連載:第5回 テレワーク 生産性の高め方
リーダーは無理してみんなを鼓舞しなくていい、オンラインコミュニケーションのコツ
コロナ禍のさなか、テレワークを行う上で「チームビルディング」や「オンボーディング」に窮する企業が増えています。福岡、東京、京都だけではなく、ニューヨークやアムステルダム、シンガポールに拠点を構えグローバルな環境で「Backlog」など3つのWebサービスを開発提供する株式会社ヌーラボではワーケーション(リゾートワーク制度)も取り入れるなど、率先して新しい働き方を実践しており、メンバーに物理的な距離を感じさせないためにも、代表橋本さん自ら積極的な発信を行っているとか。今回はテレワーク下におけるコミュニケーションのTIPSや、新入社員でも風土に馴染み自己開示できるようになる方法などについて聞きました。
そもそもコミュニケーションは難しい、オンラインならなおさら
ヌーラボではコロナ禍で「テレワークは週1回まで、残りはいずれかのオフィスに出社」としていた制度を完全に全社員テレワークにしました。当社はさまざまな都市にオフィスがあり、メンバーの働いているロケーションはさまざまでしたから、フルリモートには移行しやすかったとは思います。
一般的には「フルリモートではコミュニケーションを取るのが難しい」という言説があったり、マネージャーからは「メンバーがどんな状態で働いているかわからないのが不安」と聞いたりします。でも、それは当然ですよ(笑)。オンライン、オフラインを問わず、コミュニケーション自体がそもそも難しいものだから。
テレワークをする上でメンバーに伝えているのは、「円滑なコミュニケーションのためには、ビジネスチャットへの書き方が大事だ」ということ です。文章を伝えるテクニックさえ覚えれば、オンラインだろうがオフラインだろうが業務効率は上がるはず、です。Web制作会社で「自分自身が使う言葉を大切にすることで生き方は変わる」と仰る株式会社サービシンクの名村晋治さんをお招きし、文章術の研修を実施したこともあります。
『人は見た目が9割』(竹内一郎著、新潮社刊)という本がベストセラーになったように、見た目の第一印象によって、その人に抱く好感度は変わります。テレワーク下ではオンラインコミュニケーションが増えますし、ビジネスチャットへの『書き方』によって9割の印象が変わる……といっても過言ではない世界が来るでしょう。だって、相手のパソコン画面に映るのは自分が書いたテキストですからね。
顔が見えないからこそ、読み手の感情を意識した文章を作ること。オンラインのコミュニケーションではその意識が重要になります。とはいえ、そんなに難しい内容ではありませんから身構えなくても大丈夫。
例えば、「時系列ははっきりとさせる」「質問に対して適切に回答する」「読み手が次に何をすべきかがすぐにわかるようにする」など、コツを覚えればいいだけです。解釈を相手に委ねないように書き手が主導するのは、ビジネス上有効ですからね。そもそも、仕事で大事なのは「誰かのために動くこと」。商売の基本原則は、自分の才能を他の人に使うことですが、ヌーラボでも一定のグレードを超えたら利己主義ではなく利他主義な行動も評価するようにしています。
それに、僕はできる限りミーティングを増やしたくない。テレワークでは物理的な距離を埋めるためにもWeb会議が頻繁に行われます。顔を見て仕事ができる一方で、会議は相手の時間を拘束します。結果、業務改善につながったかと言われると疑問符がつく。
「カメラを繋げて実際に確認しないと相手が仕事しているか信頼できない……」というマネージャーもいますが、タスク管理がしっかりできてきれば十分、把握はできます。極論ですけれど、「成果を出していれば、それ以外は寝ていたっていい」というのが経営者の考え。業務確認はすべて文章で行うなど、今までの仕事のスタイルを変えていく必要があるでしょう。
では、「直接メンバー同士がコミュニケーションを取る必要ないのか」、「対話する環境は不要なのか」と言えば、決してそうではありません。「業務」と「雑談」をしっかり切り分ければいいのです。
僕の場合、Typetalk(チャットツール)に毎朝必ず自分の考えを投稿して、仕事終わりには「今日もお疲れさま、また明日!」と挨拶する時間を設けています。社内では「おつまた」と呼んでいますが、業務終了後オープンなWeb会議のURLをチャットツールに貼って、誰でも僕と雑談できる状態にしている。誰も来ずにずっと一人でいる時もあれば、十人前後が集まる時もあります。テレワークは一人で仕事に向き合うので、ともすればズルズル夜遅くまで仕事をしがち。メンバーが業務を切り上げるきっかけになればというのが個人的な意図です。
このほかにも、部署外の1on1や部活動制度などメンバー同士の雑談を増やす取り組みを行っています。 テレワークはどうしても成果主義だけになりやすいですから、自由な場を用意しアイデアの創造や発見につながるように意識 しています。
テレワークを行う上での円滑なコミュニケーションのため、意識したいポイントは2点あります。1つは「書き方」。そしてもう1つは「文章化」です。
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バックナンバー (6)
テレワーク 生産性の高め方
- 第6回 会社が止まる時は日本が止まる時。有事での事業継続を確信した全業務クラウド化
- 第5回 リーダーは無理してみんなを鼓舞しなくていい、オンラインコミュニケーションのコツ
- 第4回 リモート下だからこそ見直したい「組織運営」の在り方
- 第3回 オフィスを解約し全面テレワークに移行した経営者の決断背景
- 第2回 新入社員約200人。オンラインの入社手続と新人研修を1ヵ月で作るには