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連載:第29回 「人と組織の科学」―人事データ・ピープルアナリティクス最前線―

健康の可視化から始める江崎グリコの健康経営、そのカギとは?

BizHint 編集部 2021年8月24日(火)掲載
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人事データの専門家、鹿内学さんによる連載。今回は江崎グリコ株式会社の健康経営にフォーカスします。「おいしさと健康」を企業理念に掲げる同社では、2018年に健康経営の専門部署を立ち上げ、ヘルスケアアプリを活用した社員の健康の可視化を進め始めました。江崎グリコでは健康経営をどう施策に落とし込んだのか。経営企画部の平山晃守さん、藤本由香子さんに推進のポイントを聞きました。

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江崎グリコ株式会社 経営企画部 健康経営推進グループ
平山晃守さん

江崎グリコ株式会社 経営企画部 デジタルチーム
藤本由香子さん


2018年にスタートした江崎グリコの健康経営、イノベーションを起こすのは専門が異なる人

鹿内学さん(以下、鹿内): 御社は「おいしさと健康」の企業理念にも象徴されるように「健康」が大きなキーワードになっています。加えて、組織の健康経営にも積極的に取り組まれていますが、そもそも取り組みはどのようにスタートしたのでしょうか?

平山晃守さん(以下、平山): 「Glicoグループが持続的に発展し社会の健康に貢献し続けるためには、社員が公私ともに充実した生活を送り、心身ともに健康であることが欠かせない」という経営判断から、2018年に「社員の健康維持・増進」を重要な経営課題と位置づけ、経営企画部内に健康経営推進グループを新設し、取り組みをスタートしました。

鹿内: 平山さんはどのような経緯で立ち上げから関わられたのでしょうか?

平山: 私はもともと大学院で栄養化学を専攻し、2003年に新卒入社後も中央研究所で食と健康に関する基礎的な研究に携わっていたこともあり、健康への意識は人一倍強かったと思います。その後、研究を離れて労働組合専従の執行委員となり、社員の生活をより豊かで充実したものにすべく、労働時間の適正化やメンタルヘルスケア対策、コミュニケーションの活性化など、7年間労使で様々な取り組みを行いました。

その後、工場の製造現場に出向している時に私自身が命に関わる大病を患い、2か月あまり入院した後、本社スタッフとして復職しましたが、治療の副作用に苦しみ、新しい業務内容も自身のスキルや経験、性向に合わず、苦悩していたときに健康経営推進グループの新設、立上げメンバーの公募があったのです。「大病して健康の有難みを痛感している自分こそ手を挙げないと」と決意して今に至ります。

鹿内: 藤本さんは江崎グリコには中途入社されたのですよね?

藤本由香子さん(以下、藤本): はい。私は前職のソニーではデバイスエンジニアをしていて2018年8月に中途入社しました。前職では健康を可視化するデバイス開発に携わっていましたが……。メーカーではデバイスの開発はできるものの、一人ひとりを行動変容させるまでの示唆を与えられないということもあり、ソリューションとの一体化の必要性を強く感じていました。そのようななか、グリコの経営陣の1人と直接お話する機会があり、「食品を通じたサービス提供ができれば、今ぶつかっている壁を解決できるかもしれない」と入社しました。

鹿内: エレクトロニクスから食品業界へと異業種へ飛び込む力がすごいですね。現在の藤本さんは主にどのような業務を行っているのでしょうか?

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