なく、当社のような学習塾は貴重でした。お子さんは比較的スムーズに集まりましたし、私としても「自分一人が食べていければいい」といった考えでしたので。
しかしその後、利用いただくお子さんがどんどん増えていきました。自分だけでは手が足りなくなり、アルバイトを雇うようになりましたね。それが2006年ごろです。
ただ、 私は「子どもの教育」しかできなかった のです。会社の経営や、人や組織のマネジメントについて勉強したことはありませんでした。
アルバイトを雇ったものの、給料の払い方もわからない、社会保険もわからない…。お恥ずかしい話なんですが、正直…かなりいい加減でした。そんな調子だったので、アルバイトはすぐ辞めてしまうなど、いろいろなトラブルが起こりました。
その時に初めて、学習塾を経営している以上「自分が子供に教えるのが楽しいというだけではだめで、一緒に働く従業員を大事にしなければならない」ということを身に染みて痛感しました。そこですぐに社労士さんに相談し、体制を整えました。
この時以降、 一緒に働いてくれる従業員には、少しでも長く、前向きに働いてもらいたい と常々思っています。
――とはいえその後、赤字になってしまうのですよね?
金子: はい。創業から10年余りが経過した2015年頃から、少しずつ異変を感じていました。 なんだかよくわからないけれど、売上が減っていくし…預金残高も減っていくなぁ… と。
そして2016年、初めての赤字に。とはいえ、具体的に何をどうしたらよいか全然わからなくて、有効な対策を講じることもできず、そのままズルズルと3期連続の赤字となりました。
そして会社の預金通帳は、目に見えて危機的な状況に。 今月従業員にお給料を支払ったら、家賃が払えなくなってしまう ことに気が付きました。
愕然としました…。(これはかなりやばいな…)と思いました。実際、やばいんですけれども…。とりあえず自分の貯金を切り崩して会社の口座に入金して、その月をなんとかしのぎました。
さらにそのタイミングで、開業時に出資してもらった父から「そろそろ出資金を返してほしい」と、決算書を見せるように言われました。父に決算書を見せると一言、「…返さなくていいから、会社を立て直せ」と。
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