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連載:第11回 「人と組織の科学」―人事データ・ピープルアナリティクス最前線―

人事が「ピープルアナリティクス」分析で抱える苦悩【LINE・佐久間さん/メルカリ・友部さん/鹿内学さん座談会】

BizHint 編集部 2019年7月10日(水)掲載
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鹿内学さんと人事データ/ピープルアナリティクスの最前線を追う連載。今回は人事部内でデータ分析を担当しているLINEの佐久間祐司さんとメルカリの友部博教さんを迎えての座談会です。LINEもメルカリもさまざまな角度から人事データを分析し、採用や育成、定着に役立てていますが、当然そこには一筋縄ではいかない苦労も存在するそう。「組織の新陳代謝をどう捉えるか」や「成功する新規事業の要件」などデータから見えてきたことについて話が弾みました。

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(写真左:LINE・佐久間祐司さん、中央:鹿内学さん、写真右:メルカリ・友部博教さん)

データ分析で人事が抱える苦悩

鹿内学さん(以下、鹿内): 佐久間さんと友部さんは経歴的にいうと、人事部門にいるキャラクターとしては珍しい方たちだな、という印象があります。

メルカリ友部博教さん(以下、友部): これまであまり存在しなかったタイプなのかもしれませんね。佐久間さんが所属するLINEや私がいるメルカリみたいに、もともとデータドリブンな社風の組織であれば、決して珍しくないとは思いますが。

鹿内: 人事関連の業務にデータ分析、ピープルアナリティクスみたいな知見を加味していくのって、まだまだこれからの領域ですからね。そして、そういう科学的な視点から人事を考えていくのは、とても興味深い取り組みだし、何より楽しい……みたいな話を、今日はできればと思っています。

LINE佐久間祐司さん(以下、佐久間): わかりました(笑)。

鹿内: そもそも僕は、研究者として、アナリストとしてデータサイエンスの地平からピープルアナリティクスに関わっているわけですが、実はこれまで、組織で人事部門にいたことがないんですよね。それで、 僕が「こんなふうにデータを活用して人事施策をまわしていきましょう」と提言しても、説得力に欠ける場面がきっとある だろうと。「いや鹿内さん、そうは言うけど、現場ではなかなか実践できないよ」「それができたら理想的だけど、あなたはウチがどんなカルチャーの組織なのか知らないでしょ」みたいに思っている人もいるのではないかと。

佐久間: 私は逆で、 客観的なデータの説得力はやはり強力だと日々感じています。 私は人事畑で働いてきた人間ですが、最近は「人事をやりたい!」というより「ピープルアナリティクスをやりたい!」という感覚のほうが強いんですよね。従来の人事でよく見られた、直感や希望的観測で打ち手を決めてしまうことの「弱さ」を克服したい、というか。

鹿内: 実際、データを示すことで打ち手が変わってきたのですか?

佐久間: ええ。例えば採用の場面で、求める人材の要件を出してもらうと条件がどんどん膨れて「スキルもやる気もカルチャーフィットも完璧な人だけ応募してください」というような職務定義書ができあがってしまうことがわりとよくあります。こちらは経験上「まず採用できないだろう」とわかっているのですけど。

鹿内: 当該部署としては、希望する人材以外は欲しくないと。

佐久間: はい。「そんな人材を採るのは難しいと思う」と話しても、現場サイドからは「いやいや、こういう人材でなければ活躍できない」と言われてしまう、というのはおそらく採用を担当したことがある人は、一度は経験があることだと思うんです。

そこで最近、私のチームにゲーム事業部からデータアナリストが社内異動で入ってくれたんですが。ポジションごとの応募数をヨコ軸に、内定者数をタテ軸にした散布図つくってくれたんですね。弊社では常時200以上のポジションで募集をかけているのですが、応募数がゼロのポジションや、応募数は多いけど内定が全然でないポジションが一目瞭然になりました。シンプルだけどとてもインパクトがあるグラフだったんです。

鹿内: それを示して現場サイドと話をしたのですか。

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