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連載:第12回 「人と組織の科学」―人事データ・ピープルアナリティクス最前線―

人事が「ピープルアナリティクス」を分析して見えたもの【LINE・佐久間さん/メルカリ・友部さん/鹿内学さん座談会】

BizHint 編集部 2019年7月17日(水)掲載
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鹿内学さんと人事データ/ピープルアナリティクスの最前線を追う連載。今回は人事部内でデータ分析を担当しているLINEの佐久間祐司さんとメルカリの友部博教さんを迎えての座談会です。後半では「データ分析をしても優秀なマネージャーには渡せる内容が少ない」という苦悩や「後継者のサクセッションプランをどのように作り込むべきか」という話を深ぼっていきます。パフォーマンスが高いチームのマネージャーは何をしているのでしょうか?

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分析結果から見えたもの、優秀なマネージャーには「おみやげ」がない

鹿内学さん(以下、鹿内): 今回、ぜひお二人にうかがってみたかったことでもあるのですが、僕は、人事においてデータ分析をおこなうメリットには大きく2つあると考えています。ひとつは、データを分析することで、従来は個別に対処しなければならなかったことでも、汎用的なアプローチができるようになる点。もうひとつは、たとえば研修など良くも悪くもパッケージ化されたソリューションしか提供できなかったところで、チームや個人ごとに、個別にカスタマイズしたソリューションが提供できるようになる点です。そのあたりの、カスタマイズされた人事ソリューションって、どのくらい実現しているのでしょうか?

LINE佐久間祐司さん(以下、佐久間): 詳しくはお話ししづらい面もあるテーマですが、 パーソナライズされたサービス提供も現実的な方向性が見えてきたところ です。鹿内さんがおっしゃる通り、エンゲージメントサーベイの結果から、マネージャーの得意・不得意をクラスタリングして研修プログラムを提案する、という議論は人材育成部門とはじめています。

メルカリ友部博教さん(以下、友部): そうですね。メルカリは人事含めて、データドリブンカルチャーが土台になっている組織です。何か気になること、課題や問題があればメンバーにサーベイをおこなって、それをもとに自走的に改善しようとする、ということ。サーベイの結果をもとに、チームのマネージャーなりが音頭を取ってディスカッションをしたりするわけです。

鹿内: データで可視化をして、ソリューションをアラカルトで選択できるようになったとき、それを社員各自に選ばせるというのも面白い視点ですね。僕は、データを踏まえて「この研修を受けなさい」とやらせる形になるのだろうと考えていたので。ただ、選択できるとして、そこで最終的に主体となるのが自分なのか、マネージャーなのか、はたまた人事なのか、という点が気になります。組織ごとにケースバイケースだとは思いますが。

佐久間: これもまだ私の個人的な感覚ですが、 LINEの企業カルチャーから言って、選択する主体は自分、という形に落ち着くのかなとは思っています。 ただやはりみんな忙しくて、積極的に研修を受けたいという人ばかりではないと思いますので、マネージャーやその上の階層への働きかけ方、というのは大事だろうなと思っています。

鹿内: マネージャーをどう育てるか、というのもカギになってきますね。

友部: 結局、マネージャーを育成するためには、その上のマネージャーにも育ってもらう必要がある。仮にそのマネージャーが未熟なら、その上のマネージャーを育てる必要があるので。

鹿内: 確かに(笑)。

友部: そういう視点で見れば、シニアマネージャーが育っていくなかで、マネージャーも育っていく、ということかと。ですので、マネージャー育成のために、ひとつ上の職位にアプローチするといった取り組みはおこなっています。加えて、下からのアプローチも考えられる。チームメンバー全員に、マネージャーのデータを公開して、ディスカッションしてもらったり。その場にマネージャーが入っても入らなくてもいいし、ファシリテーションが難しければ人事の人間がファシリテーターとして参加する。 実際、ディスカッションをおこなったチームはマネージャーとの関係性も良くなし、パフォーマンスも良い方向に向かう。

鹿内: チームメンバーがアプローチするのは“人事のコミュニティ化”と評してもいいかもしれませんね。みんなで、自分たちの働く環境をつくっていく。LINEはいかがですか?

佐久間: 事業毎の独立性が高い組織なので、部門ごとにできそうなレイヤーからアプローチする感じですね。執行役員が関心を持っていればそこから行きますし、シニアマネージャーが関心を持っているならシニアマネージャーからアプローチします。テーマによっては経営陣からメッセージを発してもらうほうが良いケースもあるので、そうすることもある。テーマごとに、一番動きが早そうなところからアプローチしていきます。

鹿内: 要するに、 現場の一般社員だけでなく、マネジメント層の育成もデータ分析から適宜カスタマイズしていく ということですよね。ただ、データドリブンのカルチャーが社員に浸透して、データは読めるようになったとしても、そもそも人事的な課題に関心があるとか、働く上での人間関係に興味がないと、具体的なアクションには繋がらないのではないか、という懸念を持つのですが……。

友部: それはありますね。マネージャーだからマネジメントする意識はある。ただ、ソリューションがわからない……というケースは少なくない。「あなたのチームは業務過多です」「業務整理してください」と指摘されても、マネージャーに取っては課題の自覚はあるけど、解決する方法がわからないことがある。

だから、アクションを起こせる人がマネージャーになる、もしくはチームメンバーにいる、というのはポイントのひとつではあります。とはいえ、事業とかプロジェクトにより、チームにより、簡単にはいかないことも多いですが。マネージャーの習熟度も関わってきますから、まだ成長期のマネージャーは出来ないことも多いから、人事含め、周囲のサポートも必要です。

佐久間: 人事がマネジメントに関するソリューションを用意するとか、成長するためのパッケージを個別に用意するとか、いろいろな施策は考えられるわけですが、 一方で「優秀なマネージャーには人事は敵わない」ということもデータを見れば見るほど強く感じるようになりました。

鹿内・友部: あー!(笑)。確かに。

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