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連載:第4回 テレワーク 生産性の高め方

リモート下だからこそ見直したい「組織運営」の在り方

BizHint 編集部 2020年7月21日(火)掲載
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コロナ禍の影響を受けてリモートワークを導入する企業が多いなか、改めて考えたいのは組織のルールやカルチャーをどう醸成していくかです。重要なのはConversation(対話)、Feedback(フィードバック)、Recognition(称賛)のCFR。ハイマネージャー株式会社代表取締役CEOの森謙吾さんがカルチャー醸成やパフォーマンスを高めるための組織の在り方について、OKRとCFRの観点から解説します。

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ウィズコロナ時代の組織運営とは

新型コロナウイルスの影響を受けて、リモートワークを導入された企業も多いのではないでしょうか。

これまでは日本においてエンジニアやライターなど、一部の職種のみの部分的な導入に留まっていましたが、新型コロナウイルスへの対応を機に、会社全体でのリモートワークへの対応が進んできています。

それに伴い、リモートワークに関しては多くの記事が出ており、各所で活発な議論が行われています。一方でその多くは、どのサービスが使いやすいのかといった、ツールの話に終始しがちな印象を受けます。

もちろん実務面において、どのツールを採用するかという観点は非常に重要であり、それは私も否定しません。しかしリモートワークの組織運営については、ツール以外にも重要な観点があるのではないかと感じています。

また「ウィズコロナ」という言葉も話題となっています。ウィズコロナとは「新型コロナウイルスが簡単には終息しない事実を受け入れ、コロナと共に生活することを選んでいく」という意味。ウィズコロナ時代は、状況が読めず、刻一刻と変化していく時代です。どんな状況においても対応できるような柔軟性を身につけ、様々な可能性を視野に入れながら動いていく必要があります。

今回は産業アナリストのJosh Bersinが提示した5つのトピックをもとに、ウィズコロナ時代におけるリモートワークの組織運営に必要な観点について考えてみましょう。

リモートワークに必要な5つのトピック

Josh Bersinによれば、リモートワークに必要なトピックは5つ、ツール、ルール、ノーム(規範)、カルチャー、レジリエンス(回復力)です。

https://joshbersin.com/2020/04/remote-work-is-here-to-stay-are-you-ready/

(1)ツール

リモートワークで必要となるツール

(2)ルール

「時間外勤務の場合、残業代は支払われるか?」「セキュリティ管理はどうするか」といった、リモートワークを行う上でのルールづくり

(3)ノーム

「いつメールを送ったり、電話をかけたりしても良いか」「会議中に子供が現れても問題ないか」といった、各社員の行動に関する規範づくり

(4)カルチャー

「何かの決定を下す時に上司の承認が必要か」「孤独を感じた場合はどうすべきか」といった、会社における文化づくり

(5)レジリエンス

これらを実施する上での土台となる、社員個人の回復力。在宅勤務では際限なく働いてしまう場合もあるので、自分のペースで毎日回復に努めることが重要。

ただ、Bersinの話はリモートワーク全般に関するもの。組織運営という観点から考える際にはもう一歩、レイヤーを進める必要があります。

Bersinの5つのトピックをもう少し組織運営の話に引き寄せると、ウィズコロナ時代における組織運営においてはルール、カルチャー、柔軟性の3つが重要となっていきます。

(1)ルール

まず重要なのが組織運営におけるルールです。評価の基準は何か、会社やチームが社員に対して期待していることは何かを、改めて整理する必要があります。

(2)カルチャー

2つ目はカルチャーです。会社として何を大切にするべきか、心理的安全性をどのように確保していくかが重要です。

(3)柔軟性

そして最後が柔軟性です。柔軟性はこのウィズコロナ時代において、すベての土台となります。様々な状況に対して、アジャイルに対応していくことが必要となってきます。

ウィズコロナ時代の組織運営においては、社員全員が柔軟性を獲得した上で、自社のルールとカルチャーを改めて考え直す必要があります。

ルールやカルチャー、柔軟性を助ける一つの仕組みとして、OKRとCFRを用いることをオススメします。

OKRとCFRによるマネジメントサイクルを回し続けることで、会社のルールとカルチャー作りが行われ、リアルタイムに対応できる柔軟性も獲得できます。

組織の目指すべき方向を定めるOKRとは

OKRとは、「Objectives and Key Results」の頭文字を取った略称であり、目標管理指標の一つです。日本語では「目標と主要な結果」という意味です。

OKRは「定性的な目標を設定し」「定性目標を達成するために必要な定量目標を設定」という要素からなる目標設定手法だと考えると理解しやすいです。

OKRは、Objectives(目標)1つに対して、Key Results(主要な結果)を3つ前後設定します。また、Objectives(目標)は定性的なもの、Key Results(主要な結果)は定量的なものに設定します。

定量的なKey Resultsを3つ設定するというところがOKRの肝です。設定したKey Resultsを一つの評価基準として扱うことで、目標管理と組織運営におけるルールが結びつきやすくなります。

また、OKRはMBOよりも、会社のカルチャーに大きな影響を与えます。というのも、OKRは単なる目標管理指標ではありません。

OKRの3つの特徴

OKRには、3つの特徴があります。

(1)期待のすり合わせ

1つ目は期待のすり合わせです。会社やチームが社員個人に期待していることと、社員個人がやりたいことをすり合わせて、目標を設定していきます。OKRは、トップダウンでありながらボトムアップ的な思想です。

組織全体の合意を取りながら目標を設計していくことで、心理的安全性の高いカルチャーを構築していくことができます。

(2)リアルタイム性

2つ目の特徴は、リアルタイムなマネジメントです。MBOでは通常、マネージャーと部下がコミュニケーションをとるのは、半期や1年間など評価が発生するタイミングでの面談のみです。

OKRでは、毎週末にチェックイン/ウィンセッションを行います。これは、今週の目標の達成や来週に向けての意気込みをチームのみんなで語り合う会です。チェックイン/ウィンセッションの導入によって、マネージャーと各社員がリアルタイムにコミュニケーションを行うことになり、柔軟性が獲得されていきます。

またOKRにおいて、目標はその都度、変更可能となっています。OKRの導入によって、柔軟な組織運営を行うことが可能です。

(3)目標は社員全員に公開される

3つ目の特徴は、設定された目標は社員全員に公開されることです。OKRでは、経営層が自社のミッションを意識した目標を設定することになります。また、OKRでは会社の目標にチームの目標を紐づけて、さらにチームの目標に個人の目標が紐づけられます。紐づけられた目標は、すべて社内に公開されます。

これにより、自分の組織内での役割や、他の社員が何をやっているのかが明確になります。 透明性の高い組織運営が行えるようになり、心理的安全性が担保されやすくなります。

事例:X社(20-30名規模、ITスタートアップ)

X社では、ウィズコロナ時代の到来によって当初のOKRを大幅に変更し、その後も毎週のようにこれまで5~6度ほど、細かな修正を続けています。「目標は設定するためにあるのではなく、時代の流れを読み適応していく」という考えからです。

例えばX社では、コロナウイルスの流行以前までは主力事業を中心にOKRを組み立てていましたが、コロナウイルスの流行以降はリモートワークに特化したサブ事業に注力するため方針を変更し、サブ事業を中心にOKRを組み立てるようになりました。

また、マーケティング部門のOKRも、「リアルイベントでリードを大量に獲得する」のようにオフラインセミナーや展示会でのリード獲得を中心に組み立てていました。しかしコロナウイルスの流行後は「webマーケティングに注力し、リードを効率的に獲得する」と、自社ウェブサイトでのコンテンツ記事作成を中心にOKRを組み立てるように変更されました。

OKRは成果にフォーカスしつつも、柔軟に目標設定を変更できるところが魅力の一つです。

組織のカルチャーを醸成するCFRとは

CFRとは、Conversation(対話)、Feedback(フィードバック)、Recognition(称賛)の3つの頭文字を取った総称です。

CFRを行うことによって、組織内のコミュニケーションに関するルールづくりが進み、リアルタイムの密なコミュニケーションが行われるようになります。

(1)Conversation(対話)

いわゆる社内コミュニケーションのことで、特に1on1のことを指します。1on1とは、「部下が求めること」かつ、「普段話せない」ような思考や感情を共有する時間のことです。

部下と1on1で話す上では、カウンセリング(悩みを聞く)・コーチング(問いかけによる内省)・マネジメント(会社と部下の期待のすり合わせ等)の3つの要素があります。 この3つを、メンバーが求める内容に応じて柔軟にバランスしていきます。

(2)Feedback(フィードバック)

フィードバックとは、相手が改善すべきことやもっと良くなるためにすべきことを指摘することです。お互いに送り合うことで、今後自分が成長するために何をすべきか明確にすることができます。

(3)Recognition(称賛)

称賛とは、日常業務での良かった行動や成果・貢献に対して、社員がお互いに褒めあったり、感謝をすることです。特にリモートワークにおいては抜け落ちやすい観点ですが、OKRのチェックイン/ウィンセッションの時に行うことでより効果を発揮します。

事例:Y社(200-300名規模、旅行代理店)

Y社では、新型コロナウイルスの影響でリモートワークを導入以後、週に1度の1on1を実施しています。Y社は以前から1on1を月1程度のペースで実施していましたが、その頻度を週に1度に増やしました。ウィズコロナ時代のリモートワークにおいては、社員とのコミュニケーションの確保のため、社員との接点を増やすことが重要です。そのため、1時間×月1の1on1よりも、30分×週1の1on1の方が効力を発揮します。

また、Y社はこれまでよりも積極的に称賛を行っています。称賛は、マネジメントだけでなくコミュニケーションツールとしての使い方もできます。

手前味噌ですが、Y社では「HiManager」の称賛機能をご活用いただいています。サンクスカードをシステム上に記録し、全社で公開するイメージです。

リモートワークにおいては、Y社は当初、「社員が何をやっているのかわからないので褒めづらい」という問題が発生し、称賛の活用率が低下しました。しかし、日々の業務を行う上で「資料作成が完了しました」「ありがとう」といった小さな感謝のやり取りは、リモートワークにおいても行われています。そのような小さな感謝で構わないので、積極的にサンクスカードを送り合うことをご提案させていただいた結果、Y社のエンゲージメントは再び向上していきました。

お互いに称え合う文化を作り出すことで、リモートワークでも心理的安全性の高いカルチャーを作っていくことができます。

OKR+CFRによるマネジメントサイクルを回し続ける

OKRとCFRはセットで行うととても効果的です。そしてこれは、1週間単位のサイクルにすることができます。

  1. OKRで組織の目標を明確化し、その目標に従って日々の業務を行う
  2. 週1度の1on1を行い、目標やプライベートに関する話をする
  3. 日々の業務はリアルタイムでフィードバックする
  4. 週末のチェックイン/ウィンセッションでよかったことを称え合い、 来週に向けて意気込みを語り合う

このマネジメントサイクルを回し続けることで、リアルタイムの出来事に対応する柔軟性が獲得されます。そして同時に、組織運営におけるルール作りが行われ、カルチャーが浸透していくのではないでしょうか。

事例:Z社(100-200名規模、SaaSスタートアップ)

Z社では、OKRとCFRを組み合わせて導入することで、リモートワークでも社内で積極的なコミュニケーションを生み出すことに成功しています。

特に週末のチェックイン/ウィンセッションでは、今週達成できたこと(例えば、「新規記事をリリースしました」「大型案件を受注しました」「プロダクトに新機能を追加しました」など)や来週に向けての意気込み(例えば、「来週は商談が10件あるので気合を入れて頑張ります」「サービスページのローンチに向けて急ピッチで作業を進めます」など)をチーム全員で語り合い、お互いに称賛を送り合っています。

Z社においては、リモートで各人の成果が分かりづらくなったため、成果を積極的に共有するために、「個人報告」のような時間が以前よりも一人一人長めに設けられ、そこで成果の共有と称賛が行われています。

実際にZ社では導入後、チームのエンゲージメントも向上しており、心理的安全性が担保されています。

ウィズコロナ時代のあるべき組織とは?

ウィズコロナ時代のあるべき組織とはどんな組織でしょうか。

ウィズコロナ時代ではリモートワークが前提となります。リモートワークは成果主義に直結するため、成果へ執着していくことがまず重要となります。

一方で、リモートワークではコミュニケーションに多くの課題があります。多くの社員は家で孤独に仕事をしており、このまま在宅勤務が続けば精神的な不調をきたすこともあるでしょう。そこで会社が率先して、社員と密なコミュニケーションを行っていく必要があります。

OKRを用いて成果へフォーカスし、そしてCFRを用いて関係性の質を高めていくことで、 心理的安全性が高く成果も達成される組織になっていきます。ウィズコロナ時代においては、各企業はこのような組織を目指していくべきではないでしょうか。


プロフィール
ハイマネージャー株式会社CEO 森 謙吾さん

慶應義塾大学法学部を卒業後、PwCコンサルティング合同会社に入社。人事コンサルティング領域に従事し、製造・小売・通信・金融等の大手企業に対して、人材マネジメント戦略策定および人事制度構築、役員報酬設計、残業削減・退職率低下、などのプロジェクト実績を有する。

現在はハイマネージャー株式会社を創業し、組織の心理的安全性向上やマネジメントを総合的に支援する、パーソナライズド・マネジメントサービス「HiManager」の提供およびマネジメントに関するコンサルティングを行っている。

直近ではリモートワーク組織における心理的安全性向上のため、10分で消える音声雑談サービス「RemoRoom」の提供も行っている。

HiManager |リモートワークマネジメントサービスhttps://himanager.me/

RemoRoom|10分で消えるリモート音声雑談サービスhttps://remote.himanager.me/


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