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連載:第11回 コロナ危機と闘う

優秀な学生と出会うにはオンライン採用が不可欠。買い手市場でも油断しない、リアルとの使い分け方

BizHint 編集部 2020年7月27日(月)掲載
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「バブル崩壊後の氷河期時代と同じレベルの、あるいはそれ以上の買い手市場になり、30年来の採用のチャンスが訪れるかもしれません」――そう話すのは、株式会社人材研究所・曽和利光さん。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年卒の新卒採用が事前の想定通りに進まなかった企業もありますが、曽和さんは「今こそ、優秀な学生と出会うために、オンライン採用を導入すべきタイミングです」と強調します。次の2022年卒向けのオンライン採用について、自社の採用基準を決め、リアルと使い分けてスムーズに進めるコツを聞きました。

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曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和利光さん
株式会社人材研究所 代表取締役社長

1995年に京都大学教育学部教育心理学科を卒業後、株式会社リクルートなど多種の業界で人事採用部門を担当し、「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を確立。2011年に株式会社人材研究所を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を展開する。

買い手市場だと手放しで喜ばず、オンライン採用で応募のハードルを下げる

コロナ禍により、一時的に求人数の減少や有効求人倍率の低下など、売り手市場からの逆転が起き、学生側にも危機感が募っています。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

2008年秋のリーマン・ショックの後には、求人数が約6割減りました。今回のコロナ禍も同じくらい、あるいはそれ以上に求人数や有効求人倍率が落ち込む可能性があります。

ここ数年は売り手市場が続いていましたが、有効求人倍率が1.0倍を切れば、リーマン・ショックやバブル崩壊後の氷河期世代のような買い手市場になるでしょう。

だからと言って、コロナ前に採用の応募数集めに苦戦していた企業が「買い手市場だ」と手放しに喜ぶのは危険です。

一時的に志望者を集めやすくなるものの、少子化の流れは変わりません。数年後に景気が回復したときには、必ず売り手市場に戻ります。それに優秀層は、不景気だろうが買い手市場だろうが引く手数多で、需要は高いままですしね。

コロナ禍で多くの企業が、オンライン採用(Web採用)でも良い人材が採用できると学習しました。これからはオンライン採用を定着させて、応募のハードルを下げなければ、優秀層を集められないと曽和さんは主張します。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

採用のオンライン化によって、学生はわざわざスーツを着て企業に出向く必要がなくなった。応募のハードルが下がって、気軽にエントリーできるようになったのです。

特に地方在住の学生は、初期選考の段階でいちいち企業へ向かうと、移動の時間とコストがかさむ関係で、オンラインでの初期選考を好みます。

従来より多くの企業を検討しやすくなれば、相対的に需要が高い優秀層の志望度は下がります。結果、オンライン採用を導入しない企業は、間口を狭めて応募のハードルを上げることになり、優秀層を排除して、内定を得ることに必死な学生ばかりを集めてしまうことになります。

超人気企業でないかぎり、優秀層を採るにはオンライン採用で間口を広げ、応募のハードルを下げるのが最低条件です。

企業が優秀層を採るには、オンライン採用で間口を広げ、ハードルを下げるのが最低条件
(図:インタビュー内容をもとにBizHint編集部が作成)

2022年卒の優秀層を採るには、オンラインでの接点を積極的に設ける

買い手市場になると企業の採用課題が、数を集める募集から、志望者の選考へと移っていきます。曽和さんは、オンライン採用は、地方や海外の人材を獲得しやすいというメリットもあり、企業と学生の双方にとってプラスになると勧めます。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

先進的な事例として、2019年卒の新卒採用で株式会社サイバーエージェントが、年間100回前後開催していたリアル説明会をやめました。

その代わり、新卒採用に関する情報をまとめた自社メディア「サイブラリー」に、会社説明会の動画コンテンツページを設けたところ、応募者数や優秀層の採用数が増え、地方出身者も過半数となったそうです。

また、株式会社セプテーニ・ホールディングスは、2018年卒の新卒採用から「オンライン・リクルーティング」を実施しています。

コロナ禍の前から、面接は最終面接1回だけで、あとは適性検査などのオンライン上のプログラムを用いて、全行程がオンラインで完結する選考手法を、同社はとっていました。

さらに2022年卒の学生は、2021年卒の学生と比べて、会社説明会の動画を積極的に視聴している傾向が見られるそうです。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

現在大学3年(2022年卒)の学生らに話を聞くと「いきなり就職氷河期になるかもしれない」と高い危機感を持って行動しています。2020年6月時点で、2021年卒向けの会社説明会のYouTube動画を、平均20社も視聴していると言います。

昨年(2021年卒)の学生には、全体の1割程度にしか普及しておらず、リアルな説明会を含めても、平均13社しか見ていませんでしたから、倍近くの変化ですよね。

今後はライブ配信やWeb説明会など、オンラインの接点を積極的に設けていくべきです。

偉い人の意見だけで採用基準を作ると、欲しい人材とのズレが生まれる

採用をオンライン化した段階で、一安心した企業も多いのではないでしょうか。曽和さんは、オンライン採用の導入と同時にターゲティングを精緻化し、求める人物像を明確にしなければつまずいてしまうと指摘します。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

買い手市場で募集が楽になる分、自社にとって重要な人はどんな人か、今一度考えてターゲティングのブラッシュアップをするべき時期です。

オンライン採用では、求める人材像を明確にしてターゲティングをしなければ、無駄にたくさんの志望者に会うことになり、時間もコストもかかります。

ターゲティングは、次のようなすべての事柄に絡むので、間違えると大きな損失につながります。

【ターゲティングが関わる事柄】

  1. 求人広告の作り方
  2. スカウトを打つターゲットの検索の仕方
  3. 惹きつけ(アトラクト)する時の自社の見せ方

ターゲティングにおいて求める人物像の設計を間違えて、自社に適していない人材を採ってしまうケースもめずらしくありません。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

企業としては「素直な人が欲しい」と言いながら、社内で高い成果を出しているハイパフォーマーは、まったく素直ではないことはよくあります。イケてる人や偉い人に聞いた主観的意見をもとに採用基準を作ると、こうしたズレが生まれます

そもそもプロは、自分がプロである理由を説明する能力が、低い傾向にあります。特に日常業務だと、無意識に行動しているケースも多く、本人が言語化できないことも。よって、採用要件と実態が違うという問題が発生するのです。

社内で活躍している人の行動を分析し、求める人物像を明確にする

企業が求める人物像を明確にし、ターゲティングを精緻化するには、ハイパフォーマーの分析が必要だと曽和さんは助言します。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

分析のポイントは、ハイパフォーマーの発言ではなく、行動から分析することです。たとえば「私が大事にしていることは、顧客第一主義です」と言われても、何をもって顧客第一主義なのかが分からず、企業として求める人物像は描けません。

本当は、実際にハイパフォーマーの行動を観察して、分析できれば良いのですが、ずっと採用担当者が張りついて観察するのは現実的ではありません。

そこでインタビューで、ハイパフォーマーの具体的な行動を事実ベースで確認し、その思考や価値観を類推しましょう。営業なら「営業に行く前にどんな準備をしているか」などと訊いていきます。

次の手としては、適性検査やパーソナリティー検査などで得たデータも交えて、ハイパフォーマーの特徴を分析するのがおすすめです。

企業が求める人物像を明確にし、ターゲティングを精緻化するには、ハイパフォーマーの発言ではなく、行動から分析することがポイント
(図:インタビュー内容をもとにBizHint編集部が作成)

ターゲティングを精緻化する作業と並行して、求める人物像の幅を広げる観点も重要だと言います。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

志望者が増え、スカウトの反応率も上がり、さまざまな人と出会える買い手市場は、求める人物像の幅を広げやすい時期です。

思わぬところに求める人材が潜んでいる可能性もありますから、 今までの募集要件に縛られず、これまでとは違った人物像に目を向ける、トライアル期間を設けると良いです。

分析によるターゲティングの精緻化ができたら、面接官トレーニングを行い、認識のズレを解消する作業が必要だそうです。

曽和利光さん(株式会社人材研究所)
曽和さん

同じ志望者を評価するにしても、面接官同士で目線を合わせなければ、それぞれの主観が働いてバイアスがかかり、評価はバラバラになります。

面接官トレーニングでよくあるのが、面接官同士のロールプレイングです。しかし、実際の面接とはまったく違うので、ほとんどうまくいきません。

改善策としては、2021年卒の内定者の友達をアルバイトで集めて、適性検査と面接をしたほうが良いでしょう。適性検査の結果と面接時の評価を照らし合わせて、各面接官の傾向を分析すれば、バイアスを解消しやすくなります

リアルとオンラインの両方の選択肢を用意し、特性を踏まえて使い分ける

2022年卒の新卒採用では、コロナ禍の状況を見据えて、リアルな場での面接から、オンライン面接へと切り変える企業もあると思います。曽和さんは、オンライン面接とリアル面接は、得意不得意が異なるまったくの別物で、企業はオンラインコミュニケーションの特性を踏まえた採用設計をするべきだと強調します。

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